正月に読んだ本
歴史をいかに学ぶか―ブルクハルトを現代に読む (PHP新書)
野田先生の著書は90年代の始めに何冊か読んで影響を受けた。教科書なんたらとかウヨなんたらが出てくる前の、本来的な意味での保守主義者というのか反進歩主義者というのか、自分の考え方に合った人だった。90年代の終わりから再び新書で何冊か出しており、これもそのうちの一冊。相変わらずどんな議論も最後はブルクハルトに繋がるのが楽しいというか、そもそもこの本はブルクハルトが主。
- 作者: 原田泰
- 出版社/メーカー: 日本経済新聞出版社
- 発売日: 2007/04
- メディア: 単行本
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軍上層部は軍功にかかわらず戦争の後で華族に列せられ、金ももらえるという話は初耳。今でも途上国の貧困層がエリート層へ這い上がる近道は軍人になることだろうけど、こういう人の心を駆り立てる下世話な話は正統な歴史論争では語られないので面白かった。
「戦前は民主主義の暗黒じゃないよ。明治憲法はそう捨てたもんじゃないよ」という認識は、坂野潤治氏なんかと同じ見解か。昭和12年辺りまでは民主主義も自由経済も機能していた、軍部が民主主義を圧殺して戦争を始めたのではなく、満州事変が民主主義よりも軍政を魅力的に見せ、軍政が戦争継続による破滅をもたらしたと。
戦争を語る上で、ウヨとかサヨとか言う前に「非合理的な議論が大嫌い」という感じが山形氏に似ている。計画経済は無駄が多い、自由経済の原則に従った方が結局はうまく回るとするところとかも。