パロップのブログ

TVドキュメンタリーの記録は終了しました

4月19日水曜日:プラハ2日目

少し早めに行ってみる。店に入ったのは試合開始15分程前。1人2人だけ席についている丸テーブルがいくつかあったが、どうやらキックオフぎりぎりまで来られない友人のためにとっているらしく、今日も立ち見。ほぼスクリーンの正面で両カードともよく見える位置ではあったが、昨日の反省から店に入る前にちょっと食べ物を詰めてきて、あとは2時間ビール1杯でもたせる予定。今日のメインはマンチェスター対レアルで、小さくバイエルンポルト。最初に歓声があがったのは大写しになる主審コッリーナ。「ああ、あいつだよ」という共通理解のざわめきに、コッリーナ氏の世界的知名度恐るべしの印象を強くした。今日の目立つ人材はマンチェのレプリカ着たのが1人と、何故か今日グアルディオラの若者くらいで、あとはどちら贔屓ともいえない人々。プラハでは、アフリカ系の人を結構目にするが、イギリス・フランス語圏からの旅行者というよりかは、旧社会主義圏つながりで受け入れているアフリカからの留学生のようだ。立ち見のお隣さんはオラジュワンみたいな背の高いおっさんで、彼はスーツに書類カバンを持って仕事帰りのようだった。店の人とは顔なじみなのか料理を持って行き来するウェイトレスが前を過ぎる度に一言かわしては笑いかけていた。しかし、彼は何も注文せず、ハーフタイムには少し離れたテーブルに着いていたブラザーたちにちょこっと挨拶をした後、また私の横でずっと試合を見ていた。彼はムスリムだから酒が飲めないとかそんな理由を店の人に話していたのだろうか。ただ彼のおかげで、自分からカウンターへ行かずとも店に入れば、黙っていても「何にしますか」と尋ねてくるもんだということが分かった。当たり前か。日中歩き回っていた私の足の裏は靴づれで赤く腫れ、立っているのも限界に来ていた。試合開始前、自分の左側に置いてあった4人掛けの長椅子の右端が空いていたので、座っている若者に「空いているか」と尋ねたら、「もう1人来る」というので、「友人がもう1人来るのか」と思ってあきらめた。ところがやって来た年輩の男は、さっき私に答えてくれた若者と話もせず、座って5分も経たないうちに目の前の丸テーブルの空いた所へ移動した。もう一度席が空いたのか尋ねてみようかと思いつつも「もう1人」とは別の友人のことかもしれないし、と考えあぐねていると、私の3人程右にいた(つまりよりスクリーンに対して角度のある)男が「座っていいか」と聞いている。すると長椅子の若者が私を差して「彼の方が先に尋ねたから彼に権利が」と言ってくれた。しかし、もめ事になって言い争いになったらどうしよう、とびびった私は、勇気を出して尋ねた奴のもんだと自分に言い聞かせ、譲った。相当な愚か者だった。だからレアルの勝利がほぼ決まり、今日はとっとと帰れると安堵していた後半45分、もう片方の試合でジャルデウのヘッドが炸裂した時、私は泣きそうだった。「また延長かよ」。その1分後、バイエルンの誰だかわからないが決勝点を挙げてくれた時、本当に神に感謝した。それにしてもラウールはすごい。日本に帰ってこの試合を見直すと、確かにシルベストレは叩かれて当然だったが、生で見たその時は、そのテクニックと冷静さに唸った。レドンドの突破も素晴らしかったが、ベルクはやはり世界一になるチームのディフェンダーではない。まあレアルのイヴァン・カンポも似たようなものかもしれないが。試合が終わると、例のグアルディオラ君がマンチェ君に慰めの言葉をかけに寄っていたが、マンチェ君もそれほど口惜しそうではなかった。