パロップのブログ

TVドキュメンタリーの記録は終了しました

BS1『BSプライムタイム』〔イラク戦闘終了後の検証シリーズ〕2「イラクの子・ふたりのアリの悲劇」(A Tale of Two Alis)  

2004/1/6放送分、50分、制作:英・シャイン・リミテッド・プロダクション/チャンネル4(2003年)、プロデューサー/構成:モニカ・ガーンジー、【日本語版】導入:柳澤秀夫解説委員、制作統括:古川潤
NHKサイトでは(A Tale of Two Alies)、番組内では(A Tale of Two Alis)。一応、スペルが違うと指摘。
チャンネル4の公式サイトは以下:
http://www.channel4.com/news/2003/special_reports/24_cedgeali.html
本国での放送は2003年9月24日(午後9時〜「Cutting Edge」のコーナーで放送されたらしい?)。アリ・アバスが13歳で、アリ・フセインが6歳のようだ。6歳とは思えないアリ・フセインの才気とフセイン父の聡明さ、フセインの側にいたキュートな女の子ファラの助演女優賞っぷりが、見応えのある物語を作った。
「2人のアリの物語」となっているが、実際には有名になったアバスのカウンターとしてのアリ・フセインの物語。「アバス君がイギリスで学校に行きながら治療を受けられ、フセイン君が形成外科手術も受けられないままバグダッドへ帰されたのは偶然の積み重ねで入れ替え可能なんだよ」と言いたげな作りだったが、実際にはアバス君はハンサムだし、協力的だし、メディア受けする雰囲気を持っている。フセイン君がアバス君の立場になれた可能性は正直あまりない。
アバス君が英連邦圏内で大々的に取り上げられたらしいのは何となく分かったが、日本でどうだったのかは日頃ニュースを見ないので分からない。なので検索してみた。
http://www2.asahi.com/special/iraqattack/TKY200304180117.html
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik2/2003-04-12/07_03.html
結果、検索上位には赤旗朝日新聞しか出てこなかった。
また、番組内で「アバスの独占報道権を新聞とテレビ各1社が獲得した」というナレーションがあり、その部分を副音声で聞き直すと「ミラー紙」というのは分かった。『赤旗』のWeb紙面にもあるが「ミラー紙」とか「イブニング・スタンダード紙」って、いわゆるタブロイド紙だろう。そういうところがネタ仕込みに契約金払って連日「ベッカムがアバス君にユニフォーム贈る!」みたいなキャンペーンを張っていたわけだ。で、赤旗や朝日は「反戦のネタになるなら情報ソースなんて何でもいいや」って、記事を引っ張ってくるわけだ。
NHKサイトの「イラク戦争が罪のない一般のイラク人にもたらした辛い現実を描いたドキュメンタリー」という説明も嘘ではないが、番組の意図は「メディアが金儲けのために大勢いる被害者のうち一人だけをセンセーショナルに取り上げ、それが結局生活や治療の待遇、その後の人生にまで影響を与える事をどう考えるの?」というイギリス得意の報道検証が本筋だろう。