パロップのブログ

TVドキュメンタリーの記録は終了しました

『BSドキュメンタリー』「シリーズ・シベリア鉄道2008」

第1回「繁栄に沸くヨーロッパ・ロシア」
2008/1/26初回放送、50分、撮影:川崎哲也、コーディネーター:エテリ・サコンチコワ、取材:坂本敬、ディレクター:中川あゆみ、プロデューサー:平野まゆ、制作統括:佐橘晴男/鳥本秀昭、共同制作:NHKエンタープライズ、制作・著作:NHK/テムジン
モスクワ(ヤロスラブリ駅)、ニジニイ・ノブゴロド(ゴーリキー・モスコフスキー駅)で自動車ボルガの販売所、セルギエフ・ポサド(旧ザゴルスク)の聖セルギイ大修道院やセルギー・ラドネスキー記念孤児院、スベルドロフスク、チュメニで石油産業
放送前の仮タイトルは「急激な変化ヨーロッパロシア」。放送予告サイトの文面にある「更正目的で全寮制の厳しいバレエ学校で学ぶ少女」はなかった。

第2回「シベリアの光と影」
2008/1/27初回放送、50分、撮影:川崎哲也、コーディネーター:エテリ・サコンチコワ、取材:坂本敬、ディレクター:中川あゆみ、プロデューサー:平野まゆ、制作統括:下田大樹/鳥本秀昭、共同制作:NHKエンタープライズ、制作・著作:NHK/テムジン
ノボシビルスクのバレエ学校、タイシェトを通過、イルクーツクで日本人抑留の歴史授業&温暖化でバイカル湖の魚が減少、ウラン・ウデでブリヤート人家族を再訪

第3回「変わる極東 行き交う民族」
2008/1/27初回放送、50分、撮影:金子英樹、コーディネーター:タギール・フジヤートフ、取材:坂本敬、ディレクター:祭主恭嗣、プロデューサー:平野まゆ、制作統括:下田大樹/鳥本秀昭、共同制作:NHKエンタープライズ、制作・著作:NHK/テムジン
チタでロシア人と中国人の物流業者、ザバイカル鉄道でザバイカリスクへ寄り道(満州里までは行かず)、スコヴォロジノで石油パイプライン建設計画、綺麗になったハバロフスク、ウデゲ人とナナイ人などの少数民族が住むクラスヌィ・ヤール村へ寄り道してウデゲ人の狩りを見学、ウスリースクで中国人市場、ウラジオストクへ到着
放送予告サイトの文面にある「都市の建築現場を支える出稼ぎ北朝鮮人」はなかった。

1982年に放送された『NHK特集』「シベリア鉄道」をリバイバル。見る前は、退屈な紀行番組だったらどうしようかと懸念していたが、訪れた土地の文化や歴史をうまく切り取ってて楽しめた。ただ番組中、前回の映像を挟みながら「26年の歳月を経て〜」等のナレーションがくり返されるのだが、どう考えても旅したのは2007年の秋頃じゃん、2007年内に放送予定だったじゃん、とツッコミを入れたくなった。ただ、1982年の放送自体が1981年の取材という可能性もあるので、それだとナレーションが正しい。当時は『NHK特集』枠だったのが『BSドキュメンタリー』枠に、取材も外部の制作会社任せというのが、TV界における今のロシア不人気を象徴しているのかもしれない。
番組の基調は「混乱の90年代を経て、生活の中で豊かさを実感できる今は素晴らしい」という感じで、プーチン政権下の人権や報道の自由、貧富の差等に全く言及していないことに批判があるかもしれないが、個人的にはシベリア鉄道とその沿線都市が主役の番組だから、このくらいの温さで充分だと思う。
NHK式の表記を記録しておくのも兼ねて行程をメモしてみたが、ウラジオストクのように日本語の慣例がある場合は仕方ないとして、ヤロスラブリだったりノブゴロドだったりノヴィコワ教諭だったりスコヴォロジノだったり、"v"の表記がバラバラなのが気になった。個人的にはおっさんになったのか"ヴ"は使わないで全部"ブ"でいいじゃんと思うようになった。
「シベリアの主要都市にエカテリンブルクってあったはずだけど出てこないのかなあ」と思っていたら、スベルドロフスクのことだったのかあああ。おのれの無知を恥じる。

1・2回と3回ではテイストが違うなあと思ったら、3回だけディレクターが代わっていた。祭主という人のサイトをみると異色の経歴で、NHKらしくない旅の脱線を楽しむような作風にも納得。ディレクター氏による日本語質問を音声が拾いまくっているのもNHKドキュらしくなかった。祭主氏のサイトに、

昨年9月半ばから1ヶ月に及ぶシベリアロケを敢行! ロシアでは出国時、いろいろスッタモンダありましたが、 何とかカタチにしました。3部作ですが、私が演出したのは、このPART3だけです。
http://www7a.biglobe.ne.jp/~festa-king/index.html

とあり、撮影時期も分かった。取材ロケの途中でスタッフが入れ替わったのではなく、カメラ/音声/ディレクターそれぞれ複数人で旅して、演出だけ分業ということだろうか。
番組中、前半はエニセイ号、後半は特急ロシア号で旅しているということだったが、途中で鉄道を降りて街の取材もしているし、どんな仕組みなんだろうかと思って見ていたが、7泊8日の行程を1カ月かけて制作しているということは、実際には乗ったり降りたり戻ったりを繰り返しているのに、ずっと同じ列車に乗っているように編集するのだろうから大変だ。