パロップのブログ

TVドキュメンタリーの記録は終了しました

王菲(フェイ・ウォン)

フェイのベストCD-Rでも作ってみようと手元にあるCDを引っ張り出し、とりあえず発売順に並べてみようとネットで検索したり、改めて日本盤の解説を読んだりしてみたが、意外と日本語の書誌的情報が揃ってないので適当にまとめてみた(発売されたCDが羅列されたディスコグラフィは結構みつかる)。プロトタイプというか間違いも多々あるはず。

  • 香港シネポリーから発売された初期シャーリー名義(1989-1991)のオリジナル3枚、ベスト2枚は日本盤で出ていない。香港では2003年に再発されているようだ。
  • 米国留学から香港へ帰国後、『Coming Home』(1992)から『浮躁』(1996)まで10枚のオリジナルアルバムを出している。
  • 日本では、ポリドールが94年4月に直近の『十万回のなぜ』(1993)を発売して初登場、本国で5月に出た『恋のパズル』が7月には日本盤化され、それと同時に過去2作(『Coming Home』『悔やまぬ心で』)も日本盤化、日本でも後追いで香港ポップス歌手として認知され始める。
  • 94年11月『夢遊』、95年2月『背影』、95年5月『天空』、95年7月『マイ・フェイヴァリット』、95年12月『DI-DAR』、96年7月『浮躁』が本国との時差数カ月で日本発売され、地位を固める。余談だが、ポリドール日本盤の解説を毎回異なった人が書いている。通常こういう解説は「日本における紹介者/第一人者」みたいな人が独占して書くものだが、それだけ多くの業界人に支持されたのか、利権に群がる人が多かったのか。
  • 95年夏に『恋する惑星』が日本公開される。自分もこれでフェイを知ったクチだが、ミーハー認知度が上がる。97年正月のNHK特番にウォン・カーウァイがゲストに来たり、フェイも出席していた7月の香港返還式典がNHK-BSでダラダラ流れたり、この頃が香港ブームのバブルがピークだった。バブルが終わったのは日本人が飽き易いというよりも純粋に香港エンタメ業界が弱体化したからだと思われるがよく分からない。
  • 97年、レコード会社をシネポリー/ポリドールからEMIへ移籍。香港返還後のアジア戦略を見据えたものだったのだろうか。ポリドールは97年9月に(1年前に出た最新作も含めて)過去10作品をまとめて再発、商品番号が変わる。その後、ポリドール改めユニバーサルインターナショナルはシネポリー時代の曲を適当に編集したベスト盤を何枚も発売する割に、オリジナルアルバムの方は入手困難な状況にある。
  • 97年にシネポリーから発売されたマキシCDのようなミニアルバムのような『玩具』と『自便』は日本発売なし。『自便』は中古屋で見かけた記憶があるが買っておけば良かった。
  • 97年11月、EMI移籍第1弾『FAYE WONG』を発売、以後『チャン・ヨウ』(1998/1999)、『ラヴァーズ・アンド・ストレンジャーズ』(1999)、『フェイブル』(2001)、『光の翼』(2001)と計5枚のアルバムを発表する。
  • 99年2月、テレビゲームの主題歌『EYES ON ME』が日本で当たる(いま流行りのなんたらバトンでこの曲をあげている人が多いので、ゲームをしない自分は正直驚いた)。前年に出た『チャン・ヨウ』に広東語バージョン3曲を加えた〈スペシャル・エディション〉を出してみたり、3月に日本武道館でコンサートをしてみたり、日本進出に力を入れる。J-PHONE関西のCMにも起用された。
  • 2001年夏、日本の連ドラ『ウソコイ』に主演するも微妙な出来。最終回クライマックス残り5分というところで9・11テロに放送を吹っ飛ばされたのが記憶に残る。10月にEMIから最後のアルバム『光の翼』を発売、11月には再び日本でコンサート。レコード会社が手を引いたのか、フェイ本人が嫌がったのか、これで日本進出計画は終息を迎える。
  • 2003年、SONY移籍第1弾アルバム『將愛』が発売されるが、SONYJAPANとは契約がないらしく、日本盤は発売されていない。2004年にはライブアルバムが発売されるが、その存在は完全に趣味人の嗜みとなってしまった。


異論もあろうが、時代の先端を走っていたのは1993〜96年頃。いまざっと聞き直しても『背影』辺りは捨て曲無しの完成度。とはいえ、本人が常に時代との距離を考えたり、方向性を持って活動していたというよりは、その時その時のテンションで作ったら、たまたま時代が求めたり求めなかったりしただけのことかもしれない。疾走していた時期のアルバムにも平凡な曲はあるし、守りの時代にもへんてこりんな曲がある。
本国でのシングル曲とかヒット具合とか知らないため、予断なく単純に自分の好き嫌いでベスト集を作れるので、これは面白いことになりそうだと思ったのだが、何故か手元に持っているはずの『浮躁』と『チャン・ヨウ』がない。もしかしたら知り合いに貸しっぱなしのような気もするが、その知り合いとは疎遠になって4年くらい経つので回収不能。今まで気付かなかったのもどうかと思うが、折角なので買い直してみようか。