パロップのブログ

TVドキュメンタリーの記録は終了しました

ジーコドクトリンと駒野

以下は、昨年の東アジア選手権・中国戦後に書いた文章、

今の代表原理において試合に出場することになった控え選手は「決してバランスを崩さない」「決してリスクを負わない」「決して慌てない」「決して最後まで諦めない」というジーコドクトリンを守りつつ、可もなく不可もないプレーをしてジーコの序列に留まり、序列が前の選手にアクシデントが起きるのを待つのが役割である。当然、今日の試合なんかは初顔が5人入っているわけだし、共通理解を深める事だけに前半45分を費やしても良いくらいで、実際1年前頃のフル代表もそうだった。しかし、メディアや解説者が「積極的にプレーしろ」「自分をアピールしろ」と煽るので、今日のメンバーもその気になり、ほとんどの選手が前半からリスクにチャレンジした攻撃的なプレーをして売り込みを図ってしまった。後半は足元に繋いでフリーキックを貰うジーコらしいサッカーが出来るようになっていたが、セルジオ氏もいい加減自分の理想を押し付けるのは諦めて「ジーコドクトリンに適合しているかどうか」を解説の判断基準にしてもらいたいところ。駒野も特に前半はじっと後ろに留まって序列2位をキープする事が大切なのに、功を焦って持ち味を生かした良いプレーを目指してしまったのはまだまだ若い。監督が求めているのは加地さんとは別の特徴を持った強い個性というわけではなく、「SBはまずディフェンスから」という金言を守る控えの人材なのだし、万が一今日スーパーなプレーをしても序列の1位と2位が入れ替わるわけでもなく、ただ「1位に何が起こっても駒野が2位にいるから安心だ」と思われるだけなのだから。前半何度もフリーで上がっている駒野にパスを出さない田中達也は何を考えているのかと思ったが、その後駒野が上がる気を無くしたので結果オーライ。

以下は、東アジア選手権・韓国戦後に書いた文章、

今日の駒野はほぼ完璧だったと思う。出場する誰もが生き残りをかけて自分のストロングポイントをアピールしたい状況のなか、可もなく不可もなく90分間リスクを犯さないジーコの求めるサッカーに適応していた。これでアツ君を抜いて右SB待ち列の先頭に立てていることを願おう。

以下は、今年のキリンカップ後/メンバー発表前に書いた文章、

マスメディアは「駒野は左右出来るから登録人数の少ないWCメンバーに入るだろう」などと煽っていたが、監督本人から駒野をユーティリティに使う話は聞いた事がない。以前から書いているが、駒野はレオナルドが退場した後のブランコのように「いつでも準備万端ですが、何か?」という顔をして、淡々と加地さんの代わりを務める準備をするだけ。確か本人もインタビューなんかで「右サイドの選手として勝負したい」みたいな発言をしていたと思う。メディアよりも選手本人の方が客観的に状況を見ているのかもしれない。

ジーコは完全実力主義者のようだから、仮にオーストラリア戦で駒野が良い動きをしても、「駒野の能力が加地のそれを上回った」と思わなければ、その時々の勢いを重視したりはしないだろうし、加地さんの怪我さえ治れば、次はまた加地さん先発になるのだろうが、ワールドカップを目の前にしてとうとう駒野が待ち列の最前になった事に感慨を覚えずにはいられない。守備の選手と攻撃の選手ではアピールの仕方も違うとはいえ、代表の試合を「アピールの場だ」だの「積極性が欲しい」などと煽り、達也を持ち上げていたメディア・解説者には、感謝の気持ちで一杯である。2010年の達也に幸あれ。