パロップのブログ

TVドキュメンタリーの記録は終了しました

『Nスペ』「〈激流中国〉チベット 聖地に富を求めて」

2007/10/7初回放送、50分、撮影:小口修一、取材:坂本敬、ディレクター:鐘川崇仁、プロデューサー:矢島良彰、制作統括:角英夫/北川恵、共同制作:NHKエンタープライズ、制作・著作:NHK/テムジン

そのチベットに1950年、建国間もない中国政府が軍を進めます。やがて、混乱の中で寺院など多くの文化財が破壊され、激しい抵抗運動が起きました。

というのが、NHKの公式見解と考えてよいだろうか。「〜が破壊され」というのは、誰が破壊したのか主語のない文章。「抵抗運動が起きました」も、何に抵抗するのか示していない。いつ高級官僚に転職してもやっていける名文。たとえば「混乱が寺院を破壊した」「チベットは混乱に抵抗しました」という意味だったら、それはそれで面白い。責任の所在をはっきりさせたくない時には擬人化された“混乱”で乗り切ろう。「混乱で数万人が銃に撃たれて死にました」とか応用して使えそう。
不勉強なので正しいことは知らないが、明治初期に日本から仏像やら日本画が海外流出したみたいに、チベットにまつわる品も二束三文で売られ、チベットが完全に漢化した頃、昔を懐かしむためにチベットへ里帰りすることになるのかもしれない。古い慣習をドブに捨てた先行者としてチベット人にアドバイスするとすれば「資本主義に魂を売る生活もそれほど悪くないよ」。