パロップのブログ

TVドキュメンタリーの記録は終了しました

自分の事

WOWOW『ラスト・ゲーム(He Got Game)』(1/27放送分)。「スパイク・リーは終わった」という事にされている感じもするが、物語を作らせたら、やはり凄い才能。時代とずれたからといってアイディアが枯れた事にはならない。出てくる誰もが完璧ではない代わりに、欲に動かされているだけの悪い人ではないという設定も良い。考えの基本に物欲を据えざるを得ない程の貧乏というのは、理解出来ない人には出来ないものだろうから非難は出来ない。父親を「誤って刑務所にいるけれど、息子を思いやる」といった良い人物に描けば、感動の物語なんて簡単に出来るだろうに、要所要所でダメな部分を見せてそっち系にはいかない。妻殺しも「事故」なのに殺人犯だったらすっきりするけど、日頃からドキュンな行動をしていたのは否めないし。「息子のため」ではなく「仮釈放を早めたくて説得に来た」とはっきり言い切っているにもかかわらず、結局父親のために大学を選ぶ息子。それは愛情とか同情というよりも、ジーザスが貧しい育ち、金の成るバスケットボール、それらを含めたシステムの手にいる以上、感情の入り込む余地のない「役割的」な選択という気がしないでもない。リーの「選手もコーチもその周囲の人間も観客もシステムの中で踊らされているだけ」という現代スポーツへの(捨てきれない愛情も含めた)諦念が感じられるなかで、親子が先代「ジーザス」について歩きながら語る場面は名シーン。物語の場面とバスケをしている場面で、映像のテイストが違うのは微妙だが、監督の「うそっぽいプレーの映像だけは我慢出来ない」というこだわりだろうから許す。正直ミラジョのパートはなくてもよかった。パブリック・エネミーの主題歌が格好良かったからサントラ300円くらいで売っていたら欲しい。コニーアイランドのボロ遊園地は映画的に見栄えがするのか、よく見る。コニーアイランド周辺は古い時代設定だと、イタリア系の住む街のはずだが、今は貧しいアフリカ系の住む低所得者層団地なのか。私が行ったリトル・オデッサと砂浜から海岸通のベンチまでほとんど同じ作り。リーもコニーアイランド育ちなんだろうか。貧しく危険な環境のなか、若い時に凄い才能を発掘され、大学の映画学科に奨学金を貰って通うことが出来た、それこそジーザスと同じ奇跡的な存在なのか、アフリカ系のなかでも両親が教師かなんかで比較的恵まれた環境のなか、ちゃんと勉強もして地元の大学に通う事が出来た青年だったのだろうか。映画監督もNBAプレーヤーも「才能と幸運と努力が入り混じった奇跡的な存在」「どんなに才能がある奴でも、どこかで脱落していても不思議ではないし、ちょっと停滞するといくらでも下から凄い奴が現れる」という意味で親近感を抱いているような気はする。コニーアイランド出身という事で、引き合いに出された「ステファン・マーベリー」ネタがちょっと面白い。やはりNYの引き画像でツインタワーあり。検索結果:撮影した時、レイ・アレンは23〜24歳で、既にNBAプレーヤー。17歳の時に生まれた娘がいるらしいので、妹の親代わりという設定をよく理解しての起用か。