パロップのブログ

TVドキュメンタリーの記録は終了しました

『NHKスペシャル』「9.11テロ・一年目の真実〜ビンラディンvsアメリカ」

2002/8/31放送、構成:寺西浩太郎/海保香織、制作統括:山本浩/手嶋龍一/安斎尚志/桜井均
マイケル・ジャクソンの新曲をかけてくれよ」で始まるイメージ映像から、5月にBH-hiで放送した2時間スペシャルの縮小焼き直し版かと思いきや、かなり追加取材あり(但しスタッフは桜井均以外同じ)&ハイビジョン版ではテロリスト側からのヒストリーだったが、今回はアメリカ側のテロ対策に焦点(当時の政府内スーダン担当者へのインタビューなどは初出だろう)というか、クリントン政権の間抜けっぷりを糾弾。ちょっと右系のサイトを読んでいると、アメリカ民主党に対する評価が恐ろしく低いのだが、確かに北朝鮮やユーゴなんかに対する戦略も人道も中途半端な「困っているらしいから助けよう」精神は、傍迷惑だった。番組をみていると、タレコミ屋と世界一のスパイ技術でアルカイダの全貌は大体分析出来ているのに、結局政治的な戦略というか能動的な方向付けがないと、何の意味もなさないことがよく分かる。個人的には国防総省に飛行機が突っ込んだ映像は初めて見た。冗談だが、アルカイダの実態がこれだけ明らかになっているのだから『プレジデント』あたりで「アルカイダに学ぶ部下をやる気にさせる操縦法」とか「目的を確実にやりとげる驚異の組織論」なんかが掲載されても良いような。やったことの是非ではなく、その過程に関する限り、よく出来た組織だろう。思想担当ザワヒリ資金担当ラディン、現場担当アタと、それぞれが上下関係にあったというよりも、下っ端でもアイディアを出し、それが良ければ少人数のプロジェクトチームが出来て豊富な資金が下り、理論的な裏付けを与えられ、という風にすごく理想的なベンチャー企業として捉える人はいないのだろうか。経済評論家って、広岡でも長島でも野村でも、何でも企業の組織論に例えるのが得意なんだから。