パロップのブログ

TVドキュメンタリーの記録は終了しました

『NHKスペシャル』「沈黙の村〜ユダヤ人虐殺・60年目の真相」

構成:内藤誠吾、制作統括:佐藤高彰
ナチスの仕業とされてきたユダヤ人虐殺が実はポーランド人の村人たちによるものだったと判明して、国を挙げての騒動という話。「第二次大戦最大の被害国」という共産主義時代につくった神話から解放されて、国としては良かったと思うのだが、個人レベルだとそうもいえないのも理解出来る。ソ連やらチェコやらに虐げられている(と感じてきた)ウクライナスロバキアフィンランドなんかが、(たまたま時の政権がナチスだった)ドイツと組んだ結果、戦後、肩身の狭い思いをしたような状況にポーランドも加わっただけの話だろう。戦前からポーランド人がユダヤ人を快く思っていない部分があったことは自明のことだし、それに密告者とか裏切り者なんかの付加がついたら、そんなことが起きても意外ではない。「子供を燃える納屋に放り込んだ」という「方法の残虐さ」も感情的な反発に過ぎないし。よってこのドキュメンタリーは「真相発覚スクープ物」ではなく「個人の心情追跡物」なんだろう。神話と情報統制共産主義世界で育った人間が、「開かれた世界」(@ソロス)に出会って戸惑う姿を、民主主義が確立している世界からやってきたジャーナリストが偉そうに取材した、と考えると、何かいやらしいな。しかし騒動が持ち上がった2001年12月から調査結果が発表になるまで半年間も継続して取材したのは偉い。これでユダヤ人圧力団体が「ポーランド謝罪と賠償をせよ」と言い出したら嫌だ。