パロップのブログ

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『ETV2002』「暴走は止められるか〜広がるテロ・ネットワーク」

2002/2/7放送、構成:寺西浩太郎、制作統括:有吉伸人/大貫康雄
「追跡アルカイダ〜ヨーロッパからの報告」の後編。前半は飛行機テロ未遂のイギリス人リチャード・リードのロンドン修業時代、後半はフランスに住むアルジェリア系の不満とGIA(イスラム原理主義テロ組織)などの背景。国境なきEUにおけるテロ組織のやり方に関してはETAのような比較すべき例もあるし、アルカイダだけが特殊なテロ組織だというわけでもないと思うが、あまり関係ない組織の話を混ぜて焦点をぼかすのはよくないだろうからこの作りは基本的に正しい。フランス編で、フランス代表の人種的多様性を説明する素材として昨年行われた「フランス対アルジェリア」の映像が使われていたのだが、試合の後半でアルジェリア系観客が暴動を起こして中断してしまったエピソードは、今回のテーマにぴったりだったのに何故使わない。それからジダンアルジェリア系の出自についてインタビューでしつこく聞かれる事に閉口しているという話を聞いた事があるが、その理由に関して、今まではプライベートを大切にする地味な性格なのに、「人種融合社会の象徴」みたいに祭り上げられるのが嫌なのだろうと想像していたが、もっと切実に過激なムスリムと同一視される事から生まれる誤ったイメージを恐れているだけなのかもしれない。ヨーロッパ総局がニュース用素材として作ったのが伺えるような撮影だったが、人混みの中、通りをカメラに向かって近づきながらナレーションする田中真理氏には同情を禁じ得ない。まるっきりワイドショー的作りな映像だった。