パロップのブログ

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CS「第33節・川崎フロンターレ戦」

2007/11/26再放送、実況:土井敏之、解説:相馬直樹

東急東横線の渋谷から武蔵小杉まで、京王線の新宿から飛田給まで、首都圏の電車に乗ってスタジアムへ向かいながら、自分が好きな(割に著書は読まないけれど)東浩紀氏やミヤダイ氏の語りを頭に浮かべる。東急東横線沿いには新興マンションの建設ラッシュがあり、駅には工学的に正しく設計されたショッピングモールが隣接し、小さな子供を持った若夫婦が引っ越して来て、地域に対する愛着がないところへ、フロンターレアイデンティティの役割を果たす。フロントの広報センスが巧いのは確かだが、それ以上に強くて、伸び盛りで、健康的で、という地域とクラブの向く方向が一致して好循環が生まれたのだろうと推測してみる。京王線は間違って各駅停車に乗ってしまったわけだが、各々の駅前に地方人からすれば栄えているように見える小商店街があり、そこから人が乗り込み、集団が飛田給で吐き出される。地域のプロスポーツだなあと思う。ゼロ年代の首都圏には、ネットカフェに住み、明日の食べ物にも事欠くような暮らしをしているけれど、それでも土曜の夜だけは500円玉を握りしめて自己同一化しているクラブのゴール裏へ向かうような若者を集めるクラブがあってもよさそうだが、焼酎の広告に難色を示す今の「健全な」Jリーグには無理かもしれない。まあ、首都圏のことはあまり分からないから、的を外してても御容赦を。
我が岡山市の駅前にビックカメラがオープンした。そのビルは5年程前に持ち主が手放して競売に掛けられたところをハンジェの親戚が経営しているらしい企業が買ったものの、「駅前の由緒ある一等地にパチンコ屋はまずいだろう」となったのか、外様企業へ貸すこととなった。90年代以降、でかい店は全て郊外に新設され、自動車がなければ生活出来ない超車社会の岡山でビックカメラ的出店がうまくいくとは思えないのだが、最近、駅前から岡山城に向かって伸びるメインストリート桃太郎大通り沿いにマンションがバンバン建てられている。市が不動産業者に開発の補助金を出しているとかで、市民派市議は「そんなもん買えるのは金持ちだけや。そんな人達だけ恩恵を受ける政策はダメ!」と抗議していたが、じゃあインフラ整備の進んだ市の中心部を築50年のボロビルに占拠させといて良いのかという話になる。「都心回帰」とやらでそれなりのお金を持っている若夫婦さんがマンションを買い、さて岡山を象徴するものとしてファジアーノは成立するのか。恐らくホームとして使用される桃スタはマンション群から駅を挟んで反対側にある。歩いて30分はかからないだろう。桃スタに駐車場は少ない。市街地にあるから、競技場周辺に試合日だけ使える空き地のようなものもない(目と鼻の先にある岡山大学とうまく連携がとれると良いのだろうが)。近所のコンビニまで行くのにも車を使うことに慣れ切った岡山人が桃スタまで徒歩やチャリで行くだろうか。ファジアーノが自動車社会系クラブになるのか市街地系クラブになるのか、さっぱり読めない。余談だが、岡山には桃太郎やマスカットという愛称の付いた公共施設が溢れている。正式名称と愛称が既にあるのでネーミングライツとか有り得ない、というか企業名を入れたら嫌われそうな雰囲気があるかもしれない。2ちゃんでネタにされている「大都会岡山」が笑えないというか、無駄に内へ向かったお国自慢というか、うまいこと噛み合えば空前のファジアーノブームが来る可能性もありそうだし、ほんと読めない。

開幕の頃は、開始15分まで猛然と攻め、駒野がクロスを上げて「ああ惜しい!」なんて言いながら、チャンスを外しているうちにリズムが相手にいってしまう試合が結構あったような気がする。いつの間にか守備が悪いだの点も取れないだの言って、開始から慎重になってしまう癖がついたけど、内容的にはそれほど悪くなかったあの頃を思い出して、最初15分くらいガァーッと攻めてみても良いんじゃないかとないかと、ここのところは思う。それで失点したって良いじゃないか。どうせ慎重に入っても失点するんだから。ガンバ戦はガァーッといって欲しい。
15分の1失点目、テレビで見るとジュニーニョが持った時点で一誠がカズに向かって「久木野がフリーだから見ろ」と指示しているようだった。まあ、中央のマークがグズグズだったし、久木野へ間合いを詰めるべきかクロスのコースを消すべきか、判断に迷うところではあった。そもそも5バックで埋めているはずなのに、何故向こうのWBに侵入を許してしまうのか。しかも「4バックが相手だとサイドで数的不利を作られるが、3バック同士だとそれほど相性は悪くない」みたいなことを言ったのは戸田だが、5バック3センターがベタ引きしていると、相手DFラインからミノワやイトーまでがボール回しに加わってくる始末。
失点後、前半終了まで、現地ではまあまあポゼッションをしているように見えたが、テレビで見るとそれほどでもなかった。一誠から縦にボールが供給されていたように感じたが、そうでもなかった。先制した相手がゲームをコントロールしている中でボールを回しても自慢にならない、といういつもの展開かと思ったら、そうですらなかった。
セルフジャッジはサンフレッチェの伝統なので今さら言っても仕方ないが、VTRをよく見るとカズが残っていると判断されても仕方ないというか、少なくともストには判断出来まい。あの後もストはプレーが切れる毎にレフェリーへ文句を言ってたので、心証を悪くしたのかもしれない。前半の東城レフェリーは駒野が転ばされようとお構い無しだったのに、3-0になってから2点目が胸を痛ませたのか、ほとんどの接触プレーを広島有利に吹くという分かりやすさだった。それもスト退場までだったけど。
ちょうど下田が守るゴールマウスと自分の席を結んだ直線上に憲剛がいたので、ミドルの軌道が美しかった。ああいうのはプレスがどうこうではなく、打った方を褒めましょう。
後半10分、カズが中盤まで上がっているのに、柏木がカズを使わずに飛ばして一誠に難しいパスを出したら奪われてカウンター食らったシーンなんか、後ろの人数が少ない時に絶対やっちゃいけない選択だろう。まあ、これに限らず「そこでそんな取られ方だけはしないでくれ」というプレーが多い。縦に蹴ってゴールラインを割ってくれた方がマシと思うようなのが多い。ストも難しい選択をしてくれる。狭い方へ突っ込んでいきつつ「ここぞっ」というタイミングで逆サイドに振ってくれると最高のプレーになるはずが、突っ込んだままが多い。
一誠のリズムの出し方、ボールの動かし方が好きだ。ストとの相互補完関係はあまりうまくいってなかったようだけど、それでもこの試合は悪くなかったと思う。なので、一誠の交代はかなり疑問だったのだが、結果的に残り15分、カズが3バックの中央と1センターハーフを兼ねるような位置取りで、1人少ない故のダイナミックさを感じた。これだったら4バック+1カズで攻撃の選手を1人増やせるんでないの?と思えるが、まあ3点差で負けてたから参考にはならない。実際、冷や汗もののカウンターも食らってたし。
ウェズレイのゴール前ハンドは、体は前に入っていたみたいだし、手で触るよりも押されて転けた方がPKをもらえたかもしれない。ウェズレイは決定力が落ちたとか運動量がなくて守備に貢献しないとか、その辺が問題ではなく、これまで日本人DFを脅かした初速の怖さが全然無かった。瞬間の速さで相手を置き去りに出来ないと、並の選手になってしまう。
終了間際に槙野が警告貰いそうな激しいタックルにいってたが、あそこはもう1点取られても良いから次の試合に出てもらわなくては、という場面であった気がした。

等々力ではメインスタンドの右端で見たが、ほとんどコーナー付近から斜めにピッチを見ることになり、正直あまり見易いとは言えなかった。これならサポーターの皆さんとゴール裏2階席辺りから一緒になって応援モードだった方が良かったかもしれない。
前言を撤回してガンバ戦は回避することにした。日頃見られないメンバーを見たい気持ちもあるが、今のガンバと今のサンフレッチェでは内容的な楽しみは持てない。そして入れ替え戦に行くことにした。アウェーで5点差付けられて負けても、セカンドレグは行くつもり。願わくば、ガンバ戦は3-6-1でナビスコ杯の上手くいった時みたく、若者達が前からプレッシャーを掛けて欲しい。それで上手いこと転がれば、入れ替え戦のファーストレグもガンバ戦と同じメンバーで戦う。戸田/カズ/ストをベンチに置くのも面白そう。前半は相手を自由にさせないよう若者が走り回り、後半から主力がゲームをコントロールし、試合結果でセカンドレグの戦い方を考えよう。
ガンバ戦はBSで放送しないようだから、12月もCSへ加入したままに決定。