パロップのブログ

TVドキュメンタリーの記録は終了しました

4月18日火曜日:プラハ1日目

午前5時に堺の友人宅を出て関空より離陸。フランクフルトで乗り継いで、プラハの空港に着いたのは17時半だったが、その日の宿を探すのに手間取り、荷物を降ろして『地球の歩き方』に載っていたスポーツ・バー『ズラター・フヴェズダ』に着いたのは、20時を15分程回ったところだった。バルセロナチェルシーは、前半30分、1対0でバルサがリードしていた。
バーは入り口に近い方からテレビゲームやビリヤード台が置いてある部屋が2つあり、通路に2、3個の椅子が置いてある場も含めて、それぞれの部屋の隅の高い所にテレビが合計4〜5台備え付けてある。ビールを注ぐカウンターの前を通り抜けると、奥に学校の1教室くらいの部屋があり、4人掛けの丸テーブルが約10台、長椅子のみが数個、部屋の正面には大きなスクリーンが設置され、その横と対角の隅に小さなテレビが3つで計4台のテレビがあった。大きなスクリーンにはバルサチェルシー、残りのにラツィオバレンシアと2試合を同時に見ることが出来るようにしてある。プラハっ子がどちらを応援するのかをチェックした。というよりか、ヨーロッパの人々は自分とこのクラブ以外には興味がないという神話が本当か確かめることにした。結論からいえば、やっぱりみんな強いチームが好きだし、大抵の一般家庭は衛星放送なんて加入できないので、バーは大盛況だった。遅れて入って来た私は満員すし詰めの中、メニューはテーブルに着かないと分からないし、何か頼まないと追い出されそうな気がするしと思い、カウンターへ戻ってビールのジョッキを頼み、それから正面のスクリーンから右30度、ほとんど角度のない所から、もう1試合に至ってはちらっとしか見えない所から壁に沿って立ち見することになった。
2次リーグで我らがスパルタ・プラハを破った憎きバルサかと思いきや、前半ロスタイム直前にフィーゴのゴールが決まると、10人くらいが立ち上がって大盛り上がり。しかし後半が始まってすぐフロのゴールでチェルシーが1点返すと、今度は大盛り上がりが10人にプラス部屋全体にうれしげな空気が流れる。特別な感情は持たずにヨーロッパのビッグゲームを楽しむ。ただ、ちょっとだけアンチ・バルサ、そんなところか。その中で1人だけAUTOGLASSのレプリカを着て気合いの入ったさわやかな青年が目に止まった。しかも彼女連れで。旅行中のイギリス人だろうか。3対1とされ、さらにリヴァウドにPKが与えられた時、スクリーンではなく、彼を観察することにした。一瞬の静寂、続いて沸き上がる大歓声、彼のはしゃぎようで結果は明らかだった。スクリーンに目をやると、ゴールポストの外をボールが転がる再生映像が流れていた。PKが決まってそのまま試合が終わることを願っていた私は、リヴァウドに恨み言をつぶやいていた。
この時ハーフタイムの頼んだ2杯目のビールを飲んでおり、かなり気分が悪くなりつつあった。人混みの中、空腹のままとりあえずビール、立ちっぱなしで500ミリリットルを2杯で目がクラクラしてきた。
さらに心配だったのは終電の時間で、現在スコアはトータルで4対4、延長となればさらにもう30分かも(実はチャンピオンズリーグのレギュレイションにゴールデンゴールがあるのかどうかを知らなかった)。宿のおばさんが身振り手振りで説明してくれたところによれば、宿は24時間出入り自由だが、市電も地下鉄も24時を過ぎると止まる、そうなったら歩いて帰るしかないよ、ということだった(最初はバーに近い宿を探したのだけれど、どこも「今日はもう一杯だ」ということで、「歩くのはちょっといやだ」という所に泊まることになった)。ちなみにおばさんは説明しながら宿に壁に指で「40」と宿までの市電の番号らしきものを書いてくれたが、後で調べても全然違うし、結局何の数字だか分からなかった。いつも見知らぬ土地を旅行する時は、「えいや!」で乗り物に飛び込んで、反対方向に進み出すと最初の駅で降りて折り返すのが得意な自分は、終電ぎりぎりで帰る勇気はなく、試合途中で店を出ることも覚悟した。
ところでハーフタイムの間、スタジオ解説にヨハン・クライフが出ていた。どうやらテレビ中継は2試合ともチェコの地上波でも『ユーロスポーツ』でもなく、ホーム各国のテレビ局が製作した映像を実況その他も含めてケーブルテレビに引っ張っているのだろう(次の週はちゃんとテレビガイドを買った)。但し、ハーフタイムは店員がテレビのボリュームを下げ、各テーブルは食事アンドおしゃべりタイムとなっていた。
また、ひとつ明らかになったことは、テレビで2試合同時に見るのは不可能だということだ。ベーロンのミドルシュートが決まった時も、まず一呼吸置いてわずかな反応があり、リプレイが流れて「ああ、こりゃすげえな」。で、また視線は大画面へ集中。カンプノウが白熱したゲームだったのに対し、ローマはファースト・レグでほぼ勝負の行方が見えていたからだろうか、ネドヴェド効果もあまりなかった(しかも彼は前半で下げられたし)。とにかくフットボールは交互に見ていても一瞬を見逃してしまう。そんなゲームで、片目ずつ両方を、なんてもちろん無理。
さて延長前半、ババヤロが退場の上にリヴァウドがまたもPKを蹴る。自分はもちろんAUTOGLASSの若者に視線を送る。あーあ、気の毒な程がっかりしてる。さらにクライファートが駄目押しのゴール。彼は泣きそうな顔で祈っている。彼女が横から彼を抱きかかえ、耳もとで何かささやいている。「まだまだこれからよ」というよりは「バルサを相手にここまでよくやったわ」という感じだった。
23時40分、無事地下鉄で帰宅。明日もこれの繰り返しなんだろうか。