パロップのブログ

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サカヲタのプラハ旅行記:なでしこリーグ化するデュクラ・プラハ

デュクラ・プラハ×ムラダー・ボレスラフ、2012/4/29、17時開始、100コルナ、観客数2347人
デュクラのホームna julisceはプラハ6区、地下鉄A線の終点dejvickaから北の住宅地へ登っていく方向にある。実際に行く時は、地下鉄hradcanska駅から地上に出て、鉄道の踏切を超えてすぐの所にあるバス停から路線131に乗っていくと10分程。試合当日の午前中にバス停の位置を確認しておく位で一見さん旅行者にも対応可能な難易度易し。試合開始1時間前にバス停へ行ったら、警官2人がウロウロしていた。凶暴なサポなんていないとはいえ、念の為の警備に警官が駆り出されていたら、何らかのイベント会場であるとみて間違いない。あとバス停にはバルサ14番アンリのレプユニを着た子供とおっさんの2人組が待ちくたびれていたので、まず間違いない。バスが満員になるか、ガラガラかは読めなかったが、それらしい人の後ろに付いてバス停を降りる自分としてはピンチな展開という程でもないそこそこの乗車率だった。「この時間に、この乗車率だと、客の入りも期待できないなあ」と想像していたが、スタジアムに着くと近所の住宅地から徒歩で集まってくる客が意外と多くて、そこそこスタンドも埋まっていた。
デュクラは元々軍隊所有のクラブで、選手集め放題の強豪だけど市民人気無しという旧東欧にありがちなクラブ。89年の体制変換で強力な後ろ盾もなくなり、そのうちにプラハを離れて転々とするうちに弱小クラブへ転落というのも旧東欧にありがちな話。ここna julisceをホームにしたのも2011年のよう。かつての栄光時代はチェコ好きにはお馴染みソコル体操するために10万人位収容できるストラホフスタジアムをホームにしていたらしいが、ようやく妥当な器を得たといった処か。中産階級の住宅地が沢山立ち並ぶも1部2部のサッカークラブがないプラハ6区に移転したのは、なかなか賢いマーケティング戦略なのではなかろうか。
チケット売り場前の掲示板には2段階の値段が書いてある。スパルタ・プラハほか有名どころが来るとかダービーマッチとかになると少しだけ料金を高くするみたい。本日の料金も2種類あり、確か1階席が80コルナ、2階席が100コルナ。自分の感覚だとピッチに近いかぶりつきの席の方が高そうだが、チェコだと適度に観やすい距離の方が高い。チェコに来ても「こんにちは」「いくら?」「ありがとう」の3つしかチェコ語を使わない自分だが、この時は販売員に通じるよう掲示板に書いてある「2階席」という言葉を必死に口ずさんで覚えた。他の事に気を取られると忘れるので、自分の番が回ってきたら勢い込んで言ったが、販売員女性は「あら、高い方?」みたいな不思議な表情。

窓口を通過すると、チケットに付いたバーコードを読み取らせると自動的に鉄格子が空く無駄に最新式なモギリ。少し歩くとスタジアム。バス停やチケット売り場が標高的に一番高く、1階席やピッチには階段を下っていく。斜面の底にピッチがある感じ。1階席と2階席には何の境もなく、警備員もいない。だからみんな1階席のチケットを買って2階席に座っているんじゃないかと思う。

入り口でマッチデープログラムを配っていた。白黒タブロイド版4ページの質素な作りで無料。4面にはクラブのヒストリーが載っている。地元サポだけど初心者も多数だろうという配慮。これから地元に根付いていくための工夫。まさになでしこリーグのクラブ風。


入場口からスタジアムまでの道筋にオフィシャルショップがある。一応クラブ全体の名称入ったグッズもあるけど、ここで一番場所をとっているのは、クラブのレジェンドでありバロンドーラーであるヨゼフ・マソプストのグッズ。マフラー、Tシャツ、マグカップ、あらゆる物にマソプスト。うん、Tシャツを買った。4種類あるうち一番デザインが(俺基準で)良さそうなのを。

1枚1000円しないのだからネタで大人買いすればいいと頭では分かってても、何か財布の紐が固くなる悲しい貧乏性。湯郷ベルも宮間がバロンドールを獲ったら、宮間Tシャツ、宮間マグカップ、宮間マフラー、どんどん売るべし。この夏、サッカー関係のイベントを観に行く時はマソプストTシャツでウロウロするつもり。
1階席の左寄りにコアサポ10〜20人が陣取っている。コールリーダーはハーレーに乗ってそうな長髪の怖そうなおっさんとその彼女らしきワイルドなおばさん。私的応援団=その規模のままクラブ公認サポな感じがなでしこ風。太鼓を叩いて一般人を扇動するけど、あまり乗ってもらえないところもなでしこ風。

ハーフタイムに陸上トラックで抽選会が開かれるのもなでしこ風。モデル女性4人のうち2人がヒール、1人がサンダル、1人がスニーカーというのもまだまだ西側プロ意識になりきれていない証か。モデルの隣にいるのがどうやらマスコットの多分クマ。宇都宮徹壱氏に見られたら説教を食らいそうな造形。ハーフタイムに同時進行でデュクラ小学生対ムラダー小学生のフレンドリーマッチみたいなのも同時進行されていたが、ムラダーが圧倒的に強くて、ゴールを上げる度に隔離アウェイゾーンから大歓声が沸いて変な空気だった。

サッカーの観客席で隣りの客の紫煙を吸ったのは本当に久しぶり。チェコのどこでも西側ナイズされた防災や環境の規定が出来ているなか、その意味では牧歌的。
地味な対戦カードだが、実は対戦時4位(ムラダー)対5位(デュクラ)。でも個々の選手は有名でないのでやっぱり地味。事前の調べで存在を知っていたのはデュクラのパトリク・ゲデオンだけ。そのゲデオンはDMFで出場していたけど、ピッチで格の違いを見せつける感じではなかった。最初の失点に絡んでやらかしていたような記憶。ハーフタイムにプログラムのムラダー組を眺めて、ペトル・ヨハナを発見。これまたゲデオン同様ブリュックネル政権下でサブのサブ扱いだったレジェンド。背番号2、なんだ試合に出てるじゃん。センターバックのスキンヘッドか…確かに見覚えが。代表の時はサイドバックだったような気もするが曖昧。ムラダーで良かったのは、1トップの19番とトップ下の23番。2人ともマルシオ・リシャルデスマグノ・アウベスのような感じで、超絶テクニックとか超絶身体能力はないけど、相手の視野から消えてはボールを受ける、それをコンビネーションでやる、そういう能力に長けていた。ゴリ押しサイドアタックしか見られないチェコリーグでは稀な頭脳プレーヤー。19番がJan Chramostaで、23番がMartin Fillo。自分は知らなかったが、どちらも年代別代表経験ある国内ではトッププレーヤーだった。なるほど格が違うとはこの事か。翌日スポーツ紙には試合寸評と一緒にChramostaの短いインタビューが載っていた。見出しによると「ヤン、ユーロどうよ?」みたいな内容らしい。
例のマソプストTシャツ、日常的に応援している地元民は買わないだろうし、仮に買ってもレプユニのようには着ないだろうし、かといってデュクラグッズに惹かれてやってくる観光客もそうそうはいないだろうし、結局は需要ないだろ、みたいな事を考えながら帰りのバスの中で揺られていたら、目の前に座っている70歳くらいのじいさんがまさに自分の買ったマソプストTシャツを着ててワロタ。それ、普通に着るんだ…

ほんとなでしこリーグぽい。