パロップのブログ

TVドキュメンタリーの記録は終了しました

BS1『BSプライムタイム』「イラク戦争後を狙うアメリカ巨大投資会社」(The Carlyle Connection)

10/2初回放送、50分、制作:VPRO(オランダ公共放送・2003年)、構成:シューチェン・タン、【日本語版】解説:大島春行、制作統括:古川潤
番組の主たる語り部であるアメリカ人ジャーナリスト、ダン・ブリオディが書いた「政界・産業界・国防を操って巨万の富を築くカーライルグループの闇」をほぼ踏襲してつくったと思われるので、日本語訳(http://fuku41.hp.infoseek.co.jp/150511.htm)を読めば、内容は事足りる(話は逸れるが、ネットで何でも読めるのは便利だが、翻訳した人間や、それを転載また転載する人間によって巧妙な改変・操作が行われている可能性は意識しておくべきだろう)。
番組に出てきたもう1人のジャーナリスト、ティム・ショロックは、インター・プレス・サービス(IPS)(http://www.ipsnews.net/jp/index.html)のワシントン記者。反政府魂がありそうな団体。
「オランダくんだりから取材に来て、独自取材はカーライルの創設者スティーブン・ノーリスへのインタビューだけかよ!」「文字媒体でなく映像媒体でやる意味あるの?」というのが本音だが、それを言ったらヒット小説の映画化なんて「物語は薄くなるけど消費するのに手軽だろ」の典型だし、まあ目くじらを立てる程の事でもない。
番組内に出てきたCPI理事チャールズ・ルイスの「CPI」は、ワシントンの非営利の公益団体「センター・フォー・パブリック・インテグリティ」の略称。字幕で正式名称を表示していないまま略称のCPIで通したNHKは糞(私が見逃しただけだったら、今のうち謝罪)。
番組では、クルセーダー砲の予算に関する疑惑を取り上げていたが、正直よく分からなかった。で、上記のサイトも読みつつ適当に推測するに、カーライル社の顧問であるブッシュ父やベーカーなどが旧知の仲であるラムズフェルドにお願いして地上戦では何の役にも立たないクルセーダー砲の予算が降りるように仕向けた、ようだ。確か、ラムズフェルドは旧来の武器を否定する軍事革命RMA)の推進者である。一方、ブッシュ父もベーカーもイラク戦争慎重派だった。つまり、カーライル社は、イラク戦争を口実に、実際の戦争には役立たない武器を売りつけつつ、戦争を望まない「ただの金の亡者」であり、決して自らの利益・信念のために戦争を起こす/望む「死の商人」ではないという事。アメリカ人(或いは日本人)の税金を食い物にはしているが、イラク人の命を食い物にしているわけではなさそうだ。戦争を起こそうとした連中(いわゆるネオコン)と、戦争を「ビジネスチャンス!」と思った連中は区別してあげたい(私の中では微妙に違う)。というわけで、NHKサイトにある「番組は、カーライル投資銀行のインサイドルポと関係者の証言によって、イラク戦争がカーライル投資銀行に利益をもたらす構造を描き、イラク戦争大量破壊兵器の脅威を取り除くための正義の戦いだったのか、それとも新しいグローバルビジネスのための材料だったのかを問いかけている」というのは、微妙に的外れだと思う。インタビューに答えていた創設者スティーブン・ノーリスも、いかにも「金儲けはアメリカの夢」という感じの人で、アメリカ人の多くが「法的に問題なければ、道徳的/倫理的にも問題ない」という思想を持っている以上、どうしようもない。
どうでもいい事だが、オランダ公共放送は、テレビドキュメンタリーを16:9のワイド画面で撮影しているようだ(最近のNHKもそうだが)。