パロップのブログ

TVドキュメンタリーの記録は終了しました

『世界わが心の旅』「サラエボ〜霧の中の演劇を探して」

2002/1/8放送、構成:青戸隆明、プロデューサー:本間岳史、制作統括:草川康之/豊永充夫
旅人は女優で演出家の木野花氏。コーディネーターにユーゴ関係のサイトでは有名な大塚真彦氏。戦争前最後の演説をするネルミン氏の映像が流れたが、それには民族融和への訴えと3派の民族指導者への等しい批判が述べられていたように思われる。そのネルミン氏は戦後、ボスニア政府からこれまでの功績に考慮して車椅子を持ち上げるリフトをアパートにつけてもらった。サラエボボスニア政府はいうまでもなくムスリム主体。番組でははしょられた政治的な背景をちょっと邪推する。このシリーズが気に入ったのは、米原万里氏の旧友を訪ねる回が面白かったからで、それは彼女の感動的な個人の旅と当時(1960年頃でもあり1996年頃でもあり)の社会情勢の変化がうまく縦横の軸になっていたからで、旅の必然と番組の必然の両方があった。しかし今回のように「私ってば一度行って見たかったわあ」というのは、出てくる(元々旅人とは全然縁のない)現地の人間が皆、旅人が(又は番組制作者が)欲する感動物語のダシに使われているようで、気分のいいものではない。