パロップのブログ

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BS1『21世紀のパイオニア』「“希望”を振る指揮者〜ワレリー・ゲルギエフ」

2002/7/6放送分、構成:川嶋健義、制作統括:古川潤/中西利
ゲルギエフは正直2年に1度はNHKの特番に登場しているような気がして、今回も資料映像の使い回しかと思いきや、今年5月12日にマリインスキ劇場で初演された『ボリス・ゴドノフ』に完全密着した、全編撮り下ろしだった。小林和男氏がゲルギエフに相当入れ込んでいるのだろう。「100人のロシア人が集まってもまとまって出来やしない」という下りは、ロシア代表の運命を予言していたようだ。「ロシアは天才が生まれる」とか伝統や文化への信頼が非常に高いとか、プーチンに期待しているとことか、右派に選挙で担がれそうな危うささえ感じるが、国際レベルで活躍するほど、自国に根ざしたものに目をやらずにはいられなく罠も何となく分かるし、彼は政治をうまく利用しても、政治からはうまく遠ざかっている印象はある。全体練習でもひたすらゴドノフ役の若者にしか修正点を出さないゲルギエフに「そんなのは個人レッスンの時に教えれ」と思ってしまうのは、悪平等主義に私が染まっているからだろう。美作のカタネッツもそうだったが、育成部門の監督でもないのに、全体に目をやるなんて必要ないのかもしれない。もっとも才能があり、かつ外部のアドバイス/コントロールを求めている人間に奥義を集中するのが宗派の常識か。新情報としてゲルギエフオセチア人だった。