パロップのブログ

TVドキュメンタリーの記録は終了しました

BS1『BSプライムタイム』「イラク・終わりのない戦い」(PALESTINE HOTEL)

2003/11/13放送分、50分、制作:ポワン・デュ・ジュール(仏)/RTLテレビジョン(仏)、2003年、プロデューサー:セルジュ・ゴルデ、構成:アントニア・ラドス、日本語版制作統括:古川潤
NHKサイトでは、タイトルが「イラク・終わらない戦争」になっていた。何度でも書くが、サイト制作者はちゃんと仕事しろ。後日、検索でかかりにくい事甚だし。
制作者を検索したら「産油国イラク・悲劇の半世紀」(http://d.hatena.ne.jp/palop/20030629)と同じスタッフだった。
アントニア・ラドスはフランスRTLの特派員で、戦争中もバグダッドで取材を続けていた人。番組は2003年6月頃の様子。パレスチナ・ホテルのジャーナリストが誤爆で死んだ4月の事件を導入部にしながら、その後は市井の人々が多く出てくる、如何にも足元から撮るフランスのテレビ局らしい演出。いわゆる「取材者を取材する」話かと思ったら、結局普通にラドスのレポートが続いた。これだと普通にフランスのテレビ局が作った報道番組のキャスターを他局から奪ってきただけのような気がする。それでいいのかRTL。
靴磨きの少年、フセインシンパのパレスティナ難民、打倒フセインの活動をしたため弾圧されたシーア派の村など、ニュース番組の10分間特派員レポを5つ程くっつけたような内容。贔屓することなく、バランスのとれた見事な取材。正直、あれだけ複眼的で見事なレポートなのだから、最初と最後のジャーナリスト誤爆事件を無理矢理はめこまなくても良かった気がしないではない。ちなみにNHKサイトによれば、ラドス氏はこれ関連の取材でドイツテレビ賞を受賞したらしい。
本国ではいつ頃放送されたのか不明だが、NHKのドイツ語/フランス語同時通訳能力を考えれば、1週間前に放送された番組でも、日本語版に出来そうな気がする。
以下の毎日新聞の記事によれば、アントニア・ラドス氏はオーストリア人だが、NHKサイトでは「イタリア人の女性記者」。
http://www.mainichi.co.jp/news/article/200304/04m/132.html
話は逸れるが、この記事の中に「開戦後はフセイン政権を必ずしも支持していない市民までが国家を守ろうとの意識を高めている」という表現があるが、そういえばミハイロヴィッチミロシェヴィッチの事を「どんなに気に食わない奴でも我々が選挙で選んだのだから、守るのが当然」というニュアンスの発言をしたら、「民族主義者/人種差別主義者」のラベルを貼った西欧のメディアが如何に多かったか。イラクで起きている事のほとんどはユーゴでも起きた事で、当時の西側メディアがした事、ビル・クリントンNATOがした事を思い出せば「どうしてそんなにブッシュの事を悪く言えるの? お前ら西側メディアもベオグラードの民間施設空爆の時は大喜びで伝えていたじゃん」というのが率直な感想。
その他インタビューに出た人:ジャック・シャムロ(AFP通信)、ロレンツォ・クレモネシ(ジャーナリスト)
(2003/11/24訂正)RTLはドイツではなく、フランスの放送局のようだ。私が間違ったのか、NHKの1次情報が間違っていたのか。