年1回くらいはハロプロの事をまとめて書いておこう。娘コンサート(11/18)の感想とかも含めて。
自分は元々ディクシー・チックスもフェイ・ウォンも松浦亜弥もフラットに扱って聴くガールポップ好きなので、過去のハロプロ曲だと楽曲派が絶賛する尖った曲よりも「好きな先輩」「恋ing」「純lover」「春ビューティフルエブリデイ」みたいな凡庸な曲が好きだし、ぶっちゃけAKBのポップソングも特に嫌いではない。
なんだけど、これだけガールアイドルがボコボコ生まれ、それも対立を煽るような感じで売り出されると、どうしても尖ったものを評価してしまいがちになる。2大政党がいずれも中道で差がないとオキュパイやティーパーティのような運動が生まれるように。実際、AKBは普通にちゃんと歌える人を冷遇して口パクで人間的魅力を表現できる人材が重用されるし、ハロプロはパフォーマンスパフォーマンス連呼しちゃうし。
そんな世の傾向に流され、自分もハロプロ楽曲大賞となると純粋に好きな曲よりもハロプロ的な個性があるもの、他と差別化が図れているものを重視したくなる。主流のアイドルに対するオルタナとしてのハロプロを意識して選択しているというか。
そんな意識のなか上半期(1.2.3以前)の時点では、ピョコトラ、ブスにならない哲学、PMPWの3択だった。完全に上手くいっているとは言い難い曲もあるけど、新しい何かを作ろうとチャレンジして掴みかけている感じがあって良かった。
まあ、女子流ちゃんさんが『Limited addiction』をやったら「アイドルの枠を超えたなんちゃら」「アイドルの歴史を更新なんちゃら」とか言ってもらえるけど、モーニング娘が『笑顔YESヌード』をやっても「ハロプロなら何でもありで当然でしょ」とスルーされる。その大変さとプレッシャーは理解してあげないとなあ、と思う。
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第5位:モーニング娘。『What's Up? 愛はどうなのよ〜』
『The 摩天楼ショー』と迷ったけどこちらで。摩天楼がファンキーでかっこいいのは頭では理解できるけど、自分の心にファンク成分はあまりないので。What's Up?は、ラップ部分から「さあいっぱい〜♪」と急にメロディアスになるところとか『ウィアアラ』風で好き。さゆの声も飛び道具的な使い方をするよりもこの曲のアクセント的な使い方の方が好きだし、合っていると思う。「へなちょこ男子」の対が「へなちょこ私」なのも良い。2回目の「今日あった出来事上手に〜♪」のところ、声が紺野さんみたいだけど誰か分からない。
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第4位:Buono!『初恋サイダー』
ポップでキャッチーな曲、印象的なMVも発売前から公開し、発売直後のライブのオープニング1曲目にもってきてその映像も公開し、アウェーのライブでもフラッグとして披露出来る自信の1曲、アップフロントで考えつく限り最高のプロモーションで送り出したにもかかわらず、全然世間に届いた手ごたえがないとスタッフもしんどいだろうな。すっごい自信作だったダブルユー『ロボキッス』が届かなくて心が折れた感じだった寺田師匠が思い出される。「そういうお前は買ったんか?」と問われると、すいません買ってません。なんだけど、今や音源なんて販促で配りまくるもんじゃん。それで知ってもらってライブで回収するもんじゃん。なんでライブで福岡に来ないんだよ。2011年ライブファイナル福岡、満員だったじゃん。大盛り上がりだったじゃん。あれで何で翌年来ないんだよ。それじゃお布施払えないじゃん。と、責任転嫁してオシマイ。
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第3位:モーニング娘。『ピョコピョコウルトラ』
ちょっと変な感じのリズムトラックとか何か新しい事をしようとしてちょっと失敗している感じがとても好きなのもあるけど、それ以上にりほりほの「乗ってる気分表すとこうなるの♪」が好き過ぎる。自分で歌詞を口ずさみながら泣きそうになったのは『I WISH』以来か。「イケ女」を「イケてる鳥=イケ鳥(イケチョー)」だと聴き間違っていたのは内緒。だってピョコピョコじゃん。
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第2位:スマイレージ『プリーズミニスカポストウーマン』
4人スマイレージは冷ややかに見ていた方だし、ゆうかりんにも思い入れはないので、純粋に曲の評価。最近では珍しくなったハロプロ音楽好きのブログでビートルズ / Being For The Benefit Of Mr. Kite!に似ているという事が書いてあって、実際に聴いたら納得だったんだけど、そういう引っ張ってくる元ネタのらしさもてらにゃらしいなあといったところで曲も好きだけど、一番好きなのは歌詞と歌い方のミスマッチ感。Speedの『ボディ&ソウル』からベリエの初期までがきんちょに背伸びした歌詞を歌わせる路線はよくあるし、子供に子供らしい日常を歌わせるのもある。でも中学生に中学生らしい淡い恋の歌詞を「せがのびてるううう♪」「わたしをみてよおおお♪」て歌い上げさせるのは新しいんじゃないか。さすがてらにゃ、(良い意味で)頭おかしいんじゃないの。面白い鉱脈見つけたんじゃないの。早くNHKの『ザ・ソングライターズ』にてらにゃを呼んで、佐野元春に「恋をしてる自覚症状…」とか読んで欲しい。
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第1位の前にちょっと寄り道。ポップソングは歌詞だけ読んで批評するのはどうなの…アレンジとか歌い方とか含めた有機的な結び付きが大事なんじゃないか…という論争みたいなのがあって、それが結構面白かったので紹介しておく。
「ポップスの歌詞の鑑賞レクチャー」(http://d.hatena.ne.jp/yonosuke1965/20120831)
PMPWの歌詞と編曲と歌い方と歌い手のアンバランスで奇妙な共存をちゃんと言葉に出来る書き手がいるといいなあ。
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第1位:モーニング娘。「笑って! YOU」
はい、何の先進性も差別化も思想もない凡庸なガールポップです。だって好きなんだもん。ユース厨だもん。ぶつ切りパート割り大好きっ子だもん。10年前のテキストサイト風にいえば圧倒的な「多幸感」があるもん。というか、コンサートがフルコーラスでなかったのがとても残念だった。「きーにーなるんだ〜」シリーズと「ムーネーキューン〜」シリーズは全パターン聴きたかった。「宿題忘れ、する言い訳も胸キュン」とかあばたもえくぼな中学生感が完璧に出てて、流石はてらにゃ天才過ぎと言わざるを得ない。
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推しメン:鞘師里保
去年は愛理だったけど、今年は動いているところ見なかったから、コンサートのインパクトでりほりほに決定。
コンサ見ての寸評。りほりほ…香川みたい。理詰めで目の前の課題をクリアしていく感じ。工藤…グランパス時代の本田かな。理想に追い付いてない自分に苛立つ事もある。あゆみん…乾ぽい。才能に疑いはないけど、消えている時間が多過ぎて意外と印象に残らない。フクちゃん…あらゆるところに曲線が多いなあ。飯窪さん…Girls Awardでの「One・Two・Three」初披露映像を見た時はあまりに何も出来てなくて心配したけど、踊りに関してはだいぶ様になっていたような気がした。魅せるところまでいかなくても覚える努力が得意ならそれを活かすのも大切。ナマタ…無謀に振りがでかくてスケール感はあって見てるだけでも面白かった。未完の大器、なのかな。佐藤…こちらは逆にポジショニングと戦術眼の優れた未完の大器で、フィジカルが追い付いてからが楽しみなタイプ。
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おまけ1:
「カリーナノッテ」が素晴らしいガールポップである事も、ちゃんさんが素晴らしい才能の持ち主である事も認めた上で、この曲が票を集めると事務所に誤ったメッセージを送るんじゃないかなあという不安も少しある。別にそんな政治的な気遣いなんて無用で、素直に好きな曲に投じるのが正しい楽しみ方だろうけど、ほら、楽曲大賞って保守本流が不作で事務所に不満がある時ほど、周辺勢力の票が伸びる傾向あるし。モベキマス全体として割と勢いあるし、曲も悪くないし、事務所の失策もない今年、この曲が得票集めると事務所への批判票ぽくて、アップフロントの人達もちょっと寂しい気分になるかもしれないなあとちょっとだけ思いました。
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おまけ2:
明治政府が幕藩体制を否定したように、戦後民主主義が戦前を軍国主義体制とくくって否定したように、中国の歴代皇帝が自分に都合の良い史書を編纂するように、新体制は旧体制を否定する事で正当性を確保するものである。だからこそ、お上(事務所)やその追従者(メディアや新規ヲタ)が歴史の断絶を声高に叫んでいるとき、冷静に歴史の継続性を指摘しておくのも史家の務めというもの。要するに何が言いたいかといえば、『女が目立ってなぜイケナイ』をいま聴くと、意外にプレ『恋愛ハンター』感があるなあと。この1年でEDM(Electronic Dance Music)という用語を知ったわけだが、この曲にはそれがあるような気がする。プラチナ期=タカハシステム時代は辛気臭いイメージがついているけど、本当に辛気臭いのは『泣いちゃうかも』『しょうがない夢追い人』『なんちゃって恋愛』の3部作くらいで(実際、自分もここで一度脱落した)、プラチナ後期はかなり新しい曲調を模索している感じがあると思う。
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(12/31追記)
「ちゃんさんに投票したら事務所に誤ったメッセージを送る事になるキリッ」て書いたら、ワンツースリーに投票しなくて初恋サイダーに投票した自分が事務所に誤ったメッセージを送る羽目になったでござる。因果応報。批判的な事はめったに書くものではない。
なんだけど、初恋サイダーに投票した人のコメントを読むと「ゆび祭り」の衝撃が大きかったみたいで、私の「全然世間に届いた手ごたえがない」という認識が間違ってて、この曲が意外と沢山のハロプロ新規を連れてきたのなら、結果的にこの順位は事務所への誤ったメッセージではなくなる。よし、そういう事にしておこう。