パロップのブログ

TVドキュメンタリーの記録は終了しました

ファベーラの十字架/国分拓/ヤノマミ

BS世界のドキュメンタリー』「ファベーラの十字架 2010夏(A Crus da Favela)」
2010/11/3初回放送、50分、独白:Quarenta(40口径)、取材協力:伊藤大輔 ほか、撮影:菅井禎亮、コーディネーター:木下庸子、ディレクター:国分拓、制作統括:山本萬、制作・著作:NHK(※エンドクレジットだが、字は小さいし、明朝体に斜体かけてるしで「読むな!」と言わんばかりの上、アナログ放送をSP画質で録画したので文字は潰れているしで、間違っててもご了承を)。
http://www.nhk.or.jp/wdoc/backnumber/detail/101103.html
「国分拓」で検索すると「ヤノマミ」に関する感想が沢山ヒットする。自分は「ヤノマミ」を見ていないが、感想を読むと「国分さんの感性が好きだ」「国分さんに注目!」なんて言っている人が沢山いる。それにも関わらず、「国分拓」が「ファベーラの十字架」を制作したという情報を放送前に発信しているのは、過去に国分氏を取材したことがあるらしいクイックジャパン編集部のブログだけ。数多くいるだろう国分氏の制作した他の作品も見たいと思っている視聴者がこの番組の情報に辿り着けない現状って、というのがこんなサイトを続けている理由の一つだったりする。告知も番宣もしないくせに「ドキュメンタリーは視聴率がとれない」「視聴者は下らないバラエティしか求めていない」とか言っているTVドキュメンタリー関係者って何なの。やる気になれば、ディレクターの名前で客を呼べるTVドキュメンタリーだってあるだろう。
そんなわけで代わりに番宣。「ファベーラの十字架」は明日12月22日深夜にNHK-BS1で再放送がある。ついでに「ヤノマミ」も12月29日にBS-hiで再放送がある。

大抵の『BS世界のドキュメンタリー』は外国作品の翻訳か、NHK著作でも外部の制作会社作品なのに、これはNHK本丸ディレクター作品。取材の貴重さからしても『Nスペ』で50分版を放送した後『ハイビジョン特集』で90分版が製作されてもおかしくない。邪推をすると、内容の過激さからこの枠に押し込まれちゃったのか、所詮はワールドカップに便乗した企画物ということで軽く扱われたのか、国分氏がNHKを辞めてフリーになる予兆なのか。
「ブラジルではワールドカップでセレソンが優勝すれば独裁政権の寿命が4年延びる」みたいな70〜80年代のブラジルを表す小噺を聞いた記憶がある。パッと聞いて面白いけど、それが意味するところは考えたことがなかった。政府には期待も信頼もしていないし、セレソンが優勝すれば日常の中に充満する不満はガス抜き出来るけど、負ければ鬱憤晴らしの投票行動が時の政府に向くということだろうか。そもそもファベーラの成人にも選挙権はあって実際に権利を行使しているのか。でも貧しいままなのか。年に約1万人が銃撃戦で死んでも政府は強権的な治安維持をとるくらいでほとんど社会的な対策をとっていないように思えるが、それでも独裁政権を倒す力はあったのか。政治を左右するくらいサッカーに熱狂するのは貧困層の十八番ではなく中産階級でも同じなのか。そんな疑問が浮かんだ。ジャーナリストの書いた対象に近づいたルポとは別に、歴史学者による「ブラジル現代史」的な本も読んでみたい。