パロップのブログ

TVドキュメンタリーの記録は終了しました

BS1『BSドキュメンタリー』「ガザ〜ハマスと人々の6か月」

2006/8/5初回放送、50分、取材:渡辺常唱、制作統括:土岐健
事前の推測で勝手に、フリーのビデオジャーナリストがガザ地区の一般市民に半年の間密着して撮した、地に足の着いたレポートを準備していたのに、直近の時事ネタに巻き込まれちゃって気の毒だなと同情していたのだが、フタを開けてみれば、検索した限り、どうやら取材/制作統括ともNHK内部の人間(取材者はエルサレム支局の人)らしく、日頃から流れているニュース単発レポの拡大版だった。個人的には、政治の事はもっと背景まで下げて、病院の医者と患者、流通業者辺りを軸に、もう少し掘り下げた人間物語で押して欲しかったが、元々の作りが単発レポを基礎にしているようなので、多分無い物ねだりなのだろう。
制作統括者も土曜22時10分〜枠を日頃から管理・担当してきた名前ではないし、なんとなく変則的にこの枠へ割り込んできたのではないかと推測される。
分かりにくいのだが、アッバース議長は直接選挙で選ばれた大統領、ハニーヤ首相は議員内閣制の首長、つまりフランス第5共和制風にいえばコアビタシオン状態ということで合っているはず。「民族の危機だというのに、PLOハマスは内輪で喧嘩しちゃって…」みたいな報道もあるが、これは選挙制度上、起こるべくして起きた揉め事のような気がする。
いまWikiをみたら、アッバースPLOの議長にして、自治政府の大統領と書いてある。「自治政府のアッバース議長」という表記をする日本のメディアはバカなのか、何か理由があるのか。多分、自治政府が誕生しようと大統領職が作られようと、生前のアラファトをずっと「議長」と呼称してきた慣習に倣っているのだろう。
ハニーヤ首相について、番組では難民出身だということを強調するだけで、今一つ人となりが分からなかった。検索するに、首相になる前はハマスガザ地区幹部にして自治評議会議員だったようだが、彼は元伝説的なテロリストでカリスマ性がある人物なのか、それとも地方行政的な役割も果たしてきたハマスの中でもその手腕が一目置かれてきた切れ者なのか、はたまた集団指導体制のハマスでたまたま担がれただけの組織の人なのか、その辺を伝えてくれる50分ドキュメンタリーをNHKには期待したい。