パロップのブログ

TVドキュメンタリーの記録は終了しました

『スパルタ・プラハ対シグマ・オロモウツ』

2006/11/11、トヨタ・アレナ、入場料:110コルナ、観衆:5530人

小雨もぱらつく極寒の天候のなか、寒い内容の試合。スパルタが中盤でモタモタしては、オロモウツが奪ってカウンターを仕掛ける展開。どちらも精度を欠く。前半ロスタイムに左サイドの深い位置からクロスを上げると、誰かに当たってドフリーのドシェクの足元へ、これを落ち着いて決めたスパルタが先制、そのまま終了。内容はひどかったけど、ウィンターブレイクを前にスパルタは暫定首位に立ち、サポは大喜びで、試合終了後はピッチの選手と万歳を繰り返していた。翌日、前節まで首位だったリベレツが負け、スパルタは正式に首位ターン。
試合経過はいちいち覚えていないので、代表クラスを揃えるスパルタを中心に、翌日の地元スポーツ紙の採点をみながら選手をチェック(少しばかり発音を学んできたので、カタカナ表記もそれにならってみる)。
ヤロミール・ブラジェク(GK)採点8…ラインの裏に抜け出した相手選手との1対1を2本防いだので、文句なしのマンオブザマッチ。半袖で頑張ってた。新聞では「好調だし、チェフも怪我しているし、今度の代表戦は先発もあるのでは?」みたいなことが書いてあるっぽかった。
トマーシュ・ジェプカ(CB)採点4…屈強なイメージがあるけれど、この試合では1枚余ってスイーパーみたいだった。裏に抜け出されたのは中盤に責任ありだったし、ここまでひどい採点でなくても良いだろう。スパルタのフィールドプレーヤーでは1人だけ半袖で、むやみに元気な印象。ボールを持って相手のプレス2枚をドリブルでかわしてパス出した時は「お前がそんなこと出来るのかよ?!」みたいなざわめきが起こり、先制した後のロスタイムにタッチライン際でクリアボールを思い切り広告看板にぶつけた時は「あっはっは、あいつらしいよ」という温かい空気に包まれた。国内でも足元へたっぴなハードマーカーという扱いなんだと思った。サンフでいう戸田みたいに、本人と周囲でギャップがあるのだろう。
トマーシュ・シヴォク(CB)採点5…年代別でもキャプテンを務め、最近はフル代表にも呼ばれ、とても期待していたのだが。中盤の選手かと思っていたが、CBをやっていた。身長があり、ロングボールはシヴォクが跳ね返し、ジェプカがカバーリングという形で、破綻はないものの、攻撃の組み立てに参加するでもなく、テクニックに優れているでもなく、物足りなかった。
ミハル・カドレツ(LSB)採点5…彼も年代別代表の常連。親父さん同様、CBとしてキャプテンシーを発揮するタイプなのかと思っていたのに、チーム事情なのかサイドバックをしており、プレーも淡泊な印象。無難といえば無難、「裏を取られた!」とみえても、追い掛けて追いつき、いつの間にか体を入れてボールを奪う。攻撃では、前のマツショヴィチと協力してスルスルと上がり、クロスをミスれば淡々と戻ってくる。サンガの角田っぽい。余談だが、ジェプカとは仲が悪そうな空気を感じた、何となくだけど。
ズデニェク・ポスピェフ(RSB)採点5…フル代表でみた覚えがあった名前だが、かなりの足かせ。1対1に弱くてガンガンにサイドを切り裂かれていたし、守備の負担が大きかったのか、上がる場面もほとんどなかった。もっともこれは前のコラージュが全然守備をしなかったのも原因。
パヴェル・ホルヴァース(DMF)採点5…お馴染みのホルヴィだが、前半10分にペナの外から鋭いミドルシュートを放った以外は、ほとんど地蔵だった。神戸時代はもう少し動いていた印象があるのだが。前半途中から左サイドからのFKをマツショヴィチに任せるまでは、CK・FKとも全てホルヴィが蹴っていた。それから中盤の底で腰の回転で顔を向けていない方向へサイドチェンジのロングパスを出すと、観衆から「おおぉ!」というため息混じりの歓声が上がっていた。よくよく思い出しても、チェコの選手はサイドを変えるロングパスとかほとんど出さない。代表の試合でも、ヤンクロからポボルスキへのピッチを横断するパスとか見た記憶がない。必ず中盤のガラセクやロシツキを経由する。
ルボシュ・フシェク(DMF)採点5…カトレツと同じ年代別代表に選ばれている。ホルヴィと組む彼が個人的には最低点。身長があってフィジカルがあってゲームをコントロールする。スペインでいうところのピボーテシャビ・アロンソ的。なんだけど、こいつにボールが収まらない。パスミスするどころではなく、トラップが全部大きくなって相手にカウンターを食らう。これではDF陣に出来ることは少ない。
ダニエル・コラージュ(ROH)採点6…1985年生まれ、年代別代表にも選出される期待の若手なんだろうけど、個人的にはあまり評価出来ない。確かに2〜3度右サイドをえぐって中央に低くて早い危険なクロスを上げた。縦への突破力はある選手のようだ。だが他の場面であまりにもゲームに絡まない。守備に戻ることもほとんどない。ポスピェフがボロボロだった要因にもなっているだろう。欠点や確率よりも発生したチャンスの数で評価するのがチェコ式採点なのだろう。それも間違いではないだろうが、それにしてもプレーの成功率が低すぎでは。
ミロスラフ・マツショヴィチ(LOH)採点7…確か2003-04シーズンに得点王となり、ユーロ2004直前キャンプにも呼ばれた(けれど最終登録で落選した)のでストライカーだと思っていたが、実際は左サイドを縦横に駆け回っていた。小柄だが、スピードがあって、クロスの精度もあるし、守備にも貢献。見ていて清々しい選手。今年のワールドカップにもシュミツェルに代わって連れていけば良かったのではと思うくらいだが、多分それは「代表の試合は出てない選手の評価が上がる法則」そのもので、実際に国際試合となれば、色々と足りないものがあるのかもしれない。
リボル・ドシェク(FW)採点7…シドニー五輪代表でもみかけたヒョロヒョロ電柱。その後、行方知れずだったが、フィジカルが向上したのか、ここ数年からスパルタの試合で見掛けるようになる。相変わらずヒョロヒョロで、このレベルの相手に足元に収めるのがやっと、ハイボールにはあまり競り勝てない、では、とてもコレルやロクヴェンツの代わりが務まりそうにはない。ただ、DFを背負ってボールを受けながらトラップで少し浮かせ、反転してボレー、というプレーを2回ばかりやっていたので、本人の中では足元のテクニックにかなり自信がありそう。
マウロ・リストリネッリ(FW)採点4…名前からしてイタリア2部辺りから、得点感覚に優れた微妙なFWを買ってきたのかと思いきやスイス代表で、スパルタ公式サイトによると今年のワールドカップでも活躍したらしい。電柱と組む2トップらしく、小柄で、あまりスピードも運動量もないけど、ゴール前で小賢しくウロウロするタイプ。こういうポジショニング重視な選手は得点をとらないと低めの採点になるのは仕方ない。
ヤン・シマーク…68分、リストリネッリに代わって出場。ドイツにいた頃はもう1つ後ろのポジションだったと思うが、この試合ではリストリネッリの位置へそのまま入る。1点リードしているチームのために、前線からチェイシングしたり、味方からの裏へのパスに飛び出したり、試合を畳むのに貢献していた。少し猫背に丸まって、ラインの裏へ抜ける感じが、サラゴサにいたフアネーレをイメージしたが、今のキレだと代表復帰はない。
カロル・キセル…75分、コラージュに代わって出場。こちらも同ポジションに入り、コラージュより精力的な動きで、試合を畳むのに貢献。
トマーシュ・ユン…ほぼロスタイム、ドシェクに代わって時間稼ぎ要因。それでも腐らず、終了まで前線で頑張って走ってた。どちらかといえば、フィニッシャー(リストリネッリ)よりポスト(ドシェク)のタイプだと思うが、それで監督の選択肢がドシェクならば、今後もあまり出番はないかもしれない。もちろん、ウィンターブレイク中に何があるのか分からないのが、今のチェコリーグだが。16日の新聞には、オーゼールで干されているボルフがオストラバ入りするのではないかという記事もあった。
出場しなかった選手には、フル代表経験もあるフランス帰りのDFヴァーツラフ・ドロブニー、同じく代表でその名を見た記憶があるイジー・ホモラなどがいる。他に、ルドヴィク・シルヴェストレという謎のフランス人もベンチ入りしていたが、試合前のアップを見る限りでは、あまりチームにとけ込めてなかった。

オロモウツは狙って「しっかりカウンター」というよりは、スパルタが中盤でポロポロするので否応なく速い攻め。決定的なチャンスを決めておけば、といったところ。11メリーニョ(採点4)というブラジル人くさい選手の前に、19ヴォイチェフ・シュチェパーン(採点6)、16シュルメイステル(採点4)、18マルティン・プルケルト(採点6)が縦横無尽に仕掛けるパターンだったが、正直ブラジル人は役に立っておらず、前の3人でチャンスを作っていた。3人の誰が誰だかはよく分からなかったが、翌日の新聞にはシュチェパーンが顔写真入り囲み記事で紹介されていたので、彼が期待される選手なのではないかと推測する。1985年生まれ。余談だがユニフォームの胸スポンサーはマツダ。「シグマ」「マツダ」に思わず反応しそうになったかといえば、そんなこともなく興味なし。
マッチデープログラムの表紙&特集は今シーズンからコーチに就任したホルスト・シーグル。スパルタではロクヴェンツと組んで多くのゴールを挙げた英雄が余所で現役を引退しての御帰還なんだけど、コーチが表紙というのに微妙な違和感がないでもない。
全体的に国内リーグのレベルが試合も選手も低下しているのではないかと危惧する。