パロップのブログ

TVドキュメンタリーの記録は終了しました

全日本女子ユース・準決勝

2008/1/7、三木総合防災公園陸上競技場

地元の桃スタで行われた昨年の同大会が面白かったので、今年は平日から新幹線まで利用して遠出。無職の身を存分に活かす。本音は昨年見て惚れたエレガントな常盤木の9番が見たかったから。今春からマリーゼに加入することが決まっているらしいので、今後は湯郷×マリーゼを見に行けば済むことかもしれないが、それはそれ。初の試みとして会場に百均で買ったクリップボード(いつもはドキュメンタリーを見る時に使っている)を持ち込んだら、メモは取り易くなったけど、怪しい人間度も増した。
ネットで調べた通り、新神戸駅から北神急行で谷上、神戸電鉄鈴蘭台〜緑が丘と繋ぎ、最後は神姫ゾーンバスで防災公園に到着。来月はフェドカップhttp://fedcup.jp/2008/wgII1r/index.shtml)を開催するそうだが、新神戸からシャトルバスでも出さないと、客なんか来ないだろうに。と思って公式サイトを覗いたら、シャトルバスを出す予定らしい。良かった。個人的にはちょっと行ってみたいけど、多分そんな元気はない。
写真の通り、競技場はすごい立派な建物。「兵庫県は救急医療が崩壊しかけているのに、こんな建物を建てる余裕なんかあるのかよ」と思ったが、案内板を読むと、昨年の国体(少年男子)で使ったらしい。国体じゃあ仕方ない。
今年のプログラムを売っているところが分からなかった。売ってなかったのか、本部で売っていたのか。競技場がへんてこな立体構造になってて、本部は一般客が入場する階より低い位置にあったみたいで、よく分からなかった。よって、4チームとも出場していた昨年のプログラムで名前と学年を確認しながら書き進めたい。

試合の詳細は公式サイト(http://www.jfa.or.jp/women/domestic/games_category_2/2008/u_18_2008/index.html)のPDF文書を御覧あれ。
第1試合は常盤木×レッズジュニアユースレディース。開始すぐに長いFKがクロスバーに当たって跳ね返ったところを押し込んで常盤木が先制。後半にもゴールに角度がない長いFKを、ちょうどGK周辺に落下する山なりふんわりで蹴っていた。女子のGKは身体能力が高くて身長が無いタイプが多いので、一番取りにくい或いはパンチングしても遠くへ弾きにくいボールを敢えて蹴っているのだろう。3-2-2-3のフォメもロングボールではなくパス回しでピッチを広く使うために最適化されているみたいだし、女子サッカーの特性を活かしたサッカーをしていると思う。それから常盤木はバックパスがほとんどない。少々難しい態勢/角度でもボールを前に送る。7対3で相手ボールになるようなパスでも前からプレスをかけたら相手にミスも出るし、逆に絶対フリー9対1でマイボールになると思ってDFに下げたらミスで大ピンチ。そういう女子サッカーにありがちなシュチュエーションをよく理解した作戦。常盤木の監督はたいそう戦術家らしいので、トッププロを持ち駒にしたらどんなサッカーをするのか、是非いつの日か女子代表監督までのし上がって欲しい。
とはいえ、この日の常盤木は去年見た時ほどのパス回しは見られず。レッズのプレスが厳しいわけではなかったと思うから、単純にミスが多かった。というか縦に急ぎ過ぎの感。もう1本フリーの選手にパスして組み立てても良さそうなところでも、ゴールに直結するような縦へのスルーパスが繋がらないケースも多々。朝から小雨が降っててスリッピーだったのも災いしたか。お目当ての9番さんも右ウィングで出場するが、攻撃面ではあまり絡めず。ボールの扱い方は相変わらず面白いし、それでいて守備も献身的だし、逆サイドからのクロスには必ずゴールへ詰めているし、運動量とテクニックとアイディアがうまく同居しているところがやはり素晴らしい。この試合では逆サイドの14番が鋭い突破で大活躍。クロスの精度は今一つだったけど。
常盤木の5番は基本的に攻撃的MFなんだけど、味方ゴールキックの時だけは最前線で競る。上背はないけど結構強い。飄々としたオールマイティぶりがジュリオ・バチスタみたいだった。
レッズはボールを奪ったら素早く強力2トップへ放り込め、というサポ以外にはあまり面白く無いサッカー。トップから女子ユースまで一貫した指導方針。結構それでチャンスも作れるけど、最後の一押しが足りず、やや淡白。4-2-2-2のボランチ、少し引き気味の位置からゲームを作れそうだったレフティ8番なんかにもっとボールを集めれば面白そうだったけど、後半はあまりボールを触っていないはず。前半は常盤木の心臓7番と丁々発止の奪い合いをしていたのに、後半はそれも減る。U18年代なのに何故「ジュニアユース」なのかと思ったが、プログラムを見るとほとんどが中学生。昨年中3今年高1組が少しいて、さらに少数高2高3。基本的には中学年代を育てて、高校部活へ行かないでそのまま残った人もいる感じか。キャプテンマークを巻いた6番(後半の後半は対面9番を押し込める上がりを見せた左SB)も高1。
常盤木は選手交代せず。次のメニーナもせず。準決/決勝と2連戦だから、少しでも休ませようとするのかと思ったら、さにあらず。理由はよく分からない。

第2試合はメニーナ×神村学園。昨年の神村は夏の大会で3年生が引退していたのに、今年は残っている。先週の土日に試合結果のPDFをみながら、昨年のメンバーがごっそり残っているのを見て、これまた昨年のメンバーがほとんどいるメニーナとの再戦が楽しみになったのも、三木市まで足を運んだ理由の一つ。メニーナも中学生が多いのに、あれだけ強くて末恐ろしい。
まずメニーナが華麗なパスサッカーで神村を圧倒、立て続けに2点を取る。特に先制点の22番→10番へのスルーパスは鮮やかだった。右サイドにドフリーの選手がいたのに使わなかったから「あぁ」と溜め息をついた自分はバカ。その後はフィジカルで優る神村が動きの落ちて来たメニーナを圧倒。1対1の奪い合いは大体神村が勝つようになる。後半の早い時間に神村10番のビューティフルゴールで追い上げると、後は最後まで神村の攻撃。メニーナも正確なパスでカウンターを繰り出すものの、後ろから人が湧いてこないので単発気味。それでも何とか守り抜いたメニーナの勝利。
メニーナの右SBをしていた17番は前半からドリブルで上がっていくのが小気味良かった。昨年のプログラムを見るとFWなのもうなずける。まだ中2かよ。後半失速したのはまだまだ体力がないか。
メニーナの11番は永里3姉妹の末っ子だと言われたら信じてしまいそうなくらい姿形と動きが似ている。メニーナのDNAなのか。

戯れに1試合ずつ見た4チームからベスト11を作ってみる。どちらかといえば潜在能力込みで。フォメはもちろん3-2-2-3。常盤木の3バックは3人とも完璧に職務を全うしていたわけだが、印象に残りにくい。たった1試合の感想だし、そういった意味でも割と個性というか特徴重視にならざるを得ない。
GK:鈴木(メ/高2)神村10番の絶妙シュートはもしかするとポジショニングのミスかもしれないが、その他の場面では完璧な仕事。キャッチの仕方、パンチングの仕方、キック、そのいちいちに筋が通っているように見えた。
CB:宮迫&成合(神/高3)昨年から一押しのコンビ。ヤードを稼ぐキック力とDFラインの押し上げという神村サッカーに必要な能力を備えている。特に19番成合のキック力は素晴らしかった。守備でも2失点はしたものの、メニーナの2トップをうまく封じていた。
CB:千野(浦/高3)CBなんだけどゴール近くのFKを蹴ったり、トゥーリオっぽいところがある。昨年のプログラムを見るとFW登録になっている。さもありなん。
守備的MF:熊谷(常/高2)&岸川(メ/高1)常盤木の7番は代々チームの心臓がつけるのか知らないが、試合を動かしているのはこの人。昨年「綺麗な福西」と命名したメニーナの5番もボックスtoボックスな動きをしてくれる。似たタイプを並べるのはセオリーに反するかもしれないが、このフォメならありってことで。とにかく圧倒的なキープ力がチームに落ち着きを与える。2人とも高さとパワーに加え、テクニックと視野もある良質なCMF。
攻撃的MF:岩渕(メ/中3)&高良(神/高3)メニーナの10番は死ぬまでドリブルしているタイプ。ボールを放すのが遅いようにも見えるけど、この年代で周りを使い過ぎるよりは強引さを引き出して大きく育てよう。宮間になるか大野になるか。神村の10番はこの日一番観客を湧かしていた。アイディアでメニーナを上回る稀有な選手。運動量は神村風ではないかもしれないが、そこを差し引いてもお釣りが来るデラペーニャのようなファンタジスタ。
CF:堂園(神/高3)昨年はストライカーオーラを発していたが、この日は巻のような献身的なチェイシング&抜群のキープ力を活かしたポストプレー。そして思わず「堂園さん」とさん付けしたくなるほど、キャプテンオーラが半端ない。
WG:後藤(常/高2)&小原(常/2)常盤木の10番は基本的にCFだけど、左サイドに流れてボールを受けることも多いし、ウィング的動きも上手い。このベスト11では右ウィングをやってもらおう。常盤木の14番は名前で検索したら中学時代に800m走で県2位になっていた。ボールを扱うことにはまだまだのようだが(特に右足)、とにかくスピードは魅力。

第2試合の方がレベルが高かったように見えたが、だからといって決勝の結果が見えるわけではない。明日はネットで速報を待つ。