パロップのブログ

TVドキュメンタリーの記録は終了しました

BS2『世界美術館めぐり』「フェリックス・ヌスバウム館」

2003/2/16放送、構成:福田孝、制作統括:上村和彦/西松典宏
NHKによくある空き時間埋め草番組。『日曜美術館』で放送した「ヌスバウム特集」(2002/6/23付参照)で取材した内容をそのまま流用しているわけだが、VTRの合間にスタジオから解説が入ったりしないので、本放送よりもまとまりがあって見易かったりする。NHKのやる事は謎。本放送でもそうだったが、ヌスバウムが南仏のサンシプリアン収容所に入れられたのは、ベルギー政府の敵国民(ドイツ国籍)だったからだという事が、さりげなく無視され、「収容所の悲劇=ナチ」という構図を利用し過ぎなのでは。ヌスバウムが常に持っていた「曲がり角」に象徴されるような不安というのは、「ナチスが台頭してきたから」ではなく「ユダヤ人に生まれたから」という部分から作られていると思うのだが。個人的には、徐京稙氏も日本帝国が朝鮮にした事と、韓国の軍事政権が兄(若い共産主義者だったか?)にした暴力を相対化出来ているから、ある意味面白い存在なんだと思っているので、そういった冷めた視線が番組に反映されているともっと良かったのに。