パロップのブログ

TVドキュメンタリーの記録は終了しました

92年組の現在地/福岡国際女子テニス2015

敬称略でいこう。

2009年3月の高校選抜テニスで、当時高校1年生(新2年生)だった美濃越舞、今西美晴、江口実沙のプレーを見て以来、ぬるく92年組を追いかけている。ランキングに違いがあると出場できる大会のレベルも変わる厳しい世界で、今年の福岡国際テニスには(同期の大前を含めて)92年組のビッグ4が勢揃いするという幸運に恵まれたので、計3日通った。特に5月5日は、今大会中では観やすい部類に入るコート1の第1試合から順に美濃越×大前、今西、江口が登場するという奇跡が起きたので、16時半から夜勤入りだというのに10~14時までガッツリ観てきた。きつかった。動画も撮ってみた。最前列でバズーカみたいな望遠カメラで静止画を撮っている老けたカメラ小僧は沢山いたけど、ビデオカメラ回している人は自分しかいなかったので、現地にいた人なら「ああ、あいつか」と分かってしまうが、まあ仕方ない。テニス中継にしてもサッカー中継にしても、選手のアップを多用すると通に叩かれ、全体が分かるように引きで映すと評価される感があるけど、個人的には引きの画面でばかり見ているとテレビゲームの画面(90年代のスーファミとかね、最近のは知らん)を連想して選手を駒のように見てしまうシステム厨を生む気がする。ボールの行方とか勝ち負けとかどうでもいいじゃん。JJオコチャの足さばきだけ90分間映す映像とかあっていいじゃん。佐藤寿人のマークを剥がす動きを90分間追う映像があっていいじゃん。

 

観戦スケジュール:

5月3日(雨のためすべて室内コート)予選1回戦:美濃越舞vs瀬間友里加 ほか

5月5日(コート1)予選3回戦:大前綾希子vs美濃越舞、本選1回戦:ブローディ・ナオミvs今西美晴、江口実沙vsダン・カティ

5月7日(コート1)本選2回戦:江口実沙vs日比野菜緒、(センターコート)今西美晴vsダリア・ジャクポビック、(コート1)波形純理vs日比万葉 

 

以下、雑感。

江口実沙:世界ランク148位(2010年:697位→2011年:232位→2012年:302位→2013年:289位→2014年:130位)

2009年のセンバツで観た江口は「高校年代では誰も勝てないだろう」と思うくらい実力で抜けている感じがして、今でもこのなかではランキングも最上位だけど、正直物足りない。端的にいうと試合を観ていて面白くない。確実性を身につけたといえば聞こえがいいけど、もっと大胆にどっかんどっかん打つテニスが見たいなあと思う。今大会で、プロフィール上は同じくらいの身長(173cm)である波形純理の試合を初めて観たが、当たったら誰も止められないけど一度リズムが狂ったらサッパリという楽しいタイプだった。世界に出たら170cmくらいでは大きい人扱いではないし、コンパクトで確実なテニスを目指すのも分かるけど、もうちょっと冒険心があってもよかろう。

 

今西美晴:世界ランク214位(2010年:998位→2011年:551位→2012年:459位→2013年:292位→2014年:201位

「高校年代では誰も勝てないだろう」と思った江口を翌2010年の個人戦で倒したのが今西。体のサイズはないけど、フォアでもバックでも丁寧にハードヒットして、アジリティがあって粘りもあって…という典型的な日本人プレーヤーを勝手に「量産型杉山愛」(揶揄しているように聞こえるかもしれないが、シングルス世界トップ10/ダブルスナンバー1になった杉山になれれば大したもの)と呼んでいるが、まさに今西は質の高い量産型杉山愛。試合を観ていると、大事なポイントでびびらないというかハートがタフだなと思う。高卒時はプロにならず実業団に所属し、実力を見極めて3年目にプロ転向する辺りも含めてクレバーなんだろう。今大会の負け試合は割と淡泊に、大した抵抗も出来ずに負けてしまってちょっと残念だった。

 

美濃越舞:世界ランク474位(2010年:820位→2011年:509位→2012年:338位→2013年:596位→2014年:522位)

高い打点からのフォア逆クロスは相変わらず惚れ惚れするような美しいフォームだし、大きな武器だなとも思う。太腿をみれば決して華奢ではないし鍛えているんだろうと思う。それで4年ほどツアーを回って大体この順位。どうしたもんかなとも思う。コーチや事務所含めたチーム美濃越としては、少しずつ身体を作ってツアーに適応してランキングを上げていこうぜという長期計画なのかもしれないが、残された時間はそんなにあるのだろうか。よしもと興業はそんな悠長なことを言ってくれているのか。そこそこ平凡な成績で現役引退した後でタレント業に転向出来るほどトーク力とかあるのか。個人的に見て思うのはもうちょっとクイックネスというかアジリティというかコーディネーション的なものが上がらないものだろうか。運動能力以外に予測も不得手なのか、もう少し機動力がつかないとフォアだけが武器では先の上昇が見込めない。

 

大前綾希子:世界ランク410位(2010年:726位→2011年:246位→2012年:279位→2013年:479位→2014年:674位

他の3人と同学年だけど、高校生の大会には参加していないので比較が難しかったが同年代の旗頭だったみたい。怪我もあったのか、こちらも停滞気味。一見すると「ウェイトオーバーだろ」とつっこみたくなる体型なんだけど、案外狙いがあってのことかもしれないのでなんともいえない。「量産型杉山愛」的な話でいくと、大前も背が高くない標準的な日本人女子選手であり、標準的な選手が標準的な事をやっていても標準的な順位にしかならないわけで、どんなに機敏に動いてもパワーやリーチで欧米の選手に勝てない状況があったとしたら、少しスタミナやクイックネスを犠牲にしても日本人離れしたパワーをつける選択は面白いかもしれない。

 

92年組じゃないけどおまけ

日比万葉

グラフみたいなバックハンドのスライスを打つという評判なので興味があった日比を観た。ラリーが長い。相手のミス待ちで、勝負球がない感じ。他にいないスタイルだから面白いのは面白いのだろうが、あまり伸びしろがあるようにも思えない。オールドスクールが滅びるには滅びるだけの理由があるのだなとも思わされる。ちなみに動画は大会公式Facebookが同じラリーを上げていた。まさにリザーブアングル。向こうの映像に私が映っている。人に見せたくなる良いラリーだったということで。

 

おまけ:

選手とファンとプロ興行の関係についてもやっと思っている事を書いてみる。

一般的にプロスポーツにおける選手と客の関係って、サポーター的客がお金を払って特定の個人を応援するか、物見遊山的客がお金を払って良いゲームを楽しむか、のどちらかだろう。しかし現状、日本女子選手とファンの間にはどちらも成り立っていないように思える。つまり、お金を払ってもいなければ、うまく個人を応援出来てもいないし、レベルの高いゲームを見せてもらってもいない。

まず女子テニスの仕組みを簡単に説明すると、トップカテゴリーであるWTAの大会に出場し、グランドスラムにも本選から出場できるのがおよそ世界ランキング100位辺りまで。一つ下のカテゴリーであるITFの大会に出場しながらグランドスラムの予選に参加できるのがギリ250位辺りまで。ITFでも一番下の賞金総額1万ドルの大会に本選から出場できるのが600位辺りまで。

次に個々の大会でみると、たとえば福岡5万ドル大会なら入場料が1週間通しで1000円、久留米5万ドルは観客席がしょぼいので入場無料。賞金額は本選で1回勝ってベスト16で負けたら760ドル(約10万円)、優勝しても7600ドル(100万円)。要するに大会は入場料収入で成り立っているのではなくスポンサーによって成り立っているし、選手の生活費・遠征費も賞金で成り立っているのではなくスポンサーによって成り立っている。

では選手の側をみると、奈良くるみ土居美咲を除いた150~600位の日本人選手は世界中で開かれるITFの大会に出るために一年中どさ周りの旅をしながら、どこを目標にしているのだろう。やはり選手人生で一度くらいはグランドスラム本選に出場する事? そんな選手をファンはどんな風に応援すればいいの? ドメスティックな競技と違って「世界1位になって」とか「グランドスラムで優勝して」とか軽くは言いにくいわけだから、選手の具体的な目標を知りたいわけだけど、目標が具体的かつこじんまりし過ぎていると正直夢がない感じもある。

とにかく観る側が選手にお金を落としているわけでもなければ、選手の目標を共有しているわけでもない。それってプロスポーツと呼べるの?みたいな気持ちになる。

もちろん裾野が広くないと頂点も高くならないので、選手がランキングポイントを稼ぐためだけに存在する下部大会の存在が悪いはずはない。たとえば大相撲なんか多くの客が入ってくるのは幕内の取り組みからだけど、じゃあ序二段三段目は要らないのかっていえば、力士が競争を勝ち抜いて上がってくるための場として必須。じゃあテニスと大相撲は何が違うのか。大相撲の序二段三段目の取組は興行として同日同会場で行われているから前座として存在する事はおかしくないが、テニスの場合、興行として成り立っていない前座的な存在が単独で開催されているから尚の事私は不自然に感じてしまうのだろうか。

ユース選手の“未来”を応援する感じとも違うし、チームスポーツで2部3部リーグに所属している“おらがクラブ”を応援する感じとも違うし、どれとも似ていないモヤモヤ感。安い入場料払っても仕方ないし、むしろ特定の個人選手を応援する=スポンサードするクラウドファンディング・ソーシャルファンディングがハマりそうな気はする。

 

余談:

高校2年生の美濃越とダブルスを組んでインターハイを優勝した小和瀬麻帆という選手(92年組の1コ年上)がいま何をやっているのかと気になって検索したら、米国の大学に留学してて、そのインタビューが面白かった。

日本と違って同じ相手と試合するのはこちらではすごく少なくて。いつも「この相手はどんな選手なのかな~?」って考えながら試合をできるのも魅力ですね。(相手のテのうちを知り尽くしている日本の試合と違って)

 

日本国内でのプレッシャーがものすごくて。。。例えば、関東はここまでいかないと、とか、誰ちゃんには負けられないとか。

 

多分テニスは嫌いじゃなかったんですけど、テニスを日本でやるというプレッシャーに押しつぶされそうで、逃げ出したかったんだと思います。そんな風に感じている高校生、凄ーく多いと思います。だから大学ではテニスやめようと思う人とか。

 

社会全体プラス自分自身のプライドかな。。。笑。全国大会には何があっても出場したいから、それの予選会はものすごく緊張したし、ここまで行けないのはもうなにがあっても許せない!というプライドですかね?

 

テニス以外にも大学生活だったり、テニスは人生の中で一部にすぎないんだっていう考え方をコーチやチームメイト達に学びました。ジュニアのときはテニス命!って感じだったかもしれないですけど、視野が広まったり、変に自分にプレッシャーをかけない事で肩の力がぬけたのも大きいと思います。

 

「日本でのプレッシャーとアメリカ留学」

http://tennisinusa.blog.fc2.com/blog-entry-189.html

サッカージャーナリストの加部究氏が高校サッカーの問題点として書いている事柄が同じように並んでいる。日本テニス協会公式サイトに載っているジュニア大会結果の過去ログを眺めていると、いまプロでやっているような選手は12歳以下の頃から全国大会で対戦している。まさに手の内を知り尽くしている相手と高校卒業まで戦っている。もっともその後プロになってテニスを続けている選手も多いのだから一応バーンアウトからは逃れているわけで、モチベーション云々を外野が心配するような事ではないのかもしれないが、14歳頃までは今をときめく人達と肩を並べていたのにいつの間にかトーナメント表から名前が消えてしまった子達はどうしているのかな、今でもテニスを好きでいてくれるかな、みたいな事は考える。

ジャック・ティベールによるバヒド・ハリルホジッチ

リール、それはわれわれの現代世界にあって、驚異的な人物バヒド・ハリルホジッチ監督によって率いられた1クラブ、1チーム、一時代前の男たちの風変わりな物語だ。

ジャック・ティベール(中村一夫訳)「欧州フットボール春秋」『週刊サッカーマガジン』より(以下引用箇所は同じ)

日本代表の新監督バヒド・ハリルホジッチについては、ディナモ・ザグレブ時代、アルジェリア代表時代とも既にかなりのエピソードが紹介されているので、インターネットの海に何か新しいネタを提供できないかと考えた結果、10数年前の雑誌コピーを引っ張り出すことにした。出典元の正確な発行日をメモっていなかったのは痛恨だが、リール×パルマ戦の後だから、恐らく2001年8月か9月頃の記事だと推測される。リール×パルマ戦の内容に関しては、河治良幸氏が素晴らしいコラムを書かれている(「名将ハリルホジッチのジャイアントキリング。司令塔・中田英寿を封じた伝説のパルマ戦」http://www.footballchannel.jp/2015/03/12/post76455/)。

かつての大プレーヤーで、ベレス・モスタール、ナント、パリ・サンジェルマンセンターフォワード、第一級のストライカー、83年フランス・チャンピオン、ユーゴスラビア代表の彼は、技術、集団感覚、得点感覚、両足のシュート、ヘディング・プレー、優雅さを持つ完成されたチャンピオンのスタンディングと資質を有していた。

ジャック・ティベールはフランスサッカー専門誌の記者で、欧州チャンピオンズカップを第1回から見ていて、プスカシュやデステファノと知り合いという欧州サッカーの生き証人みたいな人。とはいえ、チャンピオンズリーグやEUROの記事は独自の面白さは薄くていたってオーソドックスだしレジェンド選手との交友録は爺さんの自慢話ぽいし…で、彼の記事で一番面白かったのは、日本人の誰も興味を持たないようなフランス国内リーグの70~80年代思い出話だったかもしれない。

出来損ないのチャンピオンズ・リーグ予選のまったく興味のない数多くの試合。それにバカンス中の新聞の読者たちにとっては、前者と区別がつかないインタートト・カップの各試合のなかで、一面の砂の広がりを突然灯台の明かりが照らす試合があった。パルマ対リール戦だ。

「欧州フットボール春秋」は『週刊サッカーマガジン』に長年連載されていたコラムで、フランスローカルネタが多過ぎることからフランスのサッカー誌に掲載されたコラムの翻訳転載とも思われたが、他方ナカータやらトルシエやら日本代表の欧州遠征やらを主題に書くこともあったので、サカマガ用に書き下ろしていたのかもしれない。たまに編集部からお題設定が届く以外は自由に書いて良いという感じだろうか。邪推すると、このコラムも元はサカマガ編集部から「チャンピオンズリーグで戦うナカータについて書いてくださいよ~」的な依頼があり、(試合前)「あー、めんどくせ、8月はバカンスの季節だよ、予備選なんて興味ねえよ」→(試合後)「やたー、リールが勝ったぞー、ナカータにかこつけて日本の雑誌でバヒドについて書くぞ、ヒャッハー!」だった可能性もある。ちなみに今回引用したコラムのうちバヒド部分は全体の約3分の1で、残りは全て金儲けに走る欧州サッカー批判である。というか、そもそもティベールはチャンピオンズカップが国内王者にならなくても参加できるチャンピオンズリーグに改悪されたことをいつもいつも批判し続けていた。

以下、ティベール爺が嬉しそうに引用するバヒド語録を更に引用す。

ハリルホジッチはトレーニング、勇気、正直さといった大変単純だが、無慈悲なまでに適用された価値をベースに彼の仕事を企てた。彼は言葉の厳しさ、過酷な要求で驚かすが、価値と技術で、大変平凡なプレーヤーたちの賛同を獲得する。彼はプレー組織、確固たる諸原則を敷き、選択し、役員たちに、クラブの安定を強要する。

「私の仕事のやり方には、あまり即興部分がない。毎日、厳しくならなければならない。報いをもたらすのは、日常の仕事だけだ。そしてリールのプレーヤーたちは、それを理解した。われわれは毎日大変なトレーニングをしたし、彼らの一部は2年間に100%の技術進歩を遂げた。突如それは、集団の改善をもたらした」

01-02年にリールはイタリアでパルマを2-0で打倒した。

人々はどうしてこんなことが可能なのかと問い、そしてハリルホジッチは「大事なのはプレーしかなく、それに意欲だ。私はシステムを信じ、プレーヤーたちに彼らの資質を考慮せずにその適用を強いる監督ではない。私のチームは当然ながら、プレーヤーたちの資質に、つまり基盤に適応したものでなければならない。次にプレーの質とボリュームで進歩しなければならないが、チームは昨シーズンにそれを成し遂げ、さらに進歩し続けている。まったく大きな満足だ。3年来この調子だ」と答える。

欧州の戦いで8年来どのチームも勝ったことがないパルマで、2-0で勝った。「歴史的だ!」とハリルホジッチは認めた。試合前の数日間、彼はプレーヤーたちに仕事をかんで含めるように説いていた。

「われわれはトータル・フットボールをプレーしよう。10人で守り、6人か7人で攻撃しよう。われわれは中盤で彼らを抑え込み、中田を動けなくさせ、それにわれわれが1、2度の機会を具体化するのは難しいことじゃない」

この2-0の勝利以来、ハリルホジッチは「リールがもう無名クラブではない」ことを認める。彼はこの数日後に再び現在の8倍の給料でイングランドのクラブからの申し込みを受けたが、それを拒否した。

「私は金が一番重要ではないと考える最後のバカ者の一人だ。私の資本、それは私の仕事、私の能力だ。いつか私はリールかどこかでもっと支払いを受けよう」

ここまでの“バヒド語録”もなかなか面白いけど、個人的には日本語圏ではあまり知られていないボスニアからフランスへ渡った頃のエピソードが興味深かった。

「わずかな人々しか、私に手を差し伸べなかった。だが私はフットボーラーとして、わずかながらも足跡を残したと考え、もう少し支援を、特にナントの人々の支援を受けることができると思っていた。だがそれが人生で、早々に忘れ去られる」

ボーベの監督としての束の間の経験後に、彼は2年間、フランスの300万の失業者の一人となる。有能と称されるクラブ会長のだれ一人として、この非凡だったチャンピオンの、その強烈なパーソナリティーで知られるこの技術者の能力を試そうとは考えなかった。

フランスというか欧米は全体的にもっとレジェンド選手を大切にするし難民には温かいと思っていたので、これは意外だった。ただフランスのために弁明するとすれば、フランスは指導者ライセンスに厳格で、故郷ボスニアに帰ってからはサッカーから離れて実業家として暮らしていた人間にいきなり監督業をさせなかったのも、それはそれで一つの見識だろう。結局、97年にモロッコに渡ってカサブランカで実績を残して(あるいはモロッコで指導者経験を積んだことで指導者ライセンスの問題をクリアして)、98年にリール監督に就任する。逆にいうと、バヒドの凄さは、旧ユーゴスラビア出身でフランス国籍保有者なれども、名将を生み出すことで知られるユーゴの体育大学やクレールフォンテーヌで指導者ライセンスをとったわけでもなく、独学で指導者として実績を残していることかもしれない。

(2015/5/30追記:フットボール批評05』のハリルホジッチ特集によると、ユーゴスラビアでもフランスでも指導者資格を取得しているとのこと。フランスで取得した時期がボーベ以前なのか以後なのか記事によって見解が分かれているのはご愛嬌)

 

 

 

 

※余談

97-98シーズンから欧州CLの放映権を獲得し、我らのナカータがCL出場権を持つパルマに移籍して大はしゃぎし、無名の選手しかいないリール相手の予備選3回戦なんて楽勝だと思い、捕らぬ狸ならぬ1次リーグの皮算用を弾いていたWOWOWのサッカー中継関係者にとって、ハリルホジッチの名前は悪夢のような経験として刻まれているはず。 

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ハロプロ楽曲大賞2014

楽曲大賞というか、1年の締めくくりにハロヲタ活動を振り返る企画。

すなわち、8月13日朝に夜勤明け~仮眠して~夜に小倉港から夜行フェリー~14日朝に松山港~昼にサロンキティでジュースジュース(J=J)のコンサートを観て~夜に松山から高速バスに乗り~15日朝博多バスターミナル着~仮眠して~夕から夜勤入り…というアホみたいな強行日程をする羽目になったかを書こう。

昨年末にユーチューブでJ=Jの新曲MVを見て衝撃を受けた。

特にかなともこと金澤朋子さんの「なんかさらにもっと不利になる気がする♪」のフレーズに心を打ち抜かれた。声質といい、歌い方といい、最高じゃん。

 

それまでJ=Jといえば、せっかくコピンクでファンを掴んでいたちゃんさんこと宮本佳林さんをその他大勢と混ぜた上につんくボーイ得意の寺田R&B歌謡をやってるユニットでしょ?くらいの認識しかなかったが、この曲を聴いて俄然興味が湧き、改めて遡って他の曲を聴くとこれがなかなか「魅力的なボーカリストが3人いるじゃん」と認識を改めた。

で、春になってファーストライブツアーの日程が発表され、これは生歌を聴くために行かねばなるまい。何故って、カップリング曲(今回の場合名目上は両A面だったけど、まあTVなんかのプロモーション的にはカップリング扱いだったし)は直後のコンサートで披露したらすぐに封印される事務所じゃないか、『ポップコーンラブ』も『純ラバー』も全然コンサートで聴けなかったじゃないか。

というわけで、福岡市民としては7月20日のDRUM Be-1に行きたいが、当然のごとくファンクラブ先行でほとんど売れてしまい、一般発売の土曜10時にロッピーの前に待機したけど、当然のごとく瞬殺で売り切れた(当初の発表DRUM SON[キャパ200]からDRUM Be-1[キャパ300]へは変更になったみたいだけど、あの当時の話題っぷり&期待感ならDRUM LOGOS[キャパ1000]だっていけたんじゃないかと。1回公演だったし)。

しょんぼりしながらローソンチケットサイトを眺めていたら、8月14日に松山サロンキティでJ=Jのコンサートがあるぞ。だが、ハロプロ公式のツアー日程には載ってないぞ。どうやら地方興行主が主催だからファンクラブを通さないのか簡単にチケットが手に入ったぞ。しかも公式ツアーよりも安いぞ。

というわけで、無駄に煽られた飢餓感に襲われて思わずチケットを取ってしまったが、福岡から松山までどうやって行こうか。どうぜ松山まで行くなら、前後も休みをとってのんびり温泉でも入ろうか。それなら少々値が張っても新幹線等で行こうか。と思っていると、職場の同僚の元中国人(現帰化日本人)さんが夏休みに2週間程帰省するといい、その間他のスタッフはシフトの都合上連休は取れませんってなった。仕方ないから前後を夜勤にしてもらおう。どうせ昼間のみのピンポイント滞在しか出来ないなら、交通費もケチろう。おー、小倉から松山までフェリーがあるのか。しかし船で乗り物酔いしてゲロゲロでコンサートも辛いし、無難に夜行バスにしよう。

日時は8月14日、お盆のど真ん中、これはいつもみたいに数日前に予約していたら危ない、急がねばと、まだ8月のシフトが正式には出てない7月18日に博多バスターミナルへ行き、自動券売機で購入しようとした。無事席を押さえてクレカを読み込み、精算…というところでエラー発生。どうやら席を押さえてから精算までに他の端末から購入していた人に先を越されて往路が売り切れたらしい。職員さんを呼んでクレカの払い戻しやらゴソゴソして、とりあえず復路だけ買い直した。しまった。バスにしてもフェリーにしても往復なら割引があるのに、片方ずつ買ってどうすんねん。気が焦った。バカバカ。帰宅して往路のフェリーはネット予約した。当日、港に行ったら「本日は当日券の発売はありません」とか書いていたので、やっぱお盆恐るべし。早めの確保行動はまあまあ正解だった。

J=Jのコンサート、正式には“IDLE GOSSIP”Vol.2という名称で、地元アイドルひめキュンフルーツ缶との対バン形式というか、午前はひめキュンワンマン公演にJ=Jがちょろっとゲスト、午後はJ=Jワンマン公演にひめキュンがちょろっとゲスト、という形式だった。せっかく交通費払って朝5時には松山港にいるのだから、ついでにひめキュンさんも見ていこうかと思ってユーチューブで事前にチェックしたのだが、うーむ、興味が持てない。80年代にケーシー・ケイサムの全米トップ40で育った自分なのに、ひめキュンとかぱすぽ☆とかロックなアイドルに全然ぴんとこないのは何故なのか。ガールポップには求めているものが違うのか。

そんなわけで、当日は朝から道後温泉に寄って、神社に登って、

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城に登って、

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県立美術館に寄って、

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県立図書館に寄って、15時くらいにサロンキティへ着いた。15時15分開場、15時45分開演。

一般発売なので当然ながら整理番号は後ろの方だったけど、入場したらスタッフの人が「前の方まだ空いてます。詰めてください」とか言ってるので、どんどん中央から進んでいったら、9~10列目だけど1段高くなっているところの1列目的なポジションになった。これがまた、今までゼップフクオカやビードラムやイムズホールの後方から、人の頭の隙間から、平面の客席から豆粒とは言わないまでも見た景色とは全然違っていた。かなともやちゃんさんと正面から目が合った気になる!恥ずかしくてこっちが目を逸らしてしまう(←バカ)。ああ、これなら良席を求めて大金を払う人の気持ちも分かる。

オープニングでいきなり知らない曲。どうやら発売前、ラジオくらいでしか公開されていない曲らしい。

かなともはテレビだと口デカ姐さんだと見えたが、本物は普通に美人さんだった。雅ちゃんもテレビと違って本物は長くないらしいし、そうなるとソガハタも実物は顎出ていないかもしれない(そんなわけない)。

2曲目の『イジワルしないで抱きしめてよ』から予習した通りのセトリ。バスドラムっていうのか、どぅんどぅんどぅんどぅん(←熊井ちゃんリスペクト)な大音量重低音がかっこ良くて、ライブハウス良いなと思った。

さゆべえこと高木紗友希さんはテレ朝チャンネルで見たライブの『Magic of Love』の印象が強いからなのか、もっとエモーショナルでR&Bな声質だと思い込んでいたが、実際は藤本さんや辻ちゃんのようなビーム系の声、歌い方も素直で器用な歌上手い研修生の保守本流だった。これは何らかの方法でデビューさせたくなる才能。

そして『初めてを経験中』、サビの「こんな風に~♪」であーりーこと植村あかりさんがセンターに来たところで、涙を流して泣いていた。「5曲目で早えよ!アホか」と自分にツッコミながらもあーりーセンターに感動した。「やっぱこれだよ、これが見たかったんだよ。これが完成形だよ」と。ついでにいうと、コンサートの後半の『アレコレしたい!』でも同じあーりーセンターの形になって、曲の強度は別として「やっぱりこれだよこれ」と思っていた。

スキル重視でいったらセンターちゃんさん、その脇をかなともとさゆきで固めるのが定石だろうし、生で聴いた『Magic of Love』はやっぱりかっこ良くて、ちゃん&さゆきも気持ち良さそうに歌ってて、こういう路線が間違っているとはもちろん言えないのも分かっているけれど、それでもあーりーセンターがしっくりくるんだよぉぉ、全然あーりー推しじゃないのに、なんなんだろうね、潜在能力かな、オーラかな。

公式ツアーでは中盤に二手に分かれて歌ったり、カバー曲歌ったりするコーナーがあったけど、差別化を計る必要もあってか、ここでは全員ソロ曲披露に変更。おまいつさん達にはサプライズなプレゼントだったろうけど、個人的には『鳴り始めた恋のBELL』と『インスピレーション!』が聴きたかった。『風に吹かれて』も消えたけど、まあそんなに聴きたかった曲じゃないから、そこはOK。

とはいえ、ソロ曲を聴いて「全員が結構歌えるじゃん」となったのは意外な収穫。あーりーもゆかにゃこと宮崎由加さんも全然ソロいけるじゃん。ちなみに自分の右隣りに立っていた人がゆかにゃヲタで、ソロにはピンク色を振り回して大喜びしていた。良かったね。

そんなこんなで、コンサートが終わった後はかなりJ=J熱が高まった。10月13日の周南公演を一般先行で自分史上初めて昼夜取ってしまった。まあ台風で流れてしまったところで少し目が覚めてチケットは払い戻し、2月1日の福岡公演を改めて取り直した。良くも悪くも(良くはないか)ハロヲタ界隈のJ=J熱は下がってきたようで、普通にチケット取れるし。

というわけで、

1位:初めてを経験中/Juice=Juice

に6点。

初めてを経験中

初めてを経験中

 

 … 

楽曲大賞、以下の4曲が各1点。

ロマンスを語って/Berryz工房

 

むかしつんくボーイが「宇多田ヒカルが出てきてモーニングの路線を変更うんたら」と語っているのを見たときは「何言ってんだ。日本語R&B系とギリギリくくれるくらいで路線違うじゃん」と思っていたのだが、最近NHKモーニング娘55」で『抱いてホールドオンミー』とかのリアルタイム映像を見て、ああ元々はシュープリームスロネッツみたいなことが本気でやりたかったんだなと理解した。

どのユニットにも1曲ずつは「ガールポップの佳作!」みたいな、カン紺藤『シャイニング』みたいな、私好みの曲を作ってあげてほしい。

11月16日、福岡国際会議場で、初めてベリコンを観た。最後の最後にりしゃこの生歌を聴くことが出来て良かった。なんだかんだ数曲を除いてだいたい曲を知っていたし。同時代を過ごしていたんだなと。

ロマンスを語って

ロマンスを語って

 

What is LOVE?/モーニング娘。’14

 

基本的にはダンス&ボーカルのダンスにはほとんど興味がなくて「『恋ING』みたいに舞台に座って歌えばいいじゃん」と思っている人間なので、ぶっちゃけフォーメーションダンスとかEDMには惹かれない。卒コンもちゃゆの最後だし観に行きたい気持ちはあるんだけれど、ちょっと乗り切れないので見送った。

そのなかではこの曲が分かり易くてメロディアスなサビが気に入っている。

What is LOVE?

What is LOVE?

 

The Power/℃-ute

 

世の中のスキル重視な風潮にはちょっと息苦しさを感じるところが無きにしも非ず

なので、キュートさんにはこんなバカバカしくもカッコいい曲をたまには歌ってほしい。

The Power

The Power

 

ええか!?/スマイレージ

 

エイティーン エモーション』も結構好きだけど、普通すぎるかな。キュートでいうところの『桃色スパークリング』的な。良い曲だけど、スマイレージが特に歌う必要もないかなみたいな。『ええか!?』はスマイレージの良さ・らしさが充分ある曲だけど、定番になるかといったら難しい。

9月14日の福岡DRUMBe-1のコンサートに行った。『ぁまのじゃく』『有頂天LOVE』『スキちゃん』等々初期の曲は強力だ。個人的には『PMPW』『ヤッタルチャン』が大好きでコンサート毎にやってほしいけど、時々消えたりする。これに新しくセトリに加われるようなキャッチーな曲を生むのは大変だなと思うけど、新しい名前新しいメンバーで新しい名曲を作り出してほしい。もちろん今までの名曲も歌い継いでほしい。

ええか!?

ええか!?

 

 

 推しメン部門:竹内朱莉

最近は、愛理、りほりほと王道好きだったけど、今年は久しぶりによっすぃ~好きだった頃の気持ちが蘇ってきた。ひなフェスの涙にやられた。岡井ちゃん、たけちゃん、さゆきちゃんで実力派ボーカルユニットとか見てみたいね。

 

番外:Mirrorball Flare + Royal Mirrorball Discotheque/松井寛東京女子流

3月に発売されてから、5月17日にイムズホールでコンサートを観るまで、クルマの中で聴き続けたので、たぶん今年一番聴いたはず。「ダンスボーカルのうちダンスには興味がないとか言っといてどういうことだよ。しかも女子流はみんな均等に歌える感じじゃないじゃないか」と怒られたら、スイマセンとしか言えない。しかし、このくらい衣装が可愛くて、振り付けが可愛かったら好きになるのも仕方ないね、と許してほしい。正直メンバーのルックスは微妙かと思っていたけど、生で観たらみんな可愛かったことも追記しておきたい。コンサートは、松井寛バンドが生演奏してくれるんだと勘違いしてて、開けてびっくりだったけれど、Royal Mirrorball Mixをメドレーで聴けてほんとに楽しかった。

 

 

まとめ

アイドルといえばモー娘しかなかった時代に、2ちゃんモ板に影響されてウォッチャー経由ヲタになった人間としては、正直自分で選び取った感が長年なかったけど、今年はいろんなライブに行き、自分の中にある「自分はスマイレージとジュースジュースと東京女子流が好きだ!」っていう意思を選択出来たような感じがする。節目の年だった。

同時にというか、2ちゃん出自だけに、ばくわら世代とか大塚反乱軍とか卓抜なネーミングセンスには好意的に反応してしまうんだけど、アイドルの誰もかれもがSNSやってネットパトロールやって握手会やっている昨今、若い一生懸命な人達をネタ的に消費することに負い目も増して、ちょっと考えてしまう処はある。ユーチューブ公式動画やまとめサイトのコメント欄の清廉潔白さもぞわぞわするけど。

 

余談

さゆがりほりほにキスした後に見せた悪魔的な笑顔。

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どっかで似た表情を見た記憶があったなあと数日考えて思い出した。

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