パロップのブログ

TVドキュメンタリーの記録は終了しました

CS「第16節・ジュビロ磐田戦」

2005/7/14放送、主審:松村和彦、実況:西岡明彦、解説:本並健治
ベットが高い位置で相手の3バックにプレッシャーを掛け続ける3-4-3に近い形で、サイドの片方或いは両方が下がってくる5バックにもならず、なかなか良い攻撃が出来たのではないだろうか。
サイドで駒野より服部が目立ったのは、広島の攻め云々というよりは、村井と太田の守備力の差か。同じようにカズがスーパーに見えたのは、マッチアップの相手がフナタニーニョだったからという可能性が高い。服部/河村がいる場所までいくとプレッシャーきついけど、それより後ろから組み立てるのはわりかし楽だったように見えた。
9分頃のカズから寿人へのパスはワンタッチで出して3人のディフェンダーを置き去りにした見事なもの。15分半頃のカズから寿人へのパスはカズがトラップ、ツータッチしたところで寿人が裏へ走る合図をし、次のタイミングでカズも裏に出したが、これでは読まれる。寿人もタイミングの取り方は上手くても、スプリント能力が高いわけではない。
昨年の今頃、日本代表板に「エスパルス池田を五輪代表で使え」という内容のスレが立っていた。スレ主が「ユーティリティとかフィード能力とか言って青木や阿部や那須を使ってんじゃねえよ。本職の池田を使えよ。フィードは下手だけど対人は強いぞ」といった感じで、アテネ初戦で那須がやらかした後は「だから言っただろ。大切な本番は本職じゃないとダメなんだって」と怒っていた。対戦相手の池田を意識したことはなかったので、それだけが印象に残っていたわけだが、実際に広島へ来てみると結構書いてあった通りの選手だった。ただ気が小さそうだから、五輪に連れていって能力を発揮したかは正直微妙だ。
解説の本並氏がヨシカツと下田について「実力差はありません」と言い切ったのが面白かった。

この試合そのものとは関係ない話だが、試合の映像を見る前にj'sgoalに掲載された小野監督の会見コメントを読んだ。いつもサポーターへの感謝と勝ち点3への思いを述べるだけで、サポにも「テンプレのようだ」と揶揄されていたのだが、この日は珍しく3バックの意図、交代の意図、ガウボンの出来に対する見方などについてはっきりと答えている。
http://www.jsgoal.jp/club/2005-07/00021406.html
無理矢理関連付けるわけでもないが、日本代表板の田嶋スレでたまたまみかけた大住氏によるトルシエとの昼食会兼会見で、

**なぜ試合後の記者会見に山本コーチを送るのか。
トルシエ チームの成功は私の成功ではない。みんなの成功だ。だからみんなに気持ちを表現する機会を与えたい。私を助けてくれているスタッフをたてたいんだ。私は料理長のようなもので、このチームでは相談役のようなものだ。スタッフが料理をつくる。私はタマネギは切らない。
(中略)
**イングランド戦で本山をトップに入れてから中盤がよくなった。
トルシエ あのときは、我々の攻撃のときに本山がフルに機能していなかった。またとくに守備の面で本山が機能していなかった。失点する前に変えなければならなかった。コーチングは失敗してから変えるやり方もあるが、問題を発見したらすぐ対処するやり方もある。本当は試合開始5分で変えるべきだった。相手が左サイドからの攻撃が多く、逆サイド、つまり日本の左サイドに展開されたときに不安があった。しかも、本山のほうがつまっていて、攻めにかかれず、すごくバランスが悪かった。カメルーンとアメリカ戦では本山がすごく機能していたのだが。
**そういう話を試合後に監督から聞きたい。
トルシエ それはビールを飲みながら話したい。試合後のコメントは、10年前から同じことをいっている。私の本心ではない。経験でしゃべっているだけだから。山本さんのほうが新鮮なコメントを出してくれる。
http://soccer.cplaza.ne.jp/truth/n78/shin.html

というのを読んだ。オシムも試合後の会見では具体的な場面や交代についての意図・説明よりも人生の訓話のような話で煙に巻いて、采配の正誤は「メディアの皆さんが書くことは常に正しいのですから、自分が思った通りのことを書いたら良いのではないですか」という態度をとっていると思う。湯浅氏は「本音を話さないから」という理由でトルシエの会見に早々出なくなったと書いていた割に、オシム会見には嬉々として出ているが、はぐらかし度では大差ない気がする。
上に挙げた3人の監督は恐らくいずれも馬鹿が付く程のサッカー好きで、チャンピオンズ・リーグを見た次の日の朝なんか、延々と采配談義に花を咲かせそうだが、それを自分の試合後の記者会見ではしたくないと思っているようだ。2001-02年の狂乱以来「メディアは脳内でストーリー作るな。監督のコメントとか事実だけを拾って集めれば良いんだよ」という風潮が強まり、それはj'sgoalのようなサイトの隆盛にも繋がっているのだろうけど、案外と監督というのは、試合を見たそれぞれの人が90分間の脳内ストーリーを楽しんでくれれば良いと思っているのかもしれない。最近「事実」や「正しさ」に拘るあまりに窮屈な感じがしないでもない、と毎節、脳内ストーリーを書いている言い訳をしてみる。
難しいネタでうまくオチもつかないが、要するに言いたいのは「どうして水曜日の小野監督はあんなに冗舌だったのだろうか」という話。