パロップのブログ

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BS1「第29節・ジュビロ磐田戦」

2005/10/29放送、主審:吉田寿光、実況:松野靖彦、解説:植木繁晴
大木さん対成岡という日本を代表するステルス対決は大木さんの圧勝! というのは冗談だが、日本サッカー協会の教科書的3-5-2対決。お互いに「ボールを奪ったら縦に速く」というセオリーを愚直に繰り返すが、持っている能力以上の速度で行うからパスミスが発生し、お互いカウンター食って食われてというのも、アテネ五輪代表でみた光景。勝負のツボを心得ない単調さからして、両チームのサポーターとも不満がくすぶっているだろうが、個人的にはこのサッカーが嫌いではない。印象としては、磐田の方がやや個人アイディアに優り、広島の方がやや約束事による連動に優れる、といったところか。両監督とも質の高い電柱が欲しそうだ。
今日は良い流れでいつも取れない追加点が取れて完勝できたが、これも相手に攻めさせて深い位置から正統派カウンターというよりは、いつもの通り、高い位置から無茶プレスをかけ、奪ったらショートカウンター(及びそこからCKをもらう)という、これまでスタミナを消費するだけで徒労に終わっていた攻撃が、珍しく実を結んだだけで、そうでなければ、どちらに転んだかは分からない。
4バックだから攻撃的、3バックだから守備的という意味ではなく、今日の3バックだと、無駄に後ろが安定しているが故に攻め手が1つ足りないような印象があった。特に広島の場合、3バックのうち小村・西河とも精度の高いフィードが出来ないだけに、手詰まり感も甚だしい。かつて山本監督がフィードの出来る青木や阿部を最終ラインに入れた理由も理解できるし、小野監督が3バックの真ん中にカズを試したくなった理由もわかる。j'sgoalの小野監督インタビューを読むと、相手のWBを押し込むための3バックだったようだけど、個人的には4バックのままでも、駒野と服部が同じくらい高い位置をとるリスキーなサッカーを期待したいところだ。
それから、せっかくの3バックで後ろ髪をひかれないのならば、カズとベットのどちらかが前に出る縦の関係になって欲しいと思ってみていたが、j'sgoalのカズインタビューによると、あれでも充分縦の関係を意識していたらしい。ここは「もっと出来るはず」と欲をかいておきたい。特に前半は名波をフリーにする場面が多かったので、あそこはベットが前にもっと出て捕まえてもよさそうなものだと思ったのだが、実際問題、この試合の守備バランスはほぼ完璧だったのだから、私の空想よりも現実が正しい。
きっちり数えたわけではないが、前半25分頃に、すぐそばにいたガウボンがヘッドで落としてパスをした場面まで、ベットが味方からパスをもらった場面はなかったと思う。もちろんベットにはほとんどの場合、マーカーがついていたが、敵を背負っても異常にキープ出来るのがベット最大の長所であるわけで、「こりゃあ、日頃の独り善がりプレーのせいで、よほど味方からの信頼を失っているのかなあ」と思ってみていた。ところが、1点目の起点はドリブルで中央を特攻し、いつもなら持ち過ぎて奪われるところを、絶妙のタイミングで左サイドに出したベットからで、このプレー以後、ベットにボールは集まるし、ベットも簡単に周囲を使うしの好循環。みんなでうまくベットの調教に成功したというべきか、勝負の世界に生きる人達は現実主義だ。
後半24分頃、ハーフラインを越えない位置でボールを持つフナタニーニョに対し、カズがコースを切るプレスではなく、ものすごい勢いで奪いにいくプレスをかけていたのだが、あれはやはり「最近の若い奴らはプレッシャーをかけられると、すぐパニックに陥るぜ」という勘のなせる業だろうか。まあ簡単にかわされて、裏へかなり危ないロングパスを出されたわけだが、ちょっと微笑ましかった。

酒飲みながら上記の試合を見た後、BS1速報Jリーグを見ていたら、面白PK場面と背筋の伸びたレフェリーの後ろ姿が映ったので「ジャスティスの仕業か!」と思ってネットの速報サイトをチェックしたら、もう一人の男の方だった。で、国内サカ板の家本スレをチェックすると、テレビでは流せないシーン満載だったらしい。自分の日記内を検索した限りだが、今シーズンの広島は一度も家本氏に当たっていない。自分が小野監督を評価するなかに「不可抗力以外の怪我人を出していないこと」と「試合後にレフェリーへの不満を口に出さないこと」があるわけだが、後者については運に恵まれているといえるかもしれない。