パロップのブログ

TVドキュメンタリーの記録は終了しました

ETV『ドキュメント地球時間』「ミロシェビッチを倒せ!〜独裁政権と闘った学生たち〜」

2001/5/18放送、米TPI、2000年
楽しみにしていたのにうっかりして最初の25分を見逃した。反体制学生組織「オトポール」の中心メンバーイバン・マロビッチに密着して99年の空爆(見ていないから多分だけど)から2000年の議会選挙までのミロシェビッチ政権崩壊を追う。学生さんたちが「この10年間はずっと反ミロシェビッチだった」と言っているのは、実際には95年頃までの消極的支持を隠すための詭弁で、最近の生活苦とヨーロッパからの孤立への不満を、この10年来への反対にすり替えてアリバイを作っているわけだが、番組の中では「正義の学生運動」が「悪党ミロシェビッチ」を倒すための「勇気」しか出てこない。それはアホアホアメリカテレビ局の作った番組だから仕方ない。アメリカ人の脳みそでは灰色選挙などは理解出来ない。例えばだが、ミロシェビッチ政権が税金から金出して貧しい労働者をかき集めて政府支持の集会を開いたら「官製集会」で、西側の億万長者をスポンサーにして暇な学生を動員したデモなら「自由を求める民主的な声」になったりする。バルセロナ市当局がカンプノウに集まった10万人の深夜便の公共機関を無料にしたって、混乱を招かないような配慮というだけで政治的な賄賂ではないだろう。もちろん、ミロシェビッチが末期に行った露骨な選挙への干渉や情報操作に関しては色々読んでいるが、少なくとも80年代末期から90年代前半の彼の民族主義的政策はセルビア人の「自衛手段」としてまともな選挙でも支持されるものだったはずだ。