パロップのブログ

TVドキュメンタリーの記録は終了しました

博多の森で女子テニスの国際大会が開催されているよ!

福岡国際女子テニス2009は、岐阜/福岡/久留米と日本で3週連続で開催される賞金総額5万ドルの大会の2週目。日本ランキング4〜30位の選手と世界ランキング150〜400位の選手をまとめて見ることが出来て、しかも初日の今日から決勝の日曜日まで6日間通しで入場料はたったの1000円。これならチケットを買っちゃうと朝から晩まで見て元を取らないと気が済まないという貧乏性の貴方(というか俺)でも、つまみ食いして見る程度で充分お腹いっぱいになるよ。試合の最中も福岡空港から飛行機が轟音を立てて飛んでいくからちょっとしたフラッシングメドウ気分も味わえるよ。会場から一番近いコンビニへ寄ったら、フツーに参加選手が昼食を買って「ドモアリガト」とか言ってるよ。岐阜にも久留米にも大会公式サイトがあるのに福岡大会にはないことからも共催の福岡市や西日本新聞のやる気なさぶりが伝わってくるけど、日本テニス協会の公式サイト(http://www.jta-tennis.or.jp/tournaments/game/womens.html)から翌日の対戦カードやタイムスケジュールが分かるので、前日に誰の試合を見ようか決めておけばいいよ。便利な時代になったよ。俺は3日に予選(無料)に行って、今日行って、明日行って、土日にも行く予定だが、明日は12時からレベスタアンクラスの試合を見るつもりだし、日曜日は11時からテニスの決勝、13時からアビスパサガンという強行日程をどうしようかと思案中。それにしても一番面白そうな準々決勝が平日で見られないのはちょっと残念だ。

ちなみに今日見てきた選手はこんな感じ(ほとんど俺の妄想)。

私はエレーナ。今大会の第1シード。ウクライナキエフ生まれの25歳。父親はディナモソ連代表で活躍したサッカー選手。5歳の時イプスウィッチへ移籍した父とともにイギリスへ渡り、その後はずっとスコットランドで暮らしている。現在の世界ランキングは130位前後。当面の目標はグランドスラムの本戦にストレートイン出来る100位前後までランキングを上げること。そのためのポイントを稼ぐために過酷な遠征の毎日が続く。チャンウォンーギフーフクオカと来て来週はクルメ。しっかりポイントを貯めてレッドクレーで1週間調整してローランギャロスに臨みたかったのに、先週のギフでは第1シードなのに初戦で負けちゃってピンチ。最近は遠征費用を負担してくれているスポンサーが「やはりグランドスラムで勝ってくれないとね…」なんてあからさまに不満を口にしてくるし、ウェアのメーカーもサポートを若くて可愛い子に乗り換えたい意向らしいし、腹が立つことばかり。地元推薦枠でワイルドカードを貰って呑気に試合やってる対戦相手のジャップどもと違って、私にとっては1ポイント1ポイントに生活が懸かっているわけ。なのに何、この会場? 飛行機の音はうるさいし、会場内で子供がキャッキャッと遊んでいるし、観客は「御入場はエンドチェンジのときに」って立て看板があるのにポイントとポイントの間でごそごそ入ってくる田舎者ばかりだし。まったくもう!

余談だが、エレーナの父親は80年代のディナモ・キエフで活躍したとあるので、まさしくロバノフスキの弟子。だけど86年のワールドカップには選ばれていない。82年のWCと88年のユーロに選ばれているだけでもすごいけど。

3月の高校選抜で1人だけモノが違うと思った江口選手(新高2、世界938位、日本47位)が予選に出て2回戦で敗退。青森山田みたいにスポーツ選手を集めている岡山の私立校に通いつつも高校選抜には出ていなかった大前選手(新高2、世界885位、日本42位)は予選3試合を勝ち抜いて見事本戦出場。同じように高校生の大会はスキップしている奈良選手(新高3、世界394位、日本14位)は本戦にストレートイン。世界を目指すのなら、いつまでも高校生の大会に出て番長でいるよりも少しでも早く国際大会に慣れさせた方が良いのだろうけど、選手だって早熟から晩成までタイプは様々だろうし、いろんなルートが用意されていることは大切。
高校野球の場合、中学生までクラブチームで硬式野球をやっていた人間も含めて全部学校の監督下に集め、春夏の全国大会を至上の権威にするシステム。高校サッカーはクラブと高校に分かれ、クラブを選んだ場合、高校は勉強のために通うだけで高校選手権は諦めなければならない。高校テニスはその折衷らしく、クラブに所属してクラブで練習もするし、個人の大会にはクラブ所属で出場もするけど、高校生の大会には通っている高校の代表として団体戦にも出場出来る。1つのクラブと1つの高校が提携して全寮制、サッカーでいうとサンフユースみたいな所もあり、高校選手権にはサンフユースの選手が吉田高校として出ることが許されているのがテニスの世界みたい。逆に奈良選手や大前選手は学校は通っているけど部活動には参加しないという、サッカーのユース的存在なのだろう。テニスは個人スポーツだし、個人としての未来が最優先なのは間違いない。
3月に初めて高校生の全国大会を観て正直第1シングルスの選手以外だとすごくレベルが落ちるのに驚いたのだけど、ちゃんとプレー出来ていると思った何人かの選手を名前で検索したら、ほぼ全員が中学時代からテニスクラブに所属して全国大会に出場し、彼女達同士で何度も対戦しているまさにお互い手の内を知った顔見知りだった。高校生になっても、日頃は放課後クラブに行ってレベルの高い社会人に混ざって練習し、大会前になったら部活の仲間と急造チームを結成…という感じだと、両者の間で微妙な温度差が出そうな気もするのだが、その辺は積み重ねた歴史があるから大丈夫なのだろう。
(※高校の同級生で、中学までテニスクラブに通ってて中国地方では知られた存在だった奴がいた。いわゆる地方公立普通科進学校らしいのんびりした部活動だけだと、どんどん腕が鈍っていったらしい。たまに古巣のクラブへ練習に行き、全国大会を狙うような学校へ進学したかつてのライバルと練習したらボコボコにされたという話をしていたが、それ以前に「最近走ってないから、試合をしたらすぐに息が切れるわあ」という自虐をネタにする堕落ぶりだった。本人としては高校生になったら勉強に力を入れてテニスは趣味程度にしておこうと考えたのだろうけど、端からみると折角の才能が勿体なく思えたものだった。)
さて前置きが長くなったけど、ここからが本題。3月に大会を観ながら思ったのは、もちろん全てではないが傾向として、九州の学校には独特の家父長制がある。ゲーム間のエンドチェンジ中、監督の指示を聞く選手が直立不動で、監督がベンチにふんぞりかえって檄をとばしている。首都圏や東海の私立高校なんかはエンドチェンジが来たらすぐに選手を座らせ、監督の方が同じ目の高さの中腰になってあれこれアドバイスしている。都会っ子は髪の毛もつやつや。九州っ子は日焼けして真っ黒。都会っ子はフォームもみんな同じで、中学の頃からテニススクールで訓練されている感じ。上手いんだけど勝負強さがない、みたいな。九州っ子はいかにも怖い監督に生活態度を厳しく躾けられ、練習ではとにかく量をこなして都会の学校に対抗しようとするのだけれど、それでいてフォームは意外と個性的で矯正されていない。まんまサッカーにおけるユース勢と国見や鹿実の違いみたいで面白かった。スパルタ教育で消える個性や才能なんて元々その程度のものだったのだ、という思想から三浦アツや大久保、松井や遠藤という才能が残ったのだろう。レベスタアビスパサポが出している弾幕「九州独立」の意味が実感として分かる気がする。なんというか本当に文化が違う。