パロップのブログ

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CS「第30節・大分トリニータ戦」

2005/11/16放送、主審:家本政明、実況:上野晃、解説:野々村芳和

ビッグアーチで想像したシャムスカの策その1:広島CKの時、前に2人(マグノと誰か)残しておく。ルーズボールを拾った時、即2人に放り込むのではなく、保持者がドリブルで持ち上がる。広島は3人(ジニと服部、少し離れて駒野)残しており、当然3人目がディレイに向かうが、湧き上がってくる大分選手の数の方が多い以上、これはかえって逆効果。確かアウェイの浦和戦でも同じ事を思ったが、こういう場面ではファール覚悟でボール保持者を潰してしまった方が良いのでは。或いは大分が2人残している以上、DFラインに残す選手をもう1人増やすべきではないかと思ったが、結局やり方を変えなかった。監督は頑固。
ビッグアーチで想像したシャムスカの策その2:中央のパスコースを消してサイドにパスせざるを得ない状況を生む。具体的にはカズから西河にボールを集めさせる。西河のフィードはひどい。現地ではそんな印象だったが、テレビで見るとカズから西河へのパスはあまりなかったし、西河のフィードもそれほどは悪くなかった。これは2失点目のひょろいパスの悪印象のせいかもしれない。前節の立役者カズ&ベットの底ではなくなったし、後半最初から3バックは止め、西河を外して4バックにすべきと思ったが、これは自分の感覚の方が間違っていたようだ。
1失点目は21分、オムが左に開き、西河が右に残り、ベットがその前にいる場面で、ジニが高目にいるカズへパスを出そうとするが、カットされてカウンターを食らう。ジニが自分でもって上がろうとしたのはこの試合確か3度目だった。これは「誰々のカバーリングがどう、誰々のポジショニングがどう」などといった責任分担が出来ない。何度かチャンスを逸して苛ついていたのかもしれないが、同点の場面で絶対にやってはいけないジニの凡ミスだろう。
2失点目は44分、西川のキャッチングから1分近く大分にボールを回され、最後にミドルを決められる。途中、ジニとアキ(※今後佐藤昭はアキと呼称すると決めた)が重なったり、ジニのクリアが小さかったり、最後は西河のひょろいパスをカットされたり、どこかでプレーを切る機会があったのにもったいない。
後半に入って3失点目、茂原が微妙にノーファールなチャージでボールを奪われた時、すぐそばにレフェリーとカズとトゥーリオがいて、カズがレフェリーに抗議している間に、トゥーリオは前に動き出していたのが敗因。ジニがドリブラーに一発で飛び込んでしまったのは、多分「ディレイしても数的不利は変わらない」と考えて賭けに出たのだろうから責められない。
4分に駒野のクロスから寿人が頭で落としてガウボン外す、9分に服部のクロスを寿人がふかす。この決定機2つが入っていれば違っていたかも、という見方もあるが、広島はゲームメイクが下手なので、アウェイのガンバ戦同様、最終的に2対4などというスコアになった可能性も高い。
腹が立ったのは、5分に大木がマイボールをDFにかける、11分にガウボンがフリーで楔を受けたのにパスミス、20分にフリーの大木がまたもDFにかける、34分に大木からガウボンに楔のパス出るがワンタッチで捌こうとしてカットされる。この辺り、周囲を見る余裕があるのに、出来もしないスピードでプレーしてペースを向こうに渡すのはいただけない。
34分にカズから左前のスペースへロングパスするが、誰もいなくて観客からブーイング。38分にカズから駒野へのサイドチェンジはタッチを割る。スタンドで観ていると、どうしたら良いのか分からなくてパニックになっていたのかと思ったが、それよりも、カズなりにいつもと違った事をしてチェンジオブペースを考えたプレーだったようにも思える。後半への入り方も悪くなかったし、わりかし冷静にプレーしていた。ただカズには後1枚警告をもらって、今シーズン1度はスタンドから自分のチームを見て欲しい。
選手は90分間気持ちを切らさず、よくファイトしていた。その一方で、苛立ち紛れに危険なタックルを仕掛けるでもなく、良くも悪くもサンフレッチェだった。家本レフェリーのアレなジャッジは、観衆の雰囲気や選手の苛立ちによって増幅される面も大きいから、選手もサポも温厚な広島対大分に家本氏を充てるアイディアは理に適っているといえなくもない。まあ茂原は(家本基準で)いつ2枚目を貰ってもおかしくなかったが。

誰もが今シーズンの総括をしたくなるような試合ではあったが、敢えて重箱の隅をつつくだけにする。但し「この試合はハシカに罹ったようなものだから、さっさと忘れて切り替えよう」といって済ませられない根本的な何かがあったような気がするのも当然で、その点で野々村氏はなかなかツボを押さえた解説をしていた。
テレビではあまり映らなかったが、失点後の再開シーン、広島はセンターサークルに大木と茂原、キックオフでボールを下げてカズが左サイドのガウボンに当てていた。試合開始時と4失点だから、これを計5回繰り返した。3回目くらいからは大分にバレバレで、ガウボンが競る前からDF深谷が待ち受けていた。ガウボンと前俊が交代しても同じ。「サッカーは化かし合い、裏のかき合いなんだから、もう少し遊び心があっても良いのでは」とサッカー未経験者の自分でも思うが、決めたやり方をやり通して成功させる事で何かが掴めるという考え方もあるだろう。どちらにしろ、相手の監督が分析し易いチームである事には違いない。
前半早々にカズがハーフラインを越えて上がった際、DF上本がチェックにきたのだが、カズが横にパスすると、上本は近くにマーカーをチェンジする味方もいないのに、アッという間にDFラインまで下がっていき、カズをフリーにした。これが印象に残った。試合後にシャムスカは「ベットが前、森崎が後ろだと想定していたら逆だったので、そこだけ試合中に修正した」と答えていた。恐らく先の場面は修正前のことで、上本は監督から「決してDFラインから離れず、両サイドからのクロスに中央で決められるな。仮に森崎にミドルを決められても、それは俺の責任だから」くらいの指示を受けていたのではないだろうか。
小野剛サッカーや人間力サッカーが選手の能力以上のスピードを要求する事で、逆にマイボールを大切にしない結果となっているのに比して、シャムスカのサッカーは選手がコントロール出来る以上のスピードでボールを動かすべきではないとする人間の顔をしたサッカーに思える。ただ、先にあげた例から考えても、決め事を貫徹するという点ではよく似ているともいえ、どちらがロボットサッカーで、どちらが人間らしいサッカーというものではなく、結果だけで優劣を判断するのはよくないだろう。もちろん、分析力のクオリティ、決め事のクオリティ、心理マネージメントのクオリティに差があるという考えは否定しない。

その他その1:大木さんがDFの頭を越える妙なヒールを決めてスタジアムを湧かせていた。
その他その2:23分に広島CKが直接GK西川へ、スローからカウンター、4対3の場面を作られる。3人はジニ、駒野、服部。この時、守備に戻ったベットが自爆で交代。よく見ると、ベットはCKを蹴った端から自陣ゴール前まで素晴らしいスプリントしていたのだから偉い。その後、歩いて引き揚げていたのをみると、また茂原の交代投入が早かったのをみると、試合前からコンディションに不安があったのだろう。前日、ベット欠場、ジョルジュ出場の噂も流れていたし。
その他その3:ビッグアーチでは試合終了後に大分の西川とアキがどんな挨拶を交わすだろうとキモいカップリングヲタのように注目して観てしまったが、テレビ映像を見ると開始前にも何事か話していた。