パロップのブログ

TVドキュメンタリーの記録は終了しました

BS1『日曜スペシャル』「絆は100年を越えて」

2000/12/17放送
NHKは時々自前ですごく面白い番組を作る。これはポーランド独立の英雄の子孫が日本人として普通に暮らしている、というびっくりするような話があっさりと進む。主人公のおっさん以外にもピウスツキの孫は存在するが、重要なのは子孫が存在することではなく、彼がポーランドの親戚を訪ねる機会を得てどのような関係を持つか、交流を持つかに集点を絞ったのは正しい。第2次大戦の後、民族主義ポーランドの英雄の一族がどんな苦難をたどったかをほとんど無視したのも正しい。しかし、約20年前に自分が突然、ポーランドと関係を与えられてしまってからポーランド訪問が実現した99年まで主人公の彼は自分のルーツをひどく勉強しているように感じられた。他の従姉妹たちが「今頃そんなことを言われてもねえ」という態度だった(ように見えた)ことと比較すれば、約20年の歳月、自分の中のポーランドをどのように消化していったのかを、彼と父親との関係を丹念に追うと同時に見せてほしかった。ドキュメンタリーで何を表現しなかったかを説明するのは難しい。たくさんの取材の中で、これは省くと決めたこと、それを理由だけ語って内容を見せない、ような方法で短く伝えるようには出来ないものだろうか。