パロップのブログ

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『Nスペ』〈21世紀の潮流・ラテンアメリカの挑戦〉「第2回・格差からの脱出〜ブラジル・チリ」

2006/8/4初回放送、50分、撮影:富永真太郎、リサーチャー:吉岡五月、コーディネーター:渡部雅博/大植満、ディレクター:津田恭司、制作統括:棚谷克巳/桜井均
ラテンアメリカシリーズの第2回。当初の放送予定は7月7日に第1回、7月21日に第2回で、恐らく第2回のラストでは「7月2日に行われたメキシコ大統領選でも左派系が勝ちました。万々歳!」で締めるつもりだったと推測されるが、第1の誤算は、7月7日の放送が北朝鮮ミサイル緊急特番に差し替えとなり、本シリーズの放送が約2週間ずつずれたこと。第2の誤算は、メキシコ大統領選で左派系候補が敗北したこと。NHK左派には残念な結果。
放送前の仮タイトルは「世界最悪の格差社会を克服せよ」だったが、元々「格差社会」を示す英単語はない。メディアが作った日本固有の流行語なのだから、当然といえば当然。今は“gap-widening society”というらしいが、これは最近日本人学者が考えた造語。なので、海外紹介番組に「格差社会」という言葉が出てくると、NHK-BS1で通訳放送しているフランス2のニュースに「敏感肌」という訳語が出てきたくらいの違和感がある。そもそも中南米社会を表すには「階級社会」や「不平等社会」など長い歴史を持つ的確な単語がある。せっかくラテンアメリカを取材したのだから、ラテンアメリカラテンアメリカのまま扱えば良いのに「流行っている『格差社会』という言葉を使って、イマドキっぽく飾ってみましょうか」という制作者の志の低さが残念。確か10年位前、日本の行革が叫ばれてた頃、日本中のメディアが「ニュージーランドの民営化は素晴らしいったら素晴らしい」を連呼していたと記憶しているが、今では悪しき新自由主義の象徴みたいになっている。参考にもならない他国の例を引っ張ってきて「それに比べて日本は…」方式は止めた方が賢明だと思う。