パロップのブログ

TVドキュメンタリーの記録は終了しました

BS1『BSドキュメンタリー』「ポーランド発イギリス行き〜EU拡大 増える出稼ぎ労働者」

2007/7/14初回放送、50分、取材:東郷洋子、ディレクター:ジェームズ・ハーパー/竹之下綾子、制作統括:下田大樹/橋本典明、共同制作:NHKエンタープライズヨーロッパ、制作・著作:NHK
4/28に放送が予定されていた最初のタイトルは「ポーランドから“人が消えた”」、今回の仮タイトルは「ワルシャワ発“ユーロ号”〜EU統合 家族の“夢”と祖国の“現実”」。最終的にはオーソドックスなタイトルになった。まあ“ユーロ号”はオサレ過ぎて違和感ありありだったので、落ち着くところに落ち着いたといえる。
放送延期になった理由を探る意味も込めて、画面に映った日付のメモ。ロンドンにあるポーランド移民用雑貨屋のボードに貼られた求人票の日付は4月10日と13日、パソコン画面内に映った夫婦が見ている求人の日付は4月17日と20日(但し画面の“17/4”は日付でないかもしれない)、番組終盤に「夫婦がイギリスに来て1カ月半」というナレーション、ポーランドに残っている子供達がママ宛に出した母の日用メッセージの日付は5月26日、ポーランドの医師・看護士労組のストライキは「5月末」とナレーション、番組のラストでママから子供へのメールの日付は6月12日。ちなみに番組の中で明確に日時を示したのはストライキのみで、夫婦の行動等に関しては、一切示されていない(ので、自分で画面から数字を拾う羽目に)。ということで、たとえば来英3日目の映像と2週間目の映像を逆に並べて職探しをより深刻に見せたりといった「演出」は結構あるのだろうと思う。そこも踏まえての憶測は、2〜3月頃にロンドンで職探しをするポーランド人に密着していたが、何らかの事情で放送不可となり、放送も延期。4月中旬から取材対象2組目の夫婦をエジンバラで追う。1組目の取材で得られた当事者以外の一般的(例えばロンドン等)な映像も時系列をごまかして番組内に挿入。

時流に乗って金儲けでポーランドとフランスを行き来するポーランド人が出てくるのは『トリコロール/白』だったか。EU外のサッカー選手が英国の就労ビザをもらうには代表試合にほぼ4分の3出場している必要があったような記憶がある。EUの内か外かで待遇が全然変わってくるのもどうかと思っていたが、賃金等に明確な差があるのに自由に移動出来るようにするのも問題があるようだ。とはいえ、自由な市場ならば数年もすれば家族も地域共同体も破壊されるにしても、賃金的には上下の差も縮まって収まるところに収まるのだろう。EUの外から内へ入り込もうと、地中海やアドリア海エーゲ海で溺れ死ぬよりはましのはず。とにかく、個人の生き様や伝統を扱うのと違い、制度の改変が人の流れも金の流れも変えるような場合は、半年前の情報でも古くなってしまうし、ドキュメンタリーを作るのは大変。見た方も数年前に見た番組の知識で知ったかをすると、大恥をかくかもしれないので注意が必要。
夫婦で職を求めて移住するのは良いアイディアだと思った。おっさん1人でイギリス行っても、言葉も通じないからなかなか知的労働は見つからなくてプライドを傷付けられる。ストレスは溜まるが親しい話し相手もいない。仕方なく憂さ晴らしに多くの同胞がいるバーへ行ったら、ちょっと下に見ていた筋肉野郎が現場作業で羽振りが良さそう。内心面白くないところに、酔っぱらったそいつが詰まらないことで絡んでくるから喧嘩を始め、本国へ強制送還。そんな事例もありそう。