パロップのブログ

TVドキュメンタリーの記録は終了しました

BS-i『第23節・浦和レッズ戦』

2006/9/16放送、実況:清水大輔、解説:金田喜稔

SA指定席(メインアッパー)という空に近いところから観た。試合開始45分ほど前、アップが始まる前に手洗いに行こうと出入り口まで降りていったら、ロープをまたいで報道席へ入る湯浅健二氏とすれ違った。湯浅氏は、先に座ってPC画面を睨んでいる大住氏らしき人に手を振って合図していたが、なかなか気付いてもらえなくてちょっと拗ねていた。すれ違った直後「今日はレッズを観に来たのでしょうが、青山と柏木に注目してください!」とアピールすれば良かったと思ったが、まあ、U-○○年代を過剰に持ち上げない湯浅氏だし、変な煽りを入れて痛いサポにならなくて良かった。ちなみに試合終了後は、大住氏らしき人とゴタケ氏らしき人とミスターレッズらしき人が雑談していたが、生で見ると本物かどうかよく分からない。
改めてテレビで見ると、75分過ぎ頃から浦和の選手は表情が厳しい。「こんな下位チームに負けるわけにはいかない」というプレッシャー。スタジアム全体もそんな感じ。その上、毎試合、有名メディアが沢山集まり、批評にさらされるのだから、そりゃあ、選手のハートもたくましくなる。とはいえ、田舎クラブが同じような空気を持たなければならないとは思わない。メディアの注目もなく、厳しい観客もなく、温かくぬるい雰囲気の中ですくすくと育ち、野心がある奴は金持ちビッグクラブへ移籍する。そういう棲み分けがもっとはっきり出来てもよいと思う。

前節の名古屋戦が膠着した戦術戦だとしたら、これは長所をぶつけ合い過ぎて、危うくバカ試合になりかけていた。浦和は技術のある中盤を活かし、伸二は右サイドに流れるは、アレックスと平川は内に切れ込んで来るは、特に前半は広島の3センターは大混乱だったように上からは見えた。必死にマークするのも大事だし、ミシャは1対1で負けないことを前提にしているようだし、「結果的に走り勝っていたじゃないか」という考え方もあるだろうが、浦和のラストパスに精度があったら、もっとズタズタだった感じもする。
一方の広島は「3バックの両サイド後ろを狙うべし」という定石を忠実に実行していたが、正直ハマリ過ぎ。浦和は同じ事を何度もやられ過ぎ。個人的には酒井が意外と組み立てまで参加するのが原因だと思った。もっと長谷部と伸二を前に押し出す形で守備専なのかと思っていたが、ただでさえマルクス田中が上がっていくのに。あの辺は阿吽の呼吸でカバー出来る鈴木がいない弊害だったのだろうか。隣の浦和サポ家族は「広島の攻めは回数多いけど、迫力ないねえ」みたいな会話をしていて、正直その通りだと思ったが「そっちも呑気な事を言ってる余裕はないだろ」と心の中で突っ込んでみた。
昨シーズンのアウェイ浦和戦はジニーニョ出場停止、3バックは吉田-小村-池田で、冗談抜きにボールが最終ラインから前に進まず、悲しい気分になったものだが、あれから今の3バックをみると、隔世の感があって感慨深い。
確か後半から、浦和のロングボールに対して、全部ダバツがクリアしていた。落下点を予測して戸田とカズの間辺りまで進出していた。監督の指示だと思うが、野球でいう「王シフト」みたいなもので、理屈に裏付けされていれば大胆に動いてバランスを崩すことに躊躇しない部分に、「相手が電柱を1本増やすならば、こちらは巻にディフェンスさせます」というオシム的なものを感じるのだけど、どうだろう。
後半開始直後のウェズレイ、同38分頃の服部と、左サイドからセンター横切るパスミスは勘弁していただきたい。

2失点目の抜ききらないで上げるクロスはアレックスの得意技だから誰が対応してもあんなものだろうと気にしないが、前半18分、ダバツがクリアしたボールが敵に当たって変な回転しながらカズの前に落ちてきた場面で、不用意に真横にいる戸田へパスし、戸田がコントロールしそこねてピンチになりかけたのはいただけなかった。あの辺はセーフティにいかないと。それから後半ロスタイム頃に、こっそりクロスをかぶっていたと思う。ジュビロ戦のロスタイムもそうだったけど、中盤で動くよりも、DFとしてリアクションを強いられる方が疲労が激しいのだろうか。
「浩司には前線でフラフラしながら持ち前の得点力を発揮して欲しい」という昔からのファンの声も理解した上で、浩司の出来はここ3年くらいで最高だと思っている自分だが、確かにスタジアムで観ると物足りなかった。これまでテレビで見た試合と、この生で見た試合の出来を比較するのは無理があるけど、何かが足りないという声も分かる。ただ、それは前線への飛び出し力/シュート力というよりは、服部との関係性だろうか。服部に預けて自分が前に行くとか、自分が溜めて服部を走らせるとか、そういう時間を生むプレーが出来れば、自然と前線に顔を出せるようになるのではなかろうか。
16分、浩司が背後から酒井に詰められてボールを奪われ、結果的に戸田の警告を誘発した場面、22分、同じく酒井に奪われた場面、スタジアムで観ていると「正当な競り合いは流す」という穴沢基準を理解せず、「こければファール」という自己判断をやっちゃったのかと思ったが、テレビで見ると、普通に競り合いに負けたのを本人も自覚しているようだった。
柏木は前半少し消えてて、後半全体に動きが止まってくると目立ってくる不思議な選手。毎試合途中交代するのは、運動量が落ちたからではなく、18歳の若者を潰さない配慮かと思ったが、過去のデータを調べるとそうでもない。初スタメンで相手が1人少なくなった大分戦はフル出場で、その後は全て途中交代。最近はハンジェと交代することが多いが、ミシャ就任後のデータからすると、当初の序列がベット-中里-柏木から中里-柏木-ベットになり、今は柏木-中里-ベットという感じか。
久しぶりに生で観た前俊について。試合前アップでスタメン組が引き揚げた後、控え組が上野をゴール前に置いて右サイドからクロスを上げる練習をしていたのだが、真面目なハンジェなんかをよそに前俊はほとんど蹴らず、アリバイボール集めみたいな事をしていた。ロスタイム直前に投入された時も、ミシャの「3トップの右としてクロスを上げろ」という指示を、「どうせ俺のところまでボール回ってこないし、どうせクロス上げても点にならないだろ」とクエスチョンマーク満載な顔をしてプレーしていた。小野政権下の「全員が守備しろ」政策に不満を持った俊ヲタも多いだろうけど、多分本人も守備力強化の必要性は理解している。それよりも、サテライトでは2トップの一角として点を取りながらも「動きが悪い」とダメ出しされ、トップの試合ではサイドでチャンスメーカーの役割を求められている今の方が本人の不満は大きいのではないかと想像される。ゴール前でDF2人をかわし、コントロールしてシュートを流し込むのと、サイドでDFを1人かわし、合うかどうかも分からないクロスをあげつつ、サイドを上下動して守備もしなければならないのでは、前者の方が向いているし結果も出せると本人が考えるのは無理ない。いつもアップ時にはゴール前でいろんなシュートの感覚を試すほどゴールへの意識を大切にする選手だから、短い時間でも寿人orウェズレイの代わりにゴール前でプレーしたいのだろうなと思う。気持ちを切らさずに頑張ってくれとしか言えなくて申し訳ない。
自分は何故これほどまでダバツに惹き付けられるのだろうか。確かに自分はサッカーを抜きにしても旧東欧好きだし、サッカーでもマスロバルやバデア、ホルバートのような欧州の薫りがする選手は元々好きだ。左サイドでの爆発力と危なっかしさはアウグスト的な楽しみ方も出来る選手だ。だが、それだけではない何かがある。永井のハンドをアピールする姿、削られてうめく平川に近寄ったあとレフェリーに「何でもないないだろ」みたく肩をすくめる姿(現地では気付かなかったが、テレビで見たらダバツが削ってた)、マルクス田中との小競り合い、警告をもらったあと戸田に近づいて「あれがイエローなんておかしいよな」みたく情けない顔して話しかける姿、この既視感は大好きだった馬鹿クロアチア人テニス選手ゴランだと気付く。少しでも長く残ってくれると嬉しい。

ファールをとられたけど、アレックスが左から抜くとみせかけて駒野が体重かけた逆をついて右からボールを奪った場面、現地ではもちろんテレビでも一発目では分からなくて、金田氏の解説を聞いて見直してようやく分かった。こういう未経験素人には気付くことすら出来ないプレーをどんどん指摘して欲しい。BS-i(あるいはCS-TBS)辺りの地下メディア放送がぴったり合う。氏には「サッカーは駆け引き」という考えが根底にあるようで、アルゼンチンリーグが好きだったのも当然。今年の解説でも、創造性のない小野剛サッカーを嫌悪していたし、オフトが「アイコンタクト」流行らせてた時も「ワシや和司は目を見なくても相手が何をするか分かっとったわ」と言い放ってたし、80年代日産にプライド持ってて、大きな声では言わないけれど、多分アンチオシムサッカーの最右翼だろう。「外国人監督がなんぼのもんじゃい」ということで、代表について思ったことはどんどん発言していただきたい。サカダイで、小野技術委員長の代表サッカー肯定分析の次ページに、金田氏の徹底批判とかあったら最高。