パロップのブログ

TVドキュメンタリーの記録は終了しました

『地球特派員2007』「フランスは産んでいる〜少子化克服の現場から」

2007/5/21初回放送、50分、特派員:鈴木光司(作家)、スタジオ進行:池本美香(日本総合研究所主任研究員)、撮影:江袋宏、取材:長谷川昌代、ディレクター:森都、制作統括:堅達京子/佐藤謙治、共同制作:NHKエンタープライズ、制作協力:えふぶんの壱/林憲司、制作・著作:NHK
実は少子化日本でも1世帯当りの子供数は昔とあまり変わらなくて、世帯持ちが減っている(独身男女が増えている)という話をどこかで読んだ。日本の夫婦が1〜2人の子供を持つところ、フランスの夫婦は経済援助がある分だけ2〜3人、或いは4人を持つというのがベビーブームの実際ではなかろうか。
給付金以外の番組で紹介されていた育児支援策だって、日本でも大企業だと導入しているところもあるだろうし、「隣の芝生は青く見える」的な取材ではなかろうか。その意味では「企業の負担が大きくて困っている」と話していた中小企業(自動車部品工場)社長さんの話くらいしか面白い箇所はなかった。
企業内の保育所に預けるライフスタイルになったら、逆に絶対解雇されるわけにはいかないし、労働者の権利を重視する方向へ進んだら、いま無職の人が労働市場に参入しにくいんじゃないのかなど光と影の影があるのかないのか。去年放送された『地球特派員』で取材したような、移民が多いパリ郊外の貧困層団地へ行って「子供は育て易いですか?」と尋ねるくらいの多面的な取材が欲しかったところ。
父親が技術者の派遣登録して働き、必ず午後6時半には子供を迎えに行ける働き方が日本にあるのかといったら疑問なわけで、池本氏が「お金のことと保育サービスと働き方のバランスがとれているか」と言っていたように、3つの比重を個々の生き方で選択出来る社会にするためにはどうしたらいいか、焦点がぼやけることをおそれず、労働と福祉と経済の問題を統合して問題提起する野心的な番組をNHKには作ってもらいたい。