パロップのブログ

TVドキュメンタリーの記録は終了しました

『NHKスペシャル』「難民と歩んだ10年」

まずは以下に、NHKのホームページより

「10年間にわたって国連難民高等弁務官UNHCR)を務めた緒方貞子さん(73)が、2000年12月に退任。旧ユ−ゴスラビア、ルワンダ、東ティモ−ル、コソボと、緒方さんが在任した10年は、冷戦の終結に伴い、世界の各地で内戦や民族紛争が頻発し、難民が急増した時代だった。緒方さんは難民援助の実践にあたりながら、やつぎばやに改革を断行。官僚的で効率が悪かったUNHCRを、国連の中で最も機動力と実行力を備えた組織に変身させた。91年湾岸戦争では、イラク北部の山岳地帯に追い詰められたクルド人難民の救済に乗り出し、国境を越えていない人々への人道支援の道を開いた。92年旧ユ−ゴスラビア危機では各国軍隊との協力関係を築き、セルビア軍に包囲されたサラエボへ空前の規模の空輸作戦を断行した。94年のルワンダ危機では、国際機関が次々と撤退する中で最後まで踏みとどまり、100万人を超える難民の援助にあたった。その後も緒方さんは、「人道援助だけでは問題は解決しない」として、対立した民族間の和解と共存を実現するためのさまざまなプログラムをスタ−トさせている。「難民の世紀」と言われた20世紀の最後の10年、緒方さんは難民問題にどのように向き合い、解決への道を模索し続けたのか。緒方さんへの長時間にわたるインタビュ−を軸に、21世紀、われわれは難民の問題にはどのように取り組むべきなのかを考える。

緒方氏の10年の仕事に話を絞った良い出来。簡潔な経歴も分かりやすかった(犬養毅の孫というので納得)。仕事の代表は、クルド、ボスニアルワンダ、ティモールで、各々に方針を左右する重要な議論あり、だったのは上記の文で説明されている。緒方氏の「人道援助は紛争が停止してから再び一緒に暮らせるような心境になるまでの和解のための何十年かの時間を買うものだ」という言葉が仕事の全てを表しているだろう。しかし最も印象に残ったのは、ブトロス・ガリの「ヨーロッパで紛争が起きると、関心を持つ国が幾つか出るが、アフリカで起きても皆無関心。それは差別の心も関係する」という言葉だ。さすがエジプト人。援助物資を運ぶイタリア空軍機撃墜よりもティモールの民兵に刺された上に焼き殺された出来事に、緒方氏が「残虐さ」の比較からより激怒したのもヨーロッパ的人道の考えの表れではないだろうか。インドネシアの田舎民には「中立」の立場から援助している人々と、敵に味方する人々の区別はつかないのだろうし、善意があろうと武器を持たなかろうと、敵は敵、なのがインドネシア風。(採点6)