パロップのブログ

TVドキュメンタリーの記録は終了しました

BS-hi『ハイビジョンスペシャル』「ピョートル大帝 実験の都〜サンクトペテルブルク誕生物語」

5/29放送分、110分
(BS2『地球に好奇心』「ピョートル大帝 謎の宮殿〜サンクトペテルブルク誕生300年」5/10放送分、75分)
構成:後藤和子、プロデューサー:平川隆一、制作統括:小林志行/久保安夫
両者はほぼ同じ内容。先にBS-hi版を見て、BS2版を見ようと思ったら、タイトルが被っている事に気が付いた次第。BS-hi版は3夜連続110分枠の一環として放送されたので、そういう流れに沿ったドキュメンタリーかと勘違いしていたが、実際には荒俣宏氏の紀行番組。先にBS2版を見ていれば、判っていた事だが。
内容は博物学ヲタの荒俣氏が奇妙なものを見つける度に大はしゃぎで蘊蓄を垂れるだけ、つまりは民放の日曜日昼下がりにやっている旅番組を無駄に豪華にした感じだが、荒俣氏が心から嬉しそうに事物を語ってくれるので、全然嫌味じゃない。
ひっかかるのは、そこで語られるヨーロッパ(キリスト及び前キリスト)文化に関する蘊蓄が、ヨーロッパ知識人内サークルでは常識的な線をなぞっているのか、荒俣氏がこれまでに吸収した博物学の知識から系統立てし直した「荒俣史観」なのか素人には判別出来ない事。それから、蘊蓄の成り立ちそのものが「番組スタッフの書いた原稿を著名人たる荒俣氏に読んでもらっただけ」なのか「素で荒俣氏に指定箇所を巡ってもらい、そこでの発言を垂れ流しただけ」なのか素人には判別出来ない事。「個人の解釈」と「一般常識」の領域を分けるのも難しい事だが、例えばヨーロッパ中世思想史の大家から「その解説はおかしい」という怒りの指摘があった場合、責任が番組制作者と荒俣氏のどちらにかかってくるものか。もちろん最終的なゴーサインを出したプロデューサーの責任だろうが、(仮に台本棒読みだとしても)表に立っている荒俣氏の評判にもかかわるのではといらぬ心配をしてみる。普通の紀行番組だと、リポーター・タレントの「言わされてる」感が伝わってくるので、内容に間違いがあっても、そのタレントを責める人はいないだろうが。
(検索した処)制作したのは「パオネットワーク」という映像制作工房(社長が平川隆一氏)。制作統括というのが、多分NHKの人。
http://www.paonetwork.co.jp/sakuhin-data/sakuhin2003/03-05/sankuto.htm