パロップのブログ

TVドキュメンタリーの記録は終了しました

BS1『BSドキュメンタリー』「クルド人居住地を行く〜トルコ南東部 最新報告」

2005/6/6再放送(6/4初回放送)、50分、構成:新田義貴、制作統括:山本展也
番組のタイトルからフリーのビデオジャーナリストによる手持ちカメラ風映像を想像したのだが、実際は16:9画面(恐らくハイビジョンカメラ)の素晴らしく綺麗な映像。美しいアララト山が見られただけでも充分評価出来るというか、政治的な側面や住民の営みを抜いた『世界の車窓』的な番組を別に制作して欲しいくらいだ。
中に出てきたネヴローズ(新年の祭)が3月21日、また「4月にPKKが武力闘争を再開した」というナレーションから、大体その辺が撮影期間と思われる。
レポ最終地、イラク国境の町まで来て「ここで1929年に民族独立を求めるクルド人の反乱がありました」というナレーションが入る。旅の方向がイスタンブルから東へ東へという番組構成ゆえに仕方ないのかもしれないが、民族独立を求める武力闘争とその裏返しの政府軍による鎮圧というものはどこでも、いつを歴史のスタートに置くかによって受ける印象も変わってくるので、歴史的に重要な情報を番組の最後ら辺まで視聴者に与えない構成にはやや疑問が残る。少なくとも制作者が「1929年の反乱鎮圧から現代史におけるクルド人の苦難が始まった」という視点で物語を組み立てていることは、番組の最初に示してくれると有り難い。