パロップのブログ

TVドキュメンタリーの記録は終了しました

BS-hi『遠くにありて にっぽん人』「サッカーで強い心を〜スペイン・木村浩嗣」

2005/3/18再放送、60分、コーディネーター:守屋照見、構成:永尾秀樹、プロデューサー:田野稔、制作統括:上田一司/白石章治、共同制作:NHK情報ネットワーク、制作・著作:NHK/グループ現代
田野氏がグループ現代、上田・白石両氏がNHK
(参考)http://www.nhk-jn.co.jp/002bangumi/topics/2005/007/007.htm
スポナビなどへの寄稿で知られる木村氏に密着。ジャーナリスティックな分析というよりも、導入で読者の興味をひいて綺麗なオチを付ける習慣が身に付いている文章を書く人という印象がある。元雑誌の編集者という事実を知り、文章のメリハリの付け方が上手いのも納得。
サッカーに関するあれこれを極力簡略化し、サッカーを知らなくても、スペインに興味が無くても楽しめる人間物語になっていた。とはいえ、チームで一番上手いけれど協調性に問題がある子供が課題を克服していく成長物語の部分は単純に過ぎる気がしないでもない。出来過ぎなエンディングというか。
それから参考サイトにある

「勝ち負けよりも少年たちに生きる力を与えたい」と考える木村さんは、チームに守るべき3つのルールを課している。どんなに下手でも全員出場、どの選手も全ポジションを受け持つ、手っ取り早く点を取るためのロングボールは禁止。

なんだが、どうも「将来良い大人になるためのルール」なのか「将来良いサッカー選手になるためのルール」なのかが番組からは伝わって来なかった。「どんなに下手でも全員出場」「どの選手も全ポジションを受け持つ」なんかは、全員平等にという人間教育なのか、子供の頃からポジションを専門職にすると良くないというユーティリティ信奉なのか、どちらともとれる。木村氏の「子供時代は勝ち負けよりも、技術を磨き、他人を尊重するプレーヤーを育てるべきだ」という純粋なサッカー選手育成哲学を、番組ディレクターが部活的人間教育礼讃にねじ曲げているのではないかという疑いも生まれる。
それから木村氏がサラマンカでどういう暮らしをしているのか、地元住民とどのように付き合っているのかという部分がもう少しあっても良かったが、まあそれは時間配分の問題だから仕方ない。
明日3月23日23時からNHK-BS2で放送されるようなので、サッカーに興味ない人にも是非お薦め。というか、そういう人が見たら、どんな感想を持つのか知りたいところ。「木村さんって、めっちゃ良い教育者やん」とか思いそう。