パロップのブログ

TVドキュメンタリーの記録は終了しました

『BSプライムタイム』「エルサレム・二つの家族」

9/13放送分(初回放送は9/2・BS-hi?)、90分、構成:坂元信介/酒井裕、制作統括:三雲節/山内聡彦/林新
19世紀終わりから現代までのエルサレムの歴史を、リュミエール兄弟撮影のエルサレムベングリオンの書簡/アラビアのロレンス/イギリス政府作成の中東分割地図など貴重な歴史映像・史料を利用してマクロに、代々その地に住むユダヤ人とムスリム一族の末裔に証言させてミクロに、多面的に描いている大作だが、やや詰め込み過ぎかも。内容が多すぎるというよりも、末裔の話が本筋に絡んでこないので勿体ない感じ。
12世紀から代々キリスト教会の鍵を管理するムスリムでさえ、自分からやる気にならないとユダヤ教徒の事を全然知らなかったというのが、結構驚き。現場レベルの知識人階級は、相互に文化的な背景なんかを教え込まれて受け継いでいたのかと思っていた。
「難民の帰還権」放棄の話とか、第3次中東戦争で占領された東エルサレムのアラブ人に「イスラエル国民になるか、難民になるか」の選択があったという話とかを聞くと、難民キャンプにいる人々というのは上層部の政治的武器として利用されている存在なんだろう。奪われた土地を取り返した時に、難民が存在しなかったら困るから。団体内でも立場の弱い未成年の女子にチョゴリを着せる総連や民団と同じ発想。
第1回シオニスト会議の映像を見て思ったどうでも良い事だが、支配者層の会議(ウィーン会議等)は、宮殿などに偉い人を集めて踊ったりしている合間に社交の一部として和平なんかを話合っていたのだと思うが、当時の民間団体が会議を開こうと思ったら、どこでやったのだろうか。コンベンションセンターとか無い時代だろうし。