パロップのブログ

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自分の事

岡山松竹『ギャング・オブ・ニューヨーク』。まあ前評判の低さに納得。といっても、個人的には失敗作とは思わない。低評価の原因は、ミクロの人物を描きつつも大きな歴史を語ろうとするそのスタイルが結果的に冗長に受け取られてしまった結果だろうが、それを言い出したら(私が見た事があるのでいえば)『カジノ』も『最後の誘惑』も『グッドフェローズ』も『レイジング・ブル』も、どれも冗長で見ているうちにだるくなる類の映画だった。今回の映画も映画館で映像美を楽しみながら観るから耐えられるが、レンタルして家で見るのはかなりきついだろうと思う。何にしろかなり退屈だった。それだけだと身も蓋もないので、その敗因を分析してみると、ニューヨーク市全体を語る面と、ダニエル・D・L役対レオナルド・D・C役という個人的な対決が噛み合っていないからだろうか。(雑誌のインタビュー等を読む限りでは)最初にニューヨーク大暴動に関する元ネタになった本があり、それにアメリカ生まれの白人とアイルランド移民との抗争という人間ドラマを足したのだろうが、一方で政治家・金持ち連中への徴兵に取られる貧乏人の大暴動が起こっているにもかかわらず、その貧乏人を闇の力で支配していたはずのダニエルがアイルランド人とのギャング抗争にうつつを抜かしている、というのが解せない。映画の大半を日頃の鬱憤の溜まり方を描くことに費やしつつ、オチに迫力とスピードの暴動をもってきたといえば『天国の門』や『Rosewood』(ジョン・シングルトン監督)なんかを思い出すが、そういった歴史絵巻とするには、つまり「都市のような大きな物語には人なんてちっぽけなハエのよう」というには、この映画は主人公2人にスポット当たり過ぎ。ダニエルが街のチンピラから上納金を絞って君臨しているのに、元々は手に職を持った肉屋のおっさんで今でも技術を磨いている、みたいなギャップ(人間内での大きさと時間の中での小ささのギャップ)が微妙に面白いはずなのに、結局ダニエルの目の力というか、異常に迫力があり、バランスに欠ける。その割に、お高く止まった市長なんざいつでも捻りつぶせそうなのに、いざ暴動になってみると、勝ち組には入れないダニエル。裏天下取ったダニエルが時代からずれていくというか、感覚的におかしくなったという感じは、アイルランド系保安官を鉈で殺すところで私にも分かるくらいはっきりし、「それならオチはアイルランド系が『選挙』という手段で街の暗黒面を乗っ取る場面だろう」と思ったら、何故か無関係の市民暴動がオチ。同一人物内の大小併せ持つさは確かにあるのに、物語の流れに活きていない。ダニエルの存在で示したかっただろう成り上がり感というか妙なキリキリ感ならば、『ニュージャックシティ』のキャッシュ@ウェズリー・スナイプスの方があった。歴史ヲタとしては「マルベリ通りが出てきたからマンハッタンの南部が大体の舞台か」とか「五番街に金持ち連中が住んでいるといのは、今のどの辺だろう(調べてみると、ロックフェラーセンターが面した通り)」「ブルックリンがニューヨーク市でなかった頃の話かあ」「きっとこの頃、セントラルパークより北はただの森だろう」くらいの想像する楽しみはあった。「街の歴史を描きたい」というスコセッシの目的というか、スコセッシが大暴動で街がチャラになる前、まだイタリア人やユダヤ人が渡ってきていない頃を描いてみたかった気持ちは何となく理解出来ないでもない。他に、ダニエルとレオナルド、キャメロン・Dが織りなす恋愛話、レオナルドがダニエルの命を救いつつも暗殺を試みたり(愛憎半ば?)、ダニエルが命をわざと奪わなかったり、その後キャメロンがレオナルドの方に肩入れしたり、といった場面はさっぱり理解出来なかった。これはレオナルドの演技が悪いとか監督の演出が悪いというよりも、私の人間力がないのが原因。大人の恋愛は分からない。ただレオナルドがキャメロンと並ぶ姿を見ると、彼は良くも悪くも名子役だったのだと思った。蛇足、スコセッシが「ニューヨークという街を描きたい」と言ったようなことの証なのか、ラストでは暴動後の引きの映像から再生されていくニューヨークが写されるわけだが(要するにバラック建てが高層ビル群になる過程)、最後の最後は(おそらく撮影の終了した)2000年で終わる。つまり、ツインタワーが映っている。(これも雑誌のインタビューで読んだ)スコセッシは「テロ後、編集をやり直しているわけではなく、まさにあのテロと映画で言いたかったことは共通しているのだよ」的なことを言っていたが、それ(テーマが都市の破壊と再生)ならば、ラストは2002年頃、タワーのないニューヨークを映してこその「再生」なんじゃないのか、と思った。
正月に実家から持たされた食べ物の中に大根があって、(別に大根が好きでもないが捨てるのは悪いし)仕方ないからおでんを作ってみた。それはいいとして、一緒に実家から持たされたカマボコも入れたわけだが、しばらくグツグツいわすと、カマボコが水分を吸って2倍くらいに膨れあがっていた。失敗。