パロップのブログ

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BS1『BSプライムタイム』「BBCカメラマンがとらえたイラク戦争」(Iraq : The Cameraman's Story)

10/1初回放送、50分、制作:英・BBC(2003年)、プロデューサー:ファラ・ドゥラーニ、撮影:フレッド・スコット/ダレン・コンウェイ、構成:ファーガル・キーン、【日本語版】解説:今井義典、制作統括:古川潤
BBCイラクに派遣した人数は300人近いらしく(エルサレム支局、ロサンジェルス支局の人間も出てきた)、その中で本職の戦争取材チームを2つ、バーレーンからクウェート、バスラとイギリス海兵隊に従軍したクライブ・マイリー記者(アジア地域特派員)/ダレン・コンウェイカメラマンの南部方面チーム、トルコからクルド人地区に入ってバグダッドに向かったジョン・シンプソン国際部長/フレッド・スコットカメラマン/トム・ジャイルズプロデューサーの北部方面チームを交互に追ったもの。基本的には負傷したスコット氏を中心に制作しているようだが、もっと大まかに「イラク戦争を取材した人々」的な番組。
悲惨映像を入手出来たBBCが、大喜びで特番を作った「センセーショナルもの」かと疑ったが、どうやら戦争前から「イラク戦争取材者を取材する」チームがBBCから派遣されており、戦争後に「どのくらいイギリス軍からの影響を排除出来たか」のような検証番組を作るつもりだったよう。考えてみると、危険を省みずイラクで取材しながらも「撮しているのは戦争ではなく同僚」というのも、少し悲しい仕事だ。
エンドロールには「撮影」として被取材者の2人が上がっているが、どう考えても2人を撮した人間がいると思うのだが。それとも、あれは全部カメラマン2人が自分にカメラを向けた映像だったのだろうか。
従軍ジャーナリストは「安全第一の上、報道管制で大した取材も出来ない」みたいなイメージがあったが、映像を見る限りでは、南部組はかなり過酷でいつ死んでもおかしくなかった。一方、北部組はアメリカがクルド人と組んでバグダッドへ侵攻すると踏んでいたのに、トルコが戦争に非協力的になった時点で、完全に見込みが外れた組。しかも最後は誤爆に遇う。
ジョン・シンプソン氏は、この間にNHKで放送されたイラク戦争報道検証番組に出演していたが、その時流れたよりも悲惨映像の血の量は多かった。NHKBBCの残虐度基準は少し違うらしい。悲惨な映像をダイレクトに撮っても茶の間に放送されるわけがなく、故に現場でわざとピンぼけにして撮る事が出来るカメラマンというのは、すごい判断力だと感心する。後から本部でモザイク入れるより臨場感がある。
誤爆については以下を参照
http://www.telegraph.co.uk/news/main.jhtml?xml=/news/2003/04/07/wsimp07.xml
http://www.tvcameramen.com/newsroom/news89.htm