パロップのブログ

TVドキュメンタリーの記録は終了しました

『NHKスペシャル』「文明の道・第2集・アレクサンドロスの遺産〜最果てのギリシャ都市」

5/18放送分、構成:橋本典明/村上淳、制作統括:菊池正浩/山本展也
番宣だけみると、最近幻の都市を大発見したような言い種だが、実際は40年以上も前の発見から明らかになった事実を丹念に紹介する地味な内容。出土品から当時の文明が単なるギリシア直伝でははなく、アジアとの折衷要素満載だった事を明らかにしていくシーン、地形や残された遺物を元に最新の科学力を使ってCGに甦らせたシーンなどは素晴らしかった。ただ、まとめに「これって文明の共存の例だね」と道徳的なオチをつけたのは、制作者の趣味だろうが、ちょっと頂けない。
バクトリアや大月氏など、若かった頃に聞いた歴史用語が出てきて、ドキドキした。バクトリアの滅亡年など昔から分かっていた事ではなく、発掘の成果が自分の使っていた教科書に反映されていたのだと思えば、感慨深い。
バクトリア〜大月氏に至る時代の話については、小谷仲男「ギリシア人植民都市アイ・ハヌムの滅亡〜中国史料からの考察」『富山大学人文学部紀要』第35号(2001年8月)が参考になる。以下のサイトで読める。
http://www.hmt.toyama-u.ac.jp/kenkyu/kiyo35.html
小谷氏の専門はガンダーラ美術のようだが、1960年代当時、京大院生としてインド・アフガニスタンパキスタンでガンダーラ調査をしており、横目でポール・ベルナールのアイ・ハヌム発掘を気にかけていたようだ。
ポール・ベルナール氏は、日本の美術館で講演をするくらいだから、多分日本の考古学界とパイプがあるのだろう。
http://www.miho.or.jp/japanese/member/shangrila/vol10/jshan10_2.htm
共存」の話は、どうやらプロデューサーの意図らしい(上が村上、下が菊池の発言)。
http://www.nhk.or.jp/bunmei/butai/back_n01.html
http://www.mainichi.co.jp/entertainments/tv/2003/01/17-01.html