ヒルビリー・エレジー アメリカの繁栄から取り残された白人たち
- 作者: J.D.ヴァンス,関根光宏,山田文
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2017/03/15
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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アパラチアのティーンエイジャーには、自分にとって嫌なことを回避し、都合のいいことだけを採用するという「明らかに予測可能な抵抗性(レジリエンス)」が見られる点について言及している。p.44
愛情に満ちた安定した家庭が、子どもにいい影響をもたらすことは、社会科学のさまざまな研究によっても証明されている。(中略)「子どもの回復力(レジリエンス)」といわれる現象について書かれた本が、何冊も出ている。p.238
おそらく原書では同じresilienceで、訳者が別の訳語を当てているのだろう。下の使い方が普通よな。上の使い方は皮肉よな。本来、予測不可能な困難に直面してから回復する力の事なのに「予測可能なレジリエンス」と名付けるのは、「それはレジリエンスやないやんけ!」というツッコミ待ち。
「ヒルビリー育ちが米国社会で経済的に成功する方法」を描いた米国人が好きな成功物語なわけだが、祖父母みても母みても地頭(←問題ある表現だが)の良い青年に勉強するための環境を整えてあげたら成功したという話で、環境を整えてあげたらヒルビリーの誰でも成功するわけではない。遺伝か環境か問題は難しい。そもそもヒルビリーの人々が経済的に成功したがっているのかよく分からない。
「これがアメリカの繁栄から取り残された白人たちの生活だ!」みたいなのを期待して読むと、ちょっと裏切られるかな。