パロップのブログ

TVドキュメンタリーの記録は終了しました

『ハイビジョン特集』「明星を夢みて〜若者たちのチャイナドリーム」

2007/5/7再放送(2004/8/30初回放送)、110分、構成:孫勇民、プロデューサー:黒柳文博、制作統括:山崎秋一郎/岡田俊郎、共同制作:NHKエンタープライズ21、制作・著作:NHKASKA
2004年春に開かれた第11回全国青年歌手コンテストへ参加するチベット族の女性と内モンゴルの青年にスポットを当てている。ジュンジュンこと李純が出るかと思ってチェックしたので、ハロプロヲタ視線で番組を見た。ジュンジュンのは超級女声というアメリカンアイドル方式のやつで、こっちは中国国営放送(CCTV)のちょっとお堅いイベント。上位入賞者が勝手にスカウトされるだけでコンテスト自体はオーディションではない。
省単位で開かれる地区予選を勝ち抜いた人が北京で行われる全国大会に出るもんだから、共産党の地方幹部やら人民政府委員やらテレビ局のディレクターやらが面子をかけて肩入れする姿が面白い。日本だと高校野球みたいなものか。地区予選の上位入賞者を集めてスペシャルチームを作った内モンゴル自治区のテレビ局はナイス発想。接待とかコネとかひどい利権になりそうだが、意外と真面目に審査されているようだった。
番組で取り上げられていたチベット女性は全国大会で入賞して北京で歌手になりたいようだったが、中央で認められなくても8000万人もいる四川省だけでローカル歌手をやっていけそうな気がしたし、そもそもポップス部門ではなく民謡部門でエントリーした時点でビジネス要素に欠けているようなイメージを持った。まあ、中国における歌手として食っていける経済規模とか民謡で食っていく業界システムとか分からないから何ともいえないけど。民族色の強いポップスを歌って低評価を受けてしまったハラマーという女性3人組も今一つ狙いどころが掴めなかった。今どき「共産党チベットを解放してくれて生活が楽になった」みたいな歌詞をポップスとして歌うなんて、今の中国だと失笑を買いそうなのだが、ああいうごますりは通用するものなのか。そもそもあれだけ多彩な民族音楽を同じ評価軸で採点すること自体無謀な気がした。
四川省デルゲは結構な奥地。歌手コンテストのネタ抜きに訪れても面白そうというか貴重な映像なのではなかろうか。