パロップのブログ

主にTVドキュメンタリーを記録します

最近見たドキュメンタリー

西原理恵子氏が出るというので、3/31放送のETV『福祉ネットワーク』を見る。頭が切れる上にテレビ的な予定調和を嫌い、にもかかわらず西原氏のキャラや背景を知っていないと分からない話し方をするので、番組をコントロールするアナウンサーも大変だったろう。西原「家庭が崩壊していた…」みたいな覚悟を持って率直に話した言葉を、テレビ(或いはNHK)的には「いやいや、そんなこともないでしょう」といった下らないゲストフォローで誤魔化してみたくなるものだが、アナも覚悟を持って受け止めて「崩壊していたわけですが、あなたが追い込んだという面は?」と聞くべきことを外さなかった。もちろん台本主義のNHKだから、事前にどこまで聞くか打ち合わせはあるだろうが、あの空間で1対1で向き合って実のあるやり取りをするのは、こちらが想像する以上に難しいはず。テレビで見る1対1の対談なんて、聞き手がへりくだって話し手を「あなたは天才」と持ち上げて、話し手が心地よく話したいことを話させるタイプがほとんどだから。町永アナといえば、例の『ETV特集』の戦犯法廷番組をめぐる論争の中で、局アナとして原稿を読んだだけなのに「政府の圧力に屈した馬鹿共の一味」みたいなバッシングを受けて可哀想だった。あれ以来「喩え台本に沿ってアナウンス/司会するだけの仕事でも、自分の本心と違う言葉は発しないぞ」という覚悟があるように思える、なんとなくだけど。まあ、この番組最大の功労者は、おそらく「あなたの言葉を尊重して番組を作ります。制作側が望む物語に押し込めたりしません」とか言って西原氏に出演を許諾させたディレクターだろう。今月7日に再放送があるそうだから、アルコール依存症に興味がなくても、家族にも興味がなくても、テレビにおける1対1の問答に興味がある人は是非。
上の番組を知ったのは、来週から矢口さんが『福祉ネットワーク』に出演するというから、番組公式サイトを見て偶然発見した。その意味で矢口さんにも感謝。

『Nスペ』「社員みんなで会社を買った〜地方発“EBO”の挑戦」
2008/3/10初回放送、50分、撮影:中村徹、リサーチャー:上出麻由、取材:蒋楽群、ディレクター:内藤誠吾、制作統括:山元浩昭/松永真一、制作・著作:NHK
他のブログでも紹介されているが、アルゼンチンの回復工場の話とリンク。あっちは洗濯とか病院とかを例にしていた。その時も書いたが、EBOは手に技術を実に付けた熟練労働者が年金生活に入るまでをしのぐための方策、福祉や介護のような単価は安いけど仕事は無くならないタイプの、大企業による効率重視や儲け主義よりもオーダーメイドの現場に合う方策で、技術革新が目覚ましく新技術の開発に設備投資が必要だったり他社の新技術利用に巨額の特許料が掛かったりする分野には向いていないと思う。それから「頭脳労働が偉いなんて誰が決めたんだ。それは資本家のルールじゃないか。ここでは経営方針を練る社長もハンダ付けをする平社員も会社への貢献度は等価のはずだから給料も同じにしろ。インセンティブは投資して金額分だけ配当を受ければ充分だ」みたいなことを現場組を言い出したら面白いと思うが、そういう下世話なところにも踏み込んで欲しかった。

『Nスペ』「放送記念日特集」(新動画時代〜メディアが変わる)
2008/3/21初回放送、90分、スタジオ出演:関口博之(解説委員)/村井純慶應義塾大学教授)/秋元康(作詞家)/天野祐吉(コラムニスト)、VTR出演:長谷部恭男東京大学大学院教授)、エンドクレジット無し
話題が著作権侵害のところで長谷部氏が出てきたのだが、彼の肩書は「放送の法制度などを研究」だったのか! 憲法学者だと思っていたが、著書リストをみたら確かに放送の専門家でもあった。

『Nスペ』「名ばかり管理職
2008/3/31初回放送、50分、キャスター:松岡烈(社会部デスク)、取材:岩田敏志/戸田有紀/中田友聡、撮影:青島久資/宮下裕史、ディレクター:小原正泰/坂井俊介/曽根峰人、制作統括:安西清麿/山本浩司、制作・著作:NHK
糸井重里氏との対談でさんま氏が医学的に寝なくても良い体質だと証明された話をしていたが、収容所で同じ強制労働させられても死ぬ人もいれば死なない人もいるし、1日の食事がパン1切れで死ぬ人もいれば死なない人もいる。「酒は無理矢理飲んでいれば飲めるようになる」論と一緒で、そもそも個人差があるものを気合で何とか出来るように考える風潮がある限り、どうにもならない。と、社会から落伍して無職の自分が言ってみる。
「残業しろ」とは命令していないが、仕事量からして残業せざるを得ない場合は「広義の強制」と呼べるのか。言われなくても率先して残業して働く人の存在は、それだけで無理してまで働きたくない人にとって無言のプレッシャーとなるが、それは「広義の強制」と呼べるのか。
経営側/社長側の言い分も聞いているのが良かった。まあ、改善したから取材に応じてくれるのだろうが。

BS1『BS特集』〈未来への提言〉「ビデオジャーナリスト ジョン・アルパート〜戦争の現実を見つめる」
2008/3/15初回放送、50分、出演:青木富貴子、撮影:高木勝也、コーディネーター:山田功次郎、リサーチャー:中里雅子/藤原敬史、ディレクター:窪田啓一郎、制作統括:堅達京子、制作・著作:NHK
アルパート氏は確か「アーカンソー州兵」シリーズでお馴染みルノー兄弟の師匠(参考http://www.doi-toshikuni.net/j/column/20070111.html)。吹き替えをくだけた口調にしたディレクターのセンスは素晴らしい。面識のない人のところへ押し掛けてフランクに話し掛けて相手の心を掴む才能を持った人が、インタビューにかしこまった口調で答えるはずはないのだから。

BS1『BSドキュメンタリー』「心の叫びを歌に〜南アフリカ・若者たちの挑戦」
2008/3/16初回放送、50分、撮影:河邉則宏、コーディネーター:朝野絵美、ディレクター:鶴見昌彦、プロデューサー:加藤真紀子、制作統括:三浦尚/田中文弥、共同制作:NHKエンタープライズ、制作・著作:NHK/スタジオプラスエム
日本語のナレーションは一切なく、全て字幕で説明。輸入した海外産ドキュメンタリーかと思いきや日本製。主人公が妹が亡くなった話をする場面は淡々としている分、かえって胸に迫る。少し変わったセンスをしたディレクターのようで、その名を覚えておきたい。
3月の番組表に載っていた〈証言でつづる現代史〉「アパルトヘイトはこうして崩壊した」は立ち消えになったのだろうか。

BS1『放送記念日特集』「映像メディアはどうなるのか〜ネットの世界は今」
2008/3/20初回放送、50分×2、〔第1部〕撮影:西岡章/小平智紀、コーディネーター:木村洋子/武井菜花子、取材:川畑耕平/今野利彦、プロデューサー:戸田有司、ディレクター:下出大吾/宮下瑠偉、制作統括:下田大樹/若宮敏彦、共同制作:NHK情報ネットワーク、制作・著作:NHK/オルタスジャパン、〔第2部〕出演:中谷日出(NHK解説委員)/中村伊知哉/佐々木俊尚/杉山知之、撮影:権田健一、取材:菊池喜孝、プロデューサー:吉岡攻、ディレクター:鈴木敍昭、制作統括:下田大樹/若宮敏彦、共同制作:NHK情報ネットワーク、制作・著作:NHK/オルタスジャパン
第1部はもっと細切れに事象を紹介するのかと思ったら、green.tvに25分、diggに8分、facebookに15分。green.tv部分が退屈だった人が多数と思われる。green.tvと制作者がつるんでいるのかと思うくらい。
ジェーン・バーキンの若い頃がなまいきシャルロットそっくりだった。逆か。