パロップのブログ

TVドキュメンタリーの記録は終了しました

『BSドキュメンタリー』「映像記録・ビキニ事件の半世紀」

2004/7/9放送、90分、映像記録:『ドキュメンタリー廃船』(1969年)『NHK特集 ビキニ環礁』(1976年)『NHK特集 ミクロネシア〜さまよえる楽園』(1986年)『ドキュメンタリー'89 ビキニ〜消されざる記憶』(1989年)『NHKスペシャル 又七の海』(1992年)『NHKスペシャル 地球核汚染』(?年)『日曜スペシャル すてられた放射能の島で』(1999年)、構成:浜田裕造、制作統括:伊藤純/近藤史人/東野真、制作著作:NHK広島
自分のところで制作した資料映像が1969年からあるというNHKの物量に圧倒される。
ミクロネシアについては、甲状腺の病気は自然にも発生するわけで、亡くなった1人の症例だけを抜き出しても、そこに水爆実験の影響があるのかないのかという因果関係を説明出来ないのはある意味当然。最近放送された水俣病のドキュメンタリー(http://d.hatena.ne.jp/palop/20040505#p1参照)で知った事だが、被爆の後遺症も水俣病と同様に疫学的研究が必要ではないか。ある地域の発生率が他の地域の平均から高ければ、当然影響があった云々という考え方。ただ米国も疫学的発想を逆手にとり、人体への影響を認めるとその患者が亡くなるまで多大な賠償を請求されそうなので、地域への補償=土壌改善工事をやっているような気がする。これだと、後から被爆患者の訴えが増えても「人ではなく地域の現状復帰に貢献しましたから」で終わりそう。しかも改善工事=公共工事も米国企業が群がり、儲けが出る仕組みになっていそうだ。
アンジャイン日本語達者だよアンジャイン。
米国パートについては、劣化ウラン弾をめぐる話を連想させるようなさせないような。米国が取り得る立場としては「地表で水爆実験した事自体、非人道的ですまんかった」〜「水爆実験はやむを得ないとして、風向きの見込み違いで被爆させてすまんかった」〜「水爆実験はやむを得ないし、風向きの見込み違いで被爆したのも事故なんだから、仕方ないじゃん。オラ知らね」〜「水爆実験と、あなた方の甲状腺の病気は何の因果関係もありません(きっぱり)」あたりか。どういう態度をとったところで、した事に対する責任は変わらないとも考えられるし、紳士足る者、起きた後の対応こそに真価を問われるとも考えられる。などと考えていたら、どうも意図的な人体実験の可能性もあるようだ。当時はネバダ砂漠でも人体核実験など行っていたらしいし、そういう時代の流れのなかにあった事なのだろう。
これに関連して朝日新聞の記事(http://www.ask.ne.jp/~hankaku/html/bikininews.html)を読むと、1998年の時点で、意図的被爆説は有名だったらしい。てっきり最近になって新事実が発覚したので、2004年の今年、これまでの映像に加えて新たな特集を制作したのかと思った。どうやらNHKに騙された気分だ。
日本パートについては、補償金を貰った船員への嫌がらせだとか、原水爆反対運動の分裂だとか、今の世の中とあまり変わらない気がする。あの頃、署名してデモやっていた連中は、今メディアのお偉いさんとして政権批判すれば良い仕事みたいな脳みそで仕事しているのか。それとも会社員になって「何でも反対って、大人じゃないよね。現実みなきゃ」などと訳知り顔で言うようになっているのか。第五福竜丸問題に限らず、私が10代の頃に読んだ、80年代の教科書や真面目な出版物に書かれた社会的な運動に関連する記述の記憶は、全て眉に唾をつけるか、現代視点で再構成するか、どこの運動員が書いたのかを調べるかしなければならない気がする。どれもこれも自分たちの陣営の利となるよう、どんな解釈加えているか分かりゃしない。