パロップのブログ

TVドキュメンタリーの記録は終了しました

BS1『アメリカの世紀』3「世界への登場と敗北」

2000/12/25放送
テーマは第1次世界大戦ベトナム戦争。この番組はアメリカのABCが制作したもので、その制作意図からして精神の部分を日本人が読み取る必要はほとんどない。ただアメリカでは自明の事実だが日本には伝わってこない半ば隠れたエピソードと映像が堪能出来るだけであるが、それが面白い。前半の見所はなんといってもソンムの戦い。教科書では半行で済むこのエピソードも事実は悲惨そのもの。しかも戦争の多勢とは結局関係ない消耗戦だったというのが更に泣かせる。相手国を滅ぼすことが出来るわけでもない大国同士の陣地取りというのは意味があるのだろうか。相手国の首都を占領し、勝利国が政府を代行し、憲法まで定め、政治体制を押し付ける。それがどんなに面倒で、財政負担で、おまけに実りがないと最初の大戦で実践していれば、次の大戦は起きなかったのではないだろうか。一方ベトナム戦争のエピソードは映像も秘話も有り過ぎて結局、75年の撤退時の挿話だけが紹介され、スケールダウンは否めない。話自体は興味深かったけれど、アメリカ人が南ベトナムの人間を見捨てたとか、個人的に助けた人間もいたとかいう話が実際に命に関わった人以外に意味があるのだろうか。南ベトナム人を見殺しにしたことでモラルを問うならば、北ベトナムに侵攻したことはモラルに問われないような描き方だったが、何かがおかしい。