パロップのブログ

TVドキュメンタリーの記録は終了しました

美濃越ワールドへようこそ

このエントリーでは、今月13日(日)から久留米市高野の新宝満川地区テニスコートで行われる久留米市ベストアメニティカップ国際女子テニス(http://www.itf-kurume.jp/wp/)の予選に出場する予定(キャンセルあるかも)の美濃越舞選手(http://mai-minokoshi.laff.jp/)を紹介する。

<プロフィール>
父親の指導のもと、7歳よりテニスを始め、2004年の全日本ジュニア選手権ではベスト4、全国選抜ジュニアテニス大会では準優勝に輝いている。秀明八千代高校に入学後の2009年には全国高校テニス選手権を2年連続で準優勝するなど、将来を渇望されている若手プレーヤーである。2011年に吉本クリエイティブ・エージェンシーとマネジメント契約してプロへ転向、テニスプレーヤーとしての実績とともに、そのルックスからテレビや雑誌等のメディアへの露出、トレーディングカードにもなるなど "かわいすぎるテニスプレーヤー"としても注目を集めている。
http://www.wowow.co.jp/sports/flowers/thickbox/21_minokoshi.html

実際に御本人を見ると、“かわいすぎる”はまあビジネス上の設定なんだと分かるけど、そういう話題先行よりもテニスプレーヤーとしてすごく魅力的なので、福岡(特に筑後)付近に住んでいる人は是非観戦に行って頂ければと。予選は13日・14日で、当然13日で負けたら14日は出ない。自分は14日しか行けないので、勝ってもらわないと困るが、勝負事はそうそう上手く運ばない事も理解している。

美濃越選手は、2009年3月に福岡で行われた選抜高校テニスで初めて見た。この時が新2年生。

グラフやデメのようなシャープなフォアでゴリゴリ押すのが一番の武器なんだろうけど、繋いで繋いで確実性重視が主流の高校テニスのなか、やたらとラインギリギリを狙ってハードヒットして自滅している。羽子板みたいな無難なセービスを入れる高校生が多いなか、綺麗なフォームと高いトスで打ち込んでくる。我が強そうで観ていて楽しい。プロになったらファンサイトでも作ろうか。
http://d.hatena.ne.jp/palop/20090326

これは同学年の今西美晴選手に負けた個人戦を観た感想。来年また見られますようにと願っていたら、ちゃんと戻ってきた。大会前にメディアで注目される選手(http://kyushu.yomiuri.co.jp/sports/feature/tennis/2010/news/20100310-OYS1T00160.htm)になっていた。
2010年3月、個人戦に先立つ団体戦は仕事で行けず、読売新聞ウェブの速報を見て手に汗を握る。2回戦、3回戦と本人は負けるが、チームメイトが頑張って勝ち抜く。準々決勝は本人もチームも勝ち、準決勝はライバルといえる富士見丘の江口実沙選手にストレートで敗れ、チームも敗退。個人戦は4回戦から登場することになり、自分も休暇を上手い事やり繰りし、初日の4回戦・準々決勝、二日目の準決勝・決勝の4試合を見ることが出来た。
初日の試合、鼻水すすってグズグズさせていたので花粉症なのかと思ったが、後日テニス雑誌の大会総集編を読むと風邪をひいていたらしい。それで団体戦では不調だったのか。4回戦・準々決勝は1セットマッチでともに8-6で勝ち抜き。1年前に見たプレースタイルは変わらず、フォアのハードヒットで常に主導権を握る。試合序盤はそれがネットにかかったりラインオーバーしたりで自滅、徐々に決まり出すとエースを連発して逆転勝ち、という展開だった。決めてポイントを取るのもミスしてポイントを失うのも本人次第なところが、まさに全盛期のグラフの試合に似ている。
翌日、準決勝の菅村恵里香選手(http://kyushu.yomiuri.co.jp/sports/feature/tennis/2010/news/20100304-OYS1T00185.htm)は準優勝校のエース。恵まれた体格と才能なんだけど、可も不可もない無難な部活テニスをする選手。3セットマッチの前半は、美濃越選手がミスを重ねて、菅村選手が堅実にポイントを重ねる。美濃越選手のボールがバンバン入り出すと、菅村選手は特にペースを変える事もなく淡々と無抵抗に逆転される。2-1(0-6,6-3,6-1)といういつものパターン。決勝の相手は今西美晴選手。今西選手は量産型杉山愛とでもいおうか、フットワークが軽く、粘り強くラリーを続け、チャンスボールになったら見逃さない。先行されると、追い上げる間もなく2-0(6-1,6-3)で敗退した。ミスが少なくて隙を見せないタイプには弱いスタイルらしい負け方。
1年前に見たときに「我が強そう」と書いたが、そっちの面も健在だった。会心のストレートがラインをとらえて「カモン!」って言った後に、ラインパーソンがアウトのコール。すると、「えっ、ちょっと待ってよ」と言いつつ、ネットまで寄ってきて「今のがアウト???」と。他にも「その前の(足元指して)これアウトじゃないですか?」「こーんなに(手で幅を作って)出てたんですけど…」とか。こう書くと、すごく態度が悪いとか我がままという印象に聞こえるけどそうではなく、あくまで自立したスポーツ選手が自立したレフェリーとして抗議している風に見える。高校スポーツはいかにも部活なところがあり、テニスも例外ではなくレフェリー=先生(=大人)、選手=生徒(=子供)の上下関係・従属関係という図式になりがちなんだけど、その中でよく自己主張が出来るなあと感心した。もちろん試合終了後はレフェリーや大会関係者と笑顔で握手して会話して、大人と対等に接する事に慣れているなあという感じで、最初は帰国子女なのかと思ったくらい。プロ向きの性格だろうなあと。
一昨年と昨年、博多の森で行われる福岡国際女子テニスを観戦に行ったけど、世界ランキング200〜400位辺りにいる日本人選手は、ほとんど皆同じようなフォームで同じようなプレースタイルで、理に適っているかもしれないけど一見さんには見分けがつかなくて試合も正直あまり面白くなかった(もちろん玄人が見れば、みんな違って特徴もあるのだろうけど)。同じ大会に出場していた韓国や中国の選手の方が同じ体格、同じランキングでもフォームは割とアバウトで、好きなやり方で一番実力が発揮出来ればいいじゃん、みたいな感じで見ていて面白かった。美濃越選手は、そこのところプレースタイルはロシア勢みたいなシャープにドッカンドッカンだし、性格も恐らく日本人の中だと自己主張が強い方だろうし、プロテニス選手として金を取れるタイプ。いま世界ランキング442位、日本ランキング24位、同期1992年組の中でも4〜5番手だから、まだ取るに足らない選手だけど、活躍して欲しいなあと思って応援している。