パロップのブログ

TVドキュメンタリーの記録は終了しました

BS1『BS特集』「放送は通信とどう融合できるのか〜アメリカからの報告」

2006/3/19初回放送、50分×2、第1部:何がビジネスチャンスになるのか、第2部:メディアの信頼性は保てるのか、キャスター:藤沢秀敏(アメリカ総局長)、撮影:佐藤努、コーディネーター:野口修司/大杉友里、リサーチャー:中里雅子/杉田晶子、取材:浜野高宏/市川光、ディレクター:古澤健/酒井裕/宮澤祐介、制作統括:三雲節/林新/千本信昭/古川潤、共同制作:NHK情報ネットワーク、制作・著作:NHK
第1部と第2部の両方でボストンにある公共放送局WGBHが登場したが、第1部ではポッドキャストを活かしたラジオ局の例として公共放送局云々の説明抜きで紹介され、第2部ではネットで過去の放送やら時間内に納まらなかった取材映像などを公開している先進的な公共放送局として紹介されていた。現地でWGBHを取材したのは同じ人だろうに、この関連性を感じさせない別物扱いは何。恐らく第1部と第2部は各々別のディレクターが作り、内容や用語のすり合わせとかしないんだろう。とはいえ、内容そのものはネットジャーナリズムの流れがうまく説明されていて、なかなか面白かった。

WGBHは良質のドキュメンタリーを制作している放送局で、NHKもかなりお世話になっているはず。以前、自分もNHK改革の参考になるのではないかと以下のような文章を書いた。

本国では2003年10月9日に放送され、翌10日には番組のプロデューサーであり、ライターであり、レポーターであるマーティン・スミス氏がオンライン・チャットで、視聴者の質問に答えている。(中略)。またサイトで番組を見る事が出来る。さらに本放送ではカットされた個々のインタビューも見る事が出来る上に書き起こしもある。高校の授業で使用するための教師へのガイドブックまである。番組のビデオも売っている。ネットで無料配信&ビデオで販売、これ最強。NHKもこのくらいの事はして欲しい。というか、NHKがどこぞにアーカイブの博物館をオープンした時「番組放送分だけでなく、カット分まで史料として公開してこそのアーカイブだろ」という要望をしようかと思っていた。
http://d.hatena.ne.jp/palop/20040105

今回の番組の中でも、VTRのネット配信といったような事が紹介されていたが、「いま米国の現状はこうですよ」という他人事のような取り上げ方は何なんだろう。仮にも同じ公共放送局なのだからNHK幹部にインタビューしろとまでは言わないまでも、要所では「我々NHKもこういう事をしていきたいなあ」「残念ながら日本でこういう試みは無理ですなあ」みたいな当事者の視点があっても良かったのではないだろうか。結局、この番組を作ったNHKの中の人が何を考えているのかさっぱり分からない。ただ、ディレクター3氏を軽く検索してみると、古澤氏は非ドキュ映画の脚本家、酒井氏はNHK制作子会社在籍、宮澤氏は元TBSのフリージャーナリストという事で、NHKの今後について別に問題意識もなく、請負仕事として純粋に且つ無邪気にアメリカの放送と通信の現状を伝えるドキュメンタリーを作ったのかもしれない。
明日20日の19時30分から20時45分までNHK総合で『NHKスペシャル』「放送記念日特集〜第1夜:テレビとネット アメリカ最前線リポート」という番組が放送される。恐らくこの番組の75分短縮バージョンだろうと思われるが、どこをどうカットするのか要チェック。第1夜でWGBHの例を丸々放送し、翌21日の第2夜:討論でNHK改革について前夜の例を絡めた刺激的な提案が聞けたらば面白いのだが。

Wikiをみると「ポッドキャスティングは、米国アップルコンピュータ社のポータブルオーディオプレーヤーであるiPodアイポッド)と、“放送”を意味するbroadcasting(ブロードキャスティング)を組み合わせた造語である」という説明になっているが、NHKは「iPod」という商品名が言えないので「携帯型ハードディスク」と言い換えてみたものの、ポッドキャストの説明は「『放送』を意味するブロードキャストになぞらえた〈ポッドキャスト〉と呼ばれるシステムです」で済ましている。「ポッド」の部分が何に由来するのか説明出来てねえよ。
グヌーテラを開発した若者の映像を初めて見られたのはちょっと嬉しいが、検索してみたら、ソフト開発者(当時)のジーン・カーンさんは自殺していた。映像の中では著作権等に関してウィニーを開発した人みたいな挑発的発言をしていた。